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ラグビー コラム 2025年9月1日

【ハイライト動画あり】サクラフィフティーン、2連覇中のニュージーランド代表に果敢に挑むも敗戦。女子ラグビーワールドカップ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ニュージーランド代表からトライを挙げる日本代表

8月22日(金)に開幕した「女子ラグビーワールドカップ2025イングランド大会」。「サクラフィフティーン」こと、女子日本代表(世界ランク11位)は8月31日(日)にプールCの第2戦を迎え、エクセターの『サンディ・パーク』で、ニュージーランド代表(同3位)に挑んだ。

日本代表は予選プールの初戦のアイルランド代表戦、序盤から相手にプレッシャーをかけられて失点し、後半に14-28まで追い上げるも、最終的に突き放され、14-42で敗戦。勝ち点を得ることができなかった。

一方、ワールドカップ2連覇中の「ブラックファーンズ」こと、ニュージーランド代表は初戦でスペイン代表と対戦、先制されたが54-8と快勝し、ボーナスポイントも含む勝ち点5を獲得した。

なお、両チームは2022年のワールドカップ直前に1度だけ対戦しており、ホームのニュージーランド代表が95-12で勝利している。

予選プール2戦目で優勝候補にチャレンジする日本代表のレスリー・マッケンジHC(ヘッドコーチ)は、初戦から、WTB(ウイング)松村美咲に替わり、同じく大学生の畑田桜子を14番に起用するだけに留めた。

サクラフィフティーンのメンバー

FW(フォワード)は、かつてエクセターでプレーしたPR(プロップ)加藤幸子、FL(フランカー)はアイルランド代表戦でトライを挙げた川村雅未と、キャプテンの長田いろは、NO8(ナンバーエイト)はベテランの齊藤聖奈が引き続き入った。

BKもSH(スクラムハーフ)津久井萌と、SO(スタンドオフ)大塚朱紗がハーフ団を組み、初戦でトライを挙げたCTB(センター)弘津悠らが2戦連続での先発となった。

リザーブにはFLンドカ・ジェニファ、エクセターでプレーしたCTB小林花奈子の2人が新たに入り、出場すればワールドカップデビューとなる。

一方、ニュージーランド代表は初戦から大きく先発を入れ替えてきた。FWは5名を入れ替え、共同主将のLO(ロック)アラナ・ブレムナー、スペイン代表戦で2トライを挙げたFLジョルジャ・ミラーと、NO8はレイラ・セエの3人が前の試合から引き続き先発した。

BKは7人総入れ替えとなり、共同主将のSOルアヘイ・デマント、セブンズでも活躍したCTBステイシー・ワアカ、日本のパールズにも在籍したエースWTB(ウイング)ポーシャ・ウッドマン=ウィックリフ、FB(フルバック)には18歳のブラクストン・ソレンセン=マギーが入った。

女子ラグビーワールドカップ2025 イングランド大会

【ハイライト動画】プールC ニュージーランド vs. 日本

負けたら決勝トーナメント進出に後がないサクラフィフティーンが、王者ブラックファーンズにどこまで食らいつくことができるか。試合は日本時間午後10:00にキックオフされた。

試合開始早々の30秒、いきなり日本代表にアクシデントが起きてしまう。キック処理で味方と交錯してしまったFB西村蒼空が負傷、SOに山本実が入り、SOの大塚がFBに下がった。直後のピンチは粘りのディフェンスを見せると、相手反則を得て相手陣に入った。

前半4分、日本代表は相手陣25mからの武器とするFWのモールを押し込んで、アドバンテージをもらう中で、右にBK陣が素早く展開し、最後はWTB畑田が体の強さを見せて右隅にトライを挙げて5点の先制に成功した。

「WTBとしてスコアすることが責任だと思っていたので、ボールを持ったら必ずスコアするぞと思って走った。すごくうれしかった」(WTB畑田)。

しかし、その後は風下でなかなかキックの距離が伸びず、相手陣に入ることができない。

すると13分、キックカウンターを起点に、ニュージーランド代表は右サイドでパスをつなぎWTBポーシャ・ウッドマン=ウィックリフがトライを挙げて、同点に追いつく。なお、ウッドマン=ウィックリフは男女ニュージーランド代表を通して初の50トライを達成した。

その後もブラックファーンズは攻撃の手を緩めず、16分、ラインアウトを起点にFLミラーが縦に突破してトライ。25分にはFW、BK一体となってボールをつなぎ、最後はWTBケイトリン・ヴァハコロがトライ。

