【ハイライト動画あり】慶大、逆転勝ちで昨夏のリベンジ。関西学大は後半スクラムの劣勢が響く

　

全国の強豪大学が集う菅平高原（長野県上田市）では、8月中旬から注目チーム同士の練習試合が次々に行われる。8月20日、菅平のメイングラウンドとなっているサニアパークでは、午前9時30分から慶大と関西学大のBチーム、Aチームの各2試合が行われた。B同士の戦いは、25分ハーフで行われ、慶大Bが19－17で勝利。A同士の試合は、10時30分、慶大のキックオフで始まった。

両チームは昨夏の8月21日も菅平で対戦し、29－26で関西学大が勝っている。関西学大は関西大学Aリーグの優勝候補として快進撃を続けたが、5勝2敗の好成績も勝ち点争いをしていた近大に敗れて4位に後退し、全国大学選手権の出場を逃がす悔しいシーズンとなった。一方の慶大は関東大学対抗戦Aで3勝4敗の4位で大学選手権に出場（対抗戦は前年のファイナリストが2校のため、5チームが選手権に出場できる）。準々決勝で帝京大に敗れてシーズンを終えた。

各リーグで4位同士の戦いは、昨夏同様、拮抗した内容になった。前半1分、先制したのは慶大だった。CTB小舘太進（4年）がタックラーを引きずりながらトライし、小舘がゴールも決めて7－0とする。その後は関西学大が攻勢に出る。FL成田龍（3年）、NO8小林典大（4年）らFW陣が力強く縦に突進し、FB的場天飛（4年）が好タッチキック（50:22）で地域を進めると、ラインアウトからモールを押し込み、HO田中健太（3年）がトライ。SO新井竜之介（1年）がゴールを決めて、7－7とする。

直後の9分には、ハーフウェイライン付近でターンオーバーしたボールをCTB中俊一朗（4年）が慶大陣深く蹴り、バウンドするボールを自ら確保してトライ。12－7と逆転した。関西学大はその後もアグレッシブに攻め、14分、ラインアウトからモールを押し、HO田中がトライ。19－7と突き放し、その後も波状攻撃を仕掛けた。しかし、チャンスでのハンドリングエラーなどで追加点は奪えなかった。前半終了間際には、ミスから攻め込まれ、慶大SH橋本弾介（4年）にトライを奪われ、19－14で前半を折り返す。

後半に入ると、慶大は交代選手を次々に投入した。互いにディフェンスラインの押し上げが速く、アタック面でのミスが目立つ展開になる。後半、先にトライしたのは慶大だった。後半16分、慶大はハーフウェイライン付近のラインアウトからモールで前進したが、その後のパスが乱れて何度も後退する。そのたびに素早いリアクションで持ち直し、一気に抜け出すと、最後は交代出場の井吹勇吾（2年）がポスト中央に躍り込んで19－19の同点とし、SO大川竜輝（4年）のゴールで21－19と逆転した。

後半は慶大がスクラムで優位に立ち、攻め込む時間帯が多くなる。22分、関西学大のSH川原大(4年)にトライを奪われ、いったん21－26と逆転されたが、後半37分、関西学大ボールのラインアウトにプレッシャーをかけてボールを確保し、ワイド展開で左タッチライン際を大きくゲイン。後半20分に交代出場のPR浦城尚生（2年）がトライして、26－26の同点とし、後半7分に投入されたSO小林祐貴（1年）がゴールを決めて、28－26と勝ち越しに成功。その後は、関西学院大の反撃を粘り強く止め続けて勝利の雄叫びをあげた。

勝った慶大では高校日本一・桐蔭学園から加入のFL申驥世（1年）、関西学大でもSO荒井竜之介（1年）、WTB成田陸（1年）が先発。期待の新戦力が躍動した。また防御面では互いにラインを素早く押し上げて良くプレッシャーをかけていた。しかし、攻撃面ではその圧力でハンドリングエラーなどミスが多くなるなど課題も見えた。9月の各リーグ開幕までに実戦、トレーニングで課題を修正し、シーズン開幕を迎えたい。

文： 村上晃一