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ラグビー コラム 2025年9月3日

石田吉平、長田智希、木田晴斗。WTBのポジションを争う3人の現在地。ラグビー日本代表

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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左から石田吉平、長田智希、木田晴斗

8月30日(土)、ラグビー日本代表は「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2025」(PNC)のプールB初戦で、カナダ代表に57-15と勝利。翌日、30名のスコッドは仙台から羽田と成田に分かれて、アメリカへと旅立った。

遠征メンバーの中で、BK(バックス)は12名。主にWTB(ウィング)として選ばれているのがWTB石田吉平(横浜キヤノンイーグルス)、WTB/CTB(センター)長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、そしてWTB木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)だ。今回は25~26歳の3人の今に迫った。

7人制ラグビーでオリンピックに2度出場した、身長167cmの石田。リーグワン修了後、7人制で再び世界と戦うか悩んだが、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)に15人制の日本代表に誘われた。

「せっかくの機会なので、チャレンジしようと思った。15人制でのテーマは、自分のサイズに抗って、尖って、世界と戦えるか。このサイズでどれだけできるか、世界で証明できるか。それを考えて15人制を選んだ」と話す。

7月のウェールズ代表戦では2試合に先発し、初キャップを得て勝利に貢献した。ただ、石田は「7月のウェールズ代表戦は、課題がたくさん見つかった。そこを修正しないと世界のレベルで戦うことが難しいので良い勉強ができた」。

「コーチ陣からはランで捕まらないところと、このサイズでどれだけハイボールで勝負できるかを要求されている。チームでは他にもすごいWTBがいるので、競い合いながら成長していきたい」と宮崎で汗を流していた。

そして、3キャップ目となるカナダ代表戦では、練習してきた空中でのコンテストは苦戦。「0点に近いので、そこを強みにしたら、日本としてもチャンスを生めると思うし、僕のところを狙われると思うので、もっと練習していきたい」と反省の弁を口にした。

代表初トライを挙げたWTB石田

しかし、石田は後半37分、44分と相手のギャップを突きつつ、持ち前のスピードとステップでトライを挙げて、桜のジャージーでの初トライも記録した。それでも7人制で世界を経験してきたトライゲッターは、決して満足することはなかった。

「自分からボールもらいにいけ、と言われていたので、良い形でボールをもらってゴール前でトライが取れた。もっと強気にボールをもらいにいって、日本を勢いづけられるようにしたい」。

「まだ納得のいくパフォーマンスができないが、徐々に日本代表のスタイルと、自分に何が必要とされているかは理解して、チームにフィットしてきている。みんなから信頼される、必要とされるような選手になっていきたい」と先を見据えた。

WTB長田、昨年11月以来の代表復帰

続いて、後半からWTBとして出場し、ハードなランでトライを挙げて、あらためて存在感を示したのが長田だ。3人の中では唯一の2023年ワールドカップ組であり、もともとはCTBだったため、WTBだけでなくCTBもカバーできる選手である。

だが、リーグワンのプレーオフで足のケガをしてしまい、2025年6月~7月は代表活動に参加できなかったが、エディー・ジャパンでは昨年に続き、このPNCから招集された。

「最高のパフォーマンスができるように、日本代表に戻ってこられるように準備していた。準備万端。エディーさんから求められているワークレイトの高さ、ハイボールの競り合いを意識して練習に取り組んでいる」。

長田にとって木田は同期、石田は1つ下の学年だ。どこで勝っていきたいかと聞くと、「2人とも良いランナーで、アタックの面で脅威になるプレイヤーだと思う。自分はランは2人に劣る部分があると思うが、ハイボール、ディフェンスを高いレベルでやり切る部分では自信を持って勝負できる」と語気を強めた。

改めて27歳で迎える2027年ワールドカップへの思いを聞くと「2023年大会はあまり良いパフォーマンスができなかったので、次への気持ちが大きくなった。大きな目標として次の大会に出たいので、そこは常に意識して取り組んでいる」。

「ただ、まだ先のことなので、目の前の試合に勝つこと、その試合で自分のパフォーマンスを出すことに取り組んでいる」と前を向いた。

最後は木田だ。1年目のリーグワン2022-23シーズン、フィジカルとスピードを活かしたランで「ベストラインブレーカー」と「ベスト15」を受賞した。その勢いのまま、当時のジェイミー・ジョセフHCに日本代表に招集されたが、テストマッチにも出場できず、ワールドカップスコッドからも落選してしまった。

2年ぶりの代表復帰となったWTB木田

合宿地の宮崎では、「自分の中であまり良い思い出はない(苦笑)。悔しさだけが残っている」と2年前を思い出しながら話した木田だが、3年ぶりに日本代表へ参加となり、エディー・ジャパンは初招集となった。

2024-25シーズン、準優勝したスピアーズではシーズン途中まで出場していたが、ケガでプレーオフトーナメントに出場できず、日本代表のBK合宿が5ヶ月ぶりの本格的な練習となったという。

カナダ代表戦ではメンバーに入れなかったが、木田本人が「徐々に調子が戻ってきているので、これから一気にコンディション上げていけたらと思う」と話した通り、アメリカ遠征メンバーに選出された。

ジョーンズHCからは、シーズン中からコンタクトはあったという。ただ、「期待してもらっている分、しっかり結果を残したいが、焦ってまたケガしてもいけないので、集中しながら、毎日の練習にしっかり取り組んでいくことにフォーカスしている」と話した。

今夏、初めてエディー・ジャパンの合宿、トレーニングを経験して木田は、「超速ラグビーなので、ラックで寝てから起きるスピードだったり、ブレイクダウンの詳細だったりにこだわっている。そういったことは、どのチームにいても大事なことだし、良いレベルでできている」と振り返った。

当然、木田にはハードなラン、左足のキックだけでなく、強みであるハイボールキャッチにも期待がかかる。本人もそれは自覚しており、「ハイボールキャッチは自分の強みと思っている。覚悟もできているし、ワールドクラスにチャレンジしていきたい」と自信をのぞかせた。

この後、アメリカで行われるPNCは、9月6日(日本時間7日)のアメリカ代表戦で勝ち点1以上を挙げれば、日本代表は準決勝に進む。アメリカでは最大3試合が行われるため、木田がアピールを続ければ、当然、初キャップのチャンスも出てくるはずだ。

リーグワンで、すでに力のある選手であることは証明している。木田は「自分はランが強みだが、どれだけワールドクラスの相手に通用するかを知りたい」。

「ただ、ランを引き出すためにも、左足のキックやオフロードパス、ハイボールキャッチもそうだが、WTBとして良い選択をしながら、いろんなスキルがあるプレイヤーになっていきたい」と初キャップを心待ちにしている。

リーグワンや世界の舞台で経験を積んできたWTB石田、WTB長田、WTB木田の3人は今後もエディー・ジャパンで切磋琢磨しながら、WTBのポジションを争っていく。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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