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ラグビー コラム 2025年7月23日

【ハイライト動画あり】8点差の熱戦!英愛ドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」×オーストラリア代表「ワラビーズ」

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ついに始まった英愛ドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」とオーストラリア代表「ワラビーズ」のテストマッチ3試合。

12年ぶりに相まみえた7月19日(土)の第1テストは、5連勝中のライオンズが先制パンチを見舞った。

まず開始30秒でライオンズのFLタイグ・バーン(アイルランド代表)がスティール成功。この日両チーム最多23タックルを放った仕事人が攻撃権を奪い、天才SOフィン・ラッセル(スコットランド代表)がペナルティゴール成功。

開始1分でライオンズが3点を先取し、好スタートを切った。

さらにライオンズはキックからチャンス到来。

SOラッセルがキックゲームから敵陣右奥に絶妙なロングキック(50:22)。ライオンズがさらに敵陣ラインアウトからデザインされたフェーズ攻撃を仕掛ける――。

が、ここでワラビーズのFLフレイザー・マクライトがチーム初のスティール。チーム随一のボールハンターが仕事をこなした。

しかしアタックの完成度が低い印象のワラビーズは、自陣でのミスが続き、さらにファーストスクラムでもフリーキックの反則。ふたたび自陣でのディフェンスが始まってしまう。

するとライオンズは敵陣でPRエリス・ゲンジ(イングランド代表)、HOダン・シーハン(アイルランド代表)という強烈ランナーが次々にゲイン。

ここでSOラッセルが、山なりの美しいパスをスコットランドの同僚であるCTBシオネ・トゥイプロトゥの目の前に落とし、トライを演出。ライオンズのリードは10点に拡大した。

ミスをするワラビーズと、確実にスコアするライオンズ。

序盤から攻守のプレー遂行力、完成度の違いが出るものの、ワラビーズはブレイクダウンで奮闘。前半23分にはワラビーズPRアラン・アラアラトアがボール争奪戦でファイト。ターンオーバーを起こした。

この試合で4キャップ目の司令塔、豪レジェンドのマイケル・ライナーの息子であるSOトム・ライナーも魅せる。

ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ2025 オーストラリア遠征(7月19日)

【ハイライト動画】B&Iライオンズ vs. オーストラリア

ライオンズの守備突破が難しいとみるや、ワラビーズはSOライナーのショートキック&再獲得から攻略を試みる。前半27分のキックは相手に入ったものの、すばやくカバーに入って相手キックをクリーンキャッチ。危機管理能力もみせた。

「(SOライナーは)必要な時にボールを運び、ゴールラインまで上手く蹴り込み、後ろからスペースを見つけ出しました。彼の働きを誇りに思います」(ワラビーズ、ジョー・シュミットHC)

するとハーフ団の相棒、ワラビーズのSHジェイク・ゴードンもキックで存在感。

中盤からピンポイントのコンテストキックを落とすと、競り合ったWTBマックス・ジョーゲンセンが確保。そのまま独走を生み出して右隅へ。サンコープスタジアムを沸かせるチーム1本目を奪い、5点差(5-10)に迫った。

ライオンズはFLトム・カリー(イングランド代表)のチーム3本目で12点リード(17-5)で折り返すと、後半も好スタートを切った。

相手ラインアウトのオーバーボールをFLカリーが読み切って確保。カウンター攻撃が始まると、攻撃ラインに入ったFLカリーがラストパスをHOシーハンへ送り、トライアシスト。敵陣で確実にとりきるライオンズの能力が光り、24-5とリードを広げた。

「バックローの活躍は素晴らしかったです」

ライオンズの指揮官ファレルHCは言った。手首負傷により後半に途中交替したFLカリーはトライセーブのタックルなど攻守に活躍。FLバーンやNO8ジャック・コナン(アイルランド代表)の仕事ぶりも光った。

「(バックローのスタメン選考は)今週ずっと話題になっていましたが、彼らは必要な時に仕事をしてくれました」(ライオンズ、ファレルHC)

一方、自国民の前でプライドを示したいワラビーズ。

敵陣ゴール前中央のペナルティでは、強気のスクラム選択。ここでライオンズの武器であるスクラムに対抗してボールを出すと、世界が注目するCTBジョセフ=アウクソ・スアリイがトップスピードで突進。

そのままラック到達のセカンドマンらとトライエリアへ。一時はトライの笛が吹かれたが、ここはTMO判定の結果ボールを離さなかったとしてノートライ。ワラビーズは2本目を逃した。

だが後半25分にライオンズがラックでペナルティ。

ここから敵陣左に再び侵入。分厚いライオンズの防御壁に対して徹底的にフォワード勝負。近場で愚直な前進を続けると、10フェーズ目でグラウンディング。後半開始27分でようやく後半の一本目(チーム2本目)が生まれた。

12点差(12-24)に迫ったワラビーズ。

ライオンズが手堅くPG加点で15点差(12-27)となったが、最終盤はさらに攻勢。疲れのみえるライオンズに対してボール保持で連続攻撃。

左隅でWTBハリー・ポッターがゲインを切り、SHテイト・マクダーモットがラック脇のチャンスを察知してキャリー選択。チーム3本目が決まった。

リスタートのキックオフ時間は79分。

残り一分で自陣22mから攻撃を継続する8点ビハインドのワラビーズ。しかしパスミスでボールを失ってしまう。

自陣ゴール前ラインアウトは競り合ってボールを奪い返したが、ワラビーズのNO8ハリー・ウィルソンが自らタッチへ蹴り出してフルタイム。最終スコアは27-19。

ワラビーズはセットプレーで力強く対抗したが、アタックは決定力に欠いて得点が伸びず。一方でプレー遂行力、決定力に勝るライオンズが第1テストを制した。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたのはライオンズのFLバーンだ。

「全体的に私たちはしっかり準備したことをやり遂げ、来週に向けて良いスタートを切りました。規律を重んじることは重要になりますが、特に前半は試合をコントロールできたと思います」

ファレルHCも反撃のきっかけを与え続けたペナルティ、そしてミスについては課題感を示した。

「ペナルティをいくつか与えてしまったり、警告を受けたり、ルーズなオフロードパスやキャリーがあったりすると我々にプレッシャーがかかり、衝突で負ける場面も増えていました」

しかし指揮官は「今は素晴らしい状態であり、我々にはまだまだ可能性があります」と語り、シリーズ勝ち越しをかけた第2テストへ意気込んだ。

一方、第1テストを落としたワラビーズのシュミットHC。

「試合前の予想は分かりませんが、8点差以内で試合を終えたことは選手たちの気概、そして彼らが反撃したことの証です」と選手のハードワークを讃えた。

「我々は(今日の敗戦から)早く学び、来週からすぐ本気で取り組まなければなりません。我々はシリーズを勝ち越すことを切望していますが、ライオンズも(第2テストの舞台である)メルボルンで締めくくりたいと思っていることは分かっています」

ライオンズは7月22日(火)のファーストネーションズ&パシフィカXV戦の後、7月26日、ワラビーズとの第2テストに臨む。

このままでは終われない――ワラビーズのシュミットHCは、今回欠場したLOウィル・スケルトンやNO8ロブ・ヴァレティニといった強力なボールキャリアーの復帰の可能性を示唆した。それほどまでに、次戦は負けられない決戦であるということだ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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