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世界各国の女子代表チームがベストのコンディションで集結するワールドカップ(以下、W杯)の開幕が、約1か月後に迫っている(開催地/イングランド)。
2017年大会から3大会連続出場となった女子日本代表、サクラフィフティーンは、8月24日にノーサンプトンでアイルランドと戦い、8月31日には前回大会優勝のニュージーランド(エクセター)、9月7日にスペイン(ヨーク)と戦う。
7月19日(土)にミクニワールドスタジアム北九州(福岡)でおこなわれる『太陽生命JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2025』、女子日本代表×女子スペイン代表は、W杯に向けて重ねてきた準備の仕上げと言っていい。
7月26日(土)にも同じカードが秩父宮ラグビー場でおこなわれる。
チームにとっては標榜する『日本らしい戦い方』を限りなく完成形に近づける2戦となる。はやく、低く。自分たちの強みを出し、相手に力を出させないキーワードだ。
チームはスペインとの連戦後に正式にW杯メンバーを発表し、イタリアへ。同地でイタリア代表チームと戦い、本大会へ臨む。
女子日本代表は、過去の大会に第1回(1991年)、第2回大会(1994年)と連続して出場した後、第4回大会(2002年)に出た後は、2017年の第8回大会で復帰するまで、大舞台から離れていた。
大会方式がまだ定まっていなかった第4回大会までに2勝を挙げているものの(第4回大会の13-16位決定戦で2勝)、近年の大会では2017年大会の11位決定戦で香港に勝ったのみ。現行の大会方式となった前回大会は勝利をつかめなかった。
今大会では8強に入り、ノックアウトステージに進出することを目指す。
チームを率いるレスリー・マッケンジー ヘッドコーチ(以下、HC)は、今回のスペインとの第1戦について、「(強く感じている)興奮と積み重ねてきたハードワークを出す機会」と話す。
相手について国外のリーグで活躍している選手、セブンズでもプレーする選手が多く、スピードを警戒しているようだ。
ただ、サクラフィフティーンが貫くのは自分たちのスタイルだ。マッケンジーHCは「相手がどうしてくるかでなく、自分たちがやりたい形でプレーする。ジャパンらしいアタックをする」としている。
「ディテールにこだわって戦います。そのための準備をしてきました。そのためのスコッドを選んでいます」
スペインはW杯でも戦う相手。決してすべてをさらけ出して戦うことはないだろう。
また、選手にとってはW杯スコッド入りを懸けたセレクションという意味合いもある。個の力を出しつつ、チームへの貢献と献身が問われる。2試合を戦った段階で出た課題を修正、チームをブラッシュアップして大会へ向かう。
レスリーHCは、向來桜子(FL)をこの試合のキャプテンに指名した。同選手は5月におこなわれた『女子アジアラグビーエミレーツチャンピオンシップ2025』でも主将としてリーダーシップを発揮してチームをアジア王者に導いた。
また、カザフスタン戦では3トライも挙げ、堅実なディフェンスとともに、仲間にモメンタムを与えるパフォーマンスを披露した。
HCは同主将について、あらためて「アジアチャンピオンシップでの働きを評価した」と話した。
「(彼女は)チームのためなら命を懸けられる人間。何事にも全力で、周りも見え、理解できる人」と信頼を寄せる。
本人も、長い強化合宿を経て「チームはコミュニケーションが高まっています」と自信のある言葉を口にした。
「指名されたときには驚きましたが、キャプテンらしくするというよりは、自分らしくプレーしたい。それがチームのためにもなると思います」
チームの心臓部となる9番、10番は、阿部恵、大塚朱紗のコンビが務める。HCは「ゲームドライバーとして期待している」と期待を込め、テンポ作りと的確な状況判断を求める。
FWのバックファイブにはハードワーカーが揃っている。
バックスリーは、ステップワークのいい安尾琴乃、ロングキックもある松村美咲がWTBに入り、ランプレーに強みがある松田凜日がFBの位置から積極的にアタックに絡みそうだ。
強化の進むセットプレーやモールで安定したプレーを発揮し続けられれば、攻撃力も引き出される。
ベンチに齊藤聖奈が入ったのも楽しみだ。怪我を乗り越え、日本代表でのプレーは2024年10月以来となる。
トライライン直前でトライを取り切るセンスは抜群。相手防御の目が切れる瞬間にボールを手に前に出る。
フィニッシャーとしてピッチに出て、勝負どころで値千金のトライを挙げることを期待したい。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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