【ハイライト動画あり】明治大学、帝京大学に惜敗も春からの成長を見せる。大学ラグビー菅平合宿 練習試合

持ち味のランで躍動したルーキー・古賀龍人

8月24日（日）、菅平合宿の最終戦で、帝京大学と対戦した明治大学。春シーズンで完敗した相手と接戦を繰り広げるも、21-28で敗戦。それでも随所で好プレーが見られ、関東大学対抗戦に向けて、収穫を得た試合となった。

前半開始直後、帝京大BK（バックス）陣の好走から、先制トライを許してしまう。苦しいスタートとなった明大は、帝京大の堅守を前に得点できない時間が続き、20分にはシンビンで一時数的不利な状況となる。しかし、守備では高い完成度を見せ、帝京大に流れを渡し切らなかった。

「最初、簡単にトライを取られたのは痛かったが、自分たちのやること、シンプルなことをしっかり切り替えてやろうという話をした」（SH／スクラムハーフ柴田竜成・営4＝秋田工）。

特に29分の自陣でのディフェンスでは、近場での強力FW（フォワード）のアタックに対し、低いタックルを徹底しビッグゲインを許さず。相手のミスを誘い、ロングキックから大きく陣地を挽回した。

「（帝京大は）順目にFWを当ててきたが、我慢して前に出るディフェンスができていた」（左LO／ロック菊池優希・政経4＝山形中央）。

そして好守の直後、明大にチャンスが訪れる。敵陣でのラインアウトから攻撃を展開すると、左へハイパントを選択。相手の落球を見逃さずボールを奪い、右サイドにボールを回し最後はFB（フルバック）古賀龍人（商1＝桐蔭学園）が決め切った。

「相手が寄ったところで、外が空いていたので呼んでトライできた」（古賀龍）。

前半終了間際に帝京大にトライを許し、7-14で試合を折り返す。

スクラムで反則を奪い、咆哮するFW陣

「やっていることは間違っていなかったので、ブレークダウンの部分や、規律をしっかり守っていけば絶対勝てる」（柴田）と望んだ後半。

開始直後にトライを奪われるも、直後のキックオフで左FL（フランカー）最上太尊（商4＝仙台育英）が好スティール。敵陣深くでのラインアウトから、FW戦に持ち込み、最後は左PR（プロップ）田代大介（営3＝大分舞鶴）がねじ込んだ。

追いつきたい明大だったが、帝京大の猛攻に押され自陣深くでの守りを強いられる時間が続く。前に出るディフェンスで粘りを見せるも、反則を重ね失点。14-28とダブルスコアをつけられた。

その後もボールを保持される悪い流れの中、突破口を開いたのはルーキー・古賀龍。42分、自陣でのキック処理からボールを受け取ると、3人を抜き去るランで一気に敵陣深くへ。そのままパスをつなぎ、最後は菊池が左隅に飛び込んだ。

さらに試合終了間際には、敵陣ゴール前でのマイボールラインアウトを獲得し、得点のチャンス。BKも含めたモールを形成するも届かず、21-28でノーサイドとなった。

宿敵相手に7点差と肉薄した明大。フィールドでの守りでは、高い精度でファーストタックルを決め、前に出るディフェンスで攻撃を抑え込む場面が多く見られた。

しかし、前に出る意識が強い分、ラインオフサイドを取られ、不利な状況に陥るシーンもあった。「ペナルティでマイボールにできなかったので、規律を守って実戦に臨みたい」（柴田）。守りの完成度を対抗戦までにどれだけ高められるか。

また、セットプレーでは、特にラインアウトディフェンスが光った。「相手のラインアウトを研究していたので割り切った。想定した場所に相手が飛んでくれた」（菊池）。

課題のスクラムでは反則を取られる場面もあったが、「春に比べるといいスクラムを組めた印象」（HO／フッカー西野帆平・文4＝東福岡）と選手たちは手応えを感じている。

明大は9月14日、対抗戦初戦で筑波大学と激突。「細かいところにこだわって、まずは対抗戦で優勝したい」（柴田）。悲願の日本一へ、平組の『完遂』に向けた戦いが始まる。

文：晴山赳生／写真：保坂啓太郎（明大スポーツ新聞部）