さらに31分、ラインアウトからボールをつないで、最後は18歳のFBブラクストン・ソレンセン=マギーが左隅にトライを挙げて5-24とした。なお、ソレンセン=マギーはワールドカップ史上最年少トライとなった。

さらに36分、FLケネディ・トゥクアフが突破力を見せてトライ。39分にはモールを押し込んだ後、SHリサレアナ・ポウリ=レーンがトライを挙げ、5-38としてハーフタイムを迎えた。

なお、トライの前に、CTB弘津がハイタックルをしたため、TMOの末、イエローカード(10分間の退出)となっている。

世界女王に果敢に挑んだサクラフィフティーン

後半、風上となったサクラフィフティーンが相手陣でアタックを仕掛けると、途中出場で入った相手のLOローラ・ベイフィールドが故意のノックフォーワードをしてしまいイエローカード。14対14となった。するとSH津久井がスティールを決めて、相手陣に攻め込む。

後半8分、モールを形成して押し込めなかったが、最後はFWがボールを継続し、SH津久井がねじ込んでトライ。FB大塚のゴールも決まって12-38と追い上げた。だが10分、自陣からのスクラムで相手に突破を許してしまい、FBソレンセン=マギーに2つ目のトライを許して12-43とされた。

それでも日本代表は攻めの姿勢を続ける。27分、相手陣奥でモールを形成し押し込むと相手のLOベイフィールドがたまらずコラプシングの反則を犯し、日本代表はペナルティートライを得た(19-43)。ベイフィールドは2度目のイエローカードで、20分レッドカードの判定となり、残り時間、日本代表が数的優位となった。

しかし、14人になってもブラックファーンズが強さを発揮した。28分、直後のキックオフでスティールしたFLミラーが自ら持ち込んで右中間にトライ(19-48)。

30分には自陣からFBソレンセン=マギーが素晴らしいランでトライを奪い、ハットトリックを達成。32分、途中出場のSOレネ・ホームズがトライを奪って、ブラックファーンズが19-62として、そのままノーサイドを迎えた。

この試合の結果により、プールCは2連勝したニュージーランド代表とアイルランド代表が決勝トーナメント進出を決め、スペイン代表と日本代表は予選プール敗退が決まってしまった。

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は、ハットトリックを達成したニュージーランド代表FBソレンセン=マギーが選ばれた。「(涙を流しながら)もう現実とは思えない。本当にチームメイトのおかげ。機会を与えてくれて、私はそれを決めただけ」(ソレンセン=マギー)。

2連勝で準々決勝進出を決めたニュージーランド代表のバンティングHCは「まだ、これからやっていかないといけないエリアがある。また規律が問題になっていて、そこを改善したい」とコメント。

前回大会に引き続き、スキッパーを務めるニュージーランド代表の共同主将SOデマントは「試合の中でも勢いがあったり、また今度は落ち込んだりというようなところがあったので、まだパーフェクトではない。さらに大会の中で積み上げていけるところがあると思う」と先を見据えた。

2連敗で予選プール敗退が決まってしまった日本代表のマッケンジーHCは、「スコアそのものは相手の仕留めきる力が反映されている。できるかぎり2人で止めようとしたができなかった」。

「ただ、選手たちは本当によく戦ってくれた。我々にとって大きな挑戦だった。失点を与えてしまったところの後悔はあるが、全体的には、非常に前向きなプレーが連続し、スマートにエリアを活かした戦いぶりだった」。

「何より、試合終盤のぶつかり合いにおいて、我々の強い精神力と強い意志が出せた。来週のスペイン代表戦は、日本の最高の姿をお見せしたい」と振り返った。

キャプテンのFL長田は「相手がフィジカルで来ると予測していたので対策したが、フィジカルで寄せられてトライされてしまった。(スペイン戦は)私たちにとっても 、次のサクラフィフティーンにとっても大事な試合なので、勝って次につなげたい」と前を向いた。

プールCの1位に立ったニュージーランド代表は、最終戦で2位のアイルランド代表と9月7日(日)にブライトン&ホーヴの『アルビオン・スタジアム』で対戦する。プールC最下位いなった日本代表は、2017年大会の11・12位決定戦以来の白星をかけて、7日(日)にヨークの『コミュニティ・スタジアム』でスペイン代表と対戦する。

文:斉藤健仁/写真:JRFU

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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