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サクラフィフティーンは初戦を飾れず
8月22日(金)に開幕した『女子ラグビーワールドカップ2025 イングランド大会』。『サクラフィフティーン』こと、女子日本代表(世界ランク11位)は、8月24日(日)にノーサンプトンの『フランクリンズ・ガーデン』でアイルランド代表(5位)との予選プール初戦を迎えた。
今年4月、史上初めてアメリカ代表に勝利し、7月にはスペイン代表戦に連勝した後、渡欧した女子日本代表。8月9日に大会前最後のテストマッチでは、イタリア代表と対戦したが、15-33で敗れたものの、ヨーロッパに入ってからも準備を積み重ねてきた。
3大会連続6回目の出場となるワールドカップ初戦に向け、代表を率いて2大会目となるレスリー・マッケンジーHC(ヘッドコーチ)は、FW(フォワード)にイングランドでプレー経験のあるPR(プロップ)加藤幸子、3大会目の出場となるキャプテンのFL(フランカー)長田いろは、NO8(ナンバーエイト)齊藤聖奈らを起用。
また、BK(バックス)は2017年大会の「ベスト15」のSH(スクラムハーフ)津久井萌、7人制で東京五輪に出場したCTB(センター)弘津悠ら、直前のイタリア代表戦から先発1名を替えたメンバーで挑んだ。
一方、2大会ぶり8回目の出場となるアイルランド代表のスコット・ベマンドHCも、共同キャプテンのLO(ロック)サム・モナガン、FLエデル・マクマホンの2人を始め、初戦に臨むメンバーを発表。
前回のニュージーランド大会に出場していないこともあり、リザーブのHO(フッカー)クリオナ・モロニー=マクドナルド以外、23名中22名がワールドカップデビューとなるが、シックスネーションズのベスト15のHOニーヴ・ジョーンズ、CTBイーファ・ダルトン、パリ五輪代表のFB(フルバック)ステイシー・フラッドらが入った。
ノーサンプトンで初戦を迎えたサクラフィフティーン
サクラフィフティーンが格上から白星を挙げて、目標とする決勝トーナメント進出のベスト8に向けて好発進できるか。勝負の初戦は、日本時間8月24日(日)午後8:00にキックオフされた。
女子ラグビーワールドカップ2025 イングランド大会
【ハイライト動画】プールC アイルランド vs. 日本
アップセットを起こすためにも、日本代表は何としても先に得点を挙げたかった。だが、接点で後手を踏んで反則を繰り返してしまい、自陣に釘付けにされてしまう。
試合序盤のピンチは、LO吉村乙華の激しいタックルでなんとか防ぐ。しかし前半5分、ラインアウトを起点にアイルランド代表のWTB(ウィング)イミー・リーコスティガンに左ライン際を走られてトライを許し、SOダナ・オブライアンにゴールを決められ、7点を先制されてしまう。
さらに、10分にもモールを押し込まれて、0-14とされた。その後、日本代表も攻め込むものの、なかなか相手のディフェンスを崩すことができなかった。すると24分、アイルランド代表にスクラムからゲインされ、WTBベイヴィン・パーソンズにトライを許して、0-21とされた。
29分、サクラフィフティーンもようやく反撃する。相手のラインアウトミスから攻め込み、スクラムを起点に攻撃を継続。最後はSH津久井のパスを受けたCTB弘津が左中間に飛び込みトライ。SO大塚のゴールも決まり7点を返した。
このままハーフタイムを迎えたかったが、ラインアウトを起点にCTBイーヴ・ヒギンズにミスマッチを突かれて大きくゲインされ、最後はFLフィオナ・トゥートにトライされて、7-28で前半を終えた。
後半、先に得点を挙げたかった日本代表は3分、鍛えてきたモールを形成し、最後はラックからFL川村雅未が左中間にねじ込みトライ。14-28と追い上げた。
その後もジャパンの時間帯が続き、後半13分、テンポ良いアタックからWTB今釘小町、松村美咲がゲインし、ゴール前に迫った。しかし、あと少しでトライ…というところで、相手のCTBヒギンズにパスをインターセプトされて、そのまま走られて14-35とされてしまう。
20分、モールからアイルランド代表にペナルティトライを許してしまった、と思われたが、TMO(テレビマッチオフィシャル)の末、相手にモール形成時にオブストラクションの反則がありノートライに。
だが24分、日本代表はマイボールラインアウトをスチールされると、アタックを継続され、最後は途中出場のCTBエンヤ・ブリーンに中央にトライを許して14-42と大きくリードされた。
勝利したアイルランド代表は、4トライ以上の勝利でボーナスポイントを含めて勝ち点5を得た。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、キャリーで大きな存在感を魅せたアイルランド代表NO8ブリタニー・ホーガンが選出された。
「暑かったので本当にタフな試合で、ボールインプレーの時間が非常に長かった。日本はスキルの高いチームなので、セットプレーの機会はほとんどなかったが、チーム全体で多くの素晴らしいパフォーマンスだった」。
アイルランド代表のべマンドHCは、「何度か時計を見て、何が起こるか分からない状況でドキドキしてしまった。でも、選手たちが切り抜けてくれたので、私も落ち着いた」と笑顔を見せた。
共同キャプテンのFLマクマホンも、「長い間準備をしてきたので、最高のパフォーマンスを発揮したかった。素晴らしいスタートだった。日本代表のチャンスの時間帯をうまく乗り切り、冷静さを保つことができた。トライをいくつか許したが、こちらも立て直しし、得点を積み重ねることができた」と胸を張った。
一方、日本代表のマッケンジーHCは、「チーム全体が悔しい、残念に思っている。我々がターゲットにしていた結果ではない。しかし、特に後半は我々の色、キャラクターを見せられたと思う」。
「ハーフタイム後、アティチュード、フィジカル、勇気、闘志を見せられた。我々のスタイル通りの修正ができた。それは心から誇りに思っている。ただ、最後の部分でフィニッシュすることはできなかった。次戦、良いラグビーをしていくために切磋琢磨したい」と話した。
キャプテンのFL長田は、「すごく悔しい気持ちはあるが、これまで自分たちがやってきたことの自信は消えないので、ニュージーランド代表戦に向けてワークし続けたい。前半は相手のモメンタムを受けてしまったが、後半、修正できた部分もあって次につながる試合になった」と前を向いた。
3大会目の出場となったSH津久井は「前半は相手のペースに巻き込まれて、上手くいなかったが、後半は自分たちの良いところを出せた」とコメント。
2017年大会以来の大舞台となったLO櫻井綾乃は「後半はサクラフィフティーンらしい試合ができていたので次戦につなげたい。いつもはミスしないところでミスしたので、自分たちらしい正確なプレーをしたい」と話した。
初戦を白星で飾ったアイルランド代表は、8月31日(日)に今回と同じ『フランクリンズ・ガーデン』でスペイン代表と対戦する。一方、初戦を落とした日本代表も、31日(日)にエクセターの『サンディ・パーク』でワールドカップ2連覇中のニュージーランド代表にチャレンジする。
文:斉藤健仁/写真:JRFU
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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