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ラグビー コラム 2025年7月25日

対スペイン戦連勝で、モメンタムを得てラグビー ワールドカップへ。サクラフィフティーンは出し惜しみせず戦う

ラグビーレポート by 田村一博
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勝った相手との再戦は難しい。そんな声は、よく聞こえてくる。
負けた側の反骨心や修正力などが、大きな力となって勝った側に向けられることが多いからだろう。

7月19日に福岡・北九州で女子スペイン代表に32-19と勝った女子日本代表、サクラフィフティーンが7月26日、秩父宮ラグビー場で同じ相手と戦う。
両チームとも、8月下旬からイングランドで始まるワールドカップに出場し、同じプールCで戦う。そしてプールステージの最終戦で対峙する(9月7日/ヨーク)。

そんな背景についてサクラフィフティーンを率いるレスリー・マッケンジー ヘッドコーチは、「本大会のプールステージで当たる相手と直前に2回もテストマッチで対戦するのは、チームとしても経験がないし、他に類を見ない珍しい例」と言いながらも、この経験を1か月半後の勝利に結びつけるつもりだ。

北九州での対戦時は、フォワードが奮闘してモールでトライを重ね、逆転勝ちを収めた。
その80分を踏まえて、「我々としてはうまくいっているところをさらに突き詰めていきたいと思っています。先週の試合ではモールがうまくいきましたが、相手はそれに対してのディフェンスを精査してくるでしょう。相手の様子を見ながら対応していくつもりです」と話す。

「ただ、自分たちがペナルティを犯した時は、ロングキックで自陣に入り込まれ、モールを組まれたシーンもありました」と話し、課題として挙がったものは修正して戦うつもりだ。
「大切なことは実行力を高めることです。自分たちの強みであるスピード、アグレッシブさ、そしてスキルを使って質の高いパフォーマンスを出していきたい」とした。

メンバー選考に関しては「全員がいいトレーニングをしてきた」と選手たちにリスペクトを払った上で、「(今週末に)最高のパフォーマンスを出すメンバー。チームが必要としているモメンタムをチームに投入できる選手を選んでいる」と話した。

 

フロントローは、前戦で2トライを奪うなど活躍した1番の小牧日菜多がベンチスタートとなり、峰愛美がスターターに指名された。
LOの佐藤優奈、吉村乙華は2週続けて同じコンビ。バックローは前戦の先発が全員代わり、川村雅未、主将の長田いろは、48キャップの齊藤聖奈が攻守で動き回る。

5番の吉村は、「前回の試合はフォワードでしっかりトライを取ることできたので、今回もそこにフォーカスしていきたい。そして課題を修正し、ジャパンらしく戦います。相手どうこうでなく、自分たちのいつも通りのスタイルを出します」と誓い、「誰が出ても同じジャパンクオリティで戦えるのがこのチーム」と仲間への信頼も口にした。

ハーフ団は、今回は津久井萌、山本実のコンビが先発し、阿部恵、大塚朱紗がベンチに控える。
前回は試合を作る役だった阿部には、秩父宮ラグビー場ではフィニッシャーとしての役割が求められる。小柄も強気のスクラムハーフは「フォワードを当ててディフェンスを集め、空いている外にボールを運べばトライを取れるはず」と攻略のイメージを語り、「コミュニケーションをとって、その一瞬のチャンスを逃さないようにしたい」と抱負を口にした。

11番の香川メレ優愛ハヴィリ、13番の古田真菜も、今回のテストシリーズでは初登場。香川は、フィジカリティの強さとスピードを買われての起用。古田は、「スペインは、10番、15番の走力やキック力が想像していたものより上回っていたので、そこにしっかりコミットして相手のモメンタムを止めたい」と、自分に求められているものを理解してプレーする姿勢を示した。

チームをまとめる長田いろは主将は、「自分たちもハードに準備してきましたが、スペインも同じだと思います」と言って、「チャレンジする試合」と覚悟を決めて戦う気持ちを露わにした。
「ワールドカップ前に、日本のファンの皆さんの前でプレーできる国内最後の機会なので(8月9日に敵地でイタリアと戦って本大会へ臨む)、前回のワールドカップ後の3年間に経験してきたことや、積み上げてきた私たちのラグビーを見せたいと思います」

 

連勝はワールドカップでの勝利を約束するものではないけれど、必ずチームと選手たちをさらに前へ押し進める。
できることはすべてやり切ることが、このチームの流儀だ。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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