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ラグビー コラム 2025年7月14日

【ハイライト動画あり】男子セブンズ日本代表候補のSDSが世界を見据えて勝ち抜く。大阪府警察の魂、大会を熱く!

ラグビーレポート by 田村一博
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第1試合のキックオフは9時30分。優勝を決める15試合目、ファイナルは16時28分開始と、照りつける日差しの中、日本で唯一のセブンズの賞金大会は実施された。

7月13日に秩父宮ラグビー場で開催された『なの花薬局ジャパンセブンズ2025』に足を運んだファンは3858人。入場無料で一日中楽しめるのだから、熱心なセブンズ愛好家の顔が多く見られた。

大会のフィナーレを飾る表彰式で賞金150万円の目録を受け取ったのは、オリンピアンやセブンズ日本代表経験者らがいる男子セブンズ・デベロップメント・スコッド(以下、SDS)。選手たちの日常や専門性を考えれば、勝って当然の声も届きそうだ。

しかし、同チームの頂点までの足取りを見ても、準決勝の帝京大戦(29-17)は先制点を奪われ、前半を10-12とリードされる展開だった。
ひと泡吹かせてやろうとする対戦相手の気迫は、暑さとともにセブンズ代表候補たちを苦しめた。

大会を盛り上げたのは最終的に準優勝、賞金50万円を手にした大阪府警察だったか。
昨年の大会でも準優勝だったチームは、初戦の北海道バーバリアンズ戦で前半両チーム合計5トライ(17-14)という熱戦を制し(24-14)、準決勝へ進出。そして、そのNECグリーンロケッツ戦は今大会で一番と言っていい熱戦になった。

ラグビー ジャパンセブンズ2025(7月13日)

【ハイライト動画】NECグリーンロケッツ東葛 vs. 大阪府警察

大阪府警察はリーグワンから唯一の参加チームである相手に対し、セブンズ日本代表経験者の白國亮大のトライで先制点を奪う。
2トライを返されるも前半最後に逆転して14-12のスコアで後半を迎えた。

後半に入りなかなかスコアボードは動かなかったのだが、その時間帯に、両チームの負けん気がぶつかり合った。
後半開始のキックオフ後の28秒、自陣に迫られたグリーンロケッツは、自陣トライラインに高井良成が激しいタックル。廣田瞬主将をひっくり返し、トライセーブタックルも出た。
しかし1分58秒には、大阪府警察の川島俊亮が死角からグリーンロケッツの高井にお返しの猛タックル。球をこぼさせた。
最終的に21-12のスコアで決着がついた。

この試合で敗れたグリーンロケッツは最終的に3位となるのだが、3位決定戦の帝京大戦も17-14という熱戦だった。
大会を通して高いパフォーマンスを見せた帝京大の福田正武、齊藤桜暉に走られて0-14とされる苦しいスタート。なんとか逆転したのは後半6分だった。

ラストシーンは8分30秒。逆転を狙って真紅のジャージーが攻め立てる。ピッチを大きく使い、作ったチャンスを仕留めにかかった時だった。ボールキャリアーの足首を刈ったのはグリーンロケッツの屋部旺成。ノックオンを誘って勝利を決めた。
一発必中のタックルもセブンズの華である。

好タックルは、大会序盤の2試合目、北海道バーバリアンズ×福岡工業大の後半6分過ぎにもあった。
15-31とリードされていた福岡工業大だったが、最後まで諦めずに攻め続けて敵陣深くまで攻めた。しかし攻守が切り替わり、バーバリアンズに走られ、追加点を奪われたかと思われた。
そこで必死に戻っていた福岡工業大、山口健太郎の好タックルが出る。大きな声援が飛んだ。

ファイナルで大阪府警察に26-12と勝ったSDSの戦いぶりからは、この競技を深く理解していることが伝わってきた。
前半に3トライを集中させて19-0。勝者は早々に勝負を決めた。うまくゲームを作った仲間航太は、「世界を意識して戦っています」と話した。

ラグビー ジャパンセブンズ2025(7月13日)

【ハイライト】男子セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS) vs. 大阪府警察

前半2分、中野剛通主将が左端に決めたトライは、その前に仲間が右コーナー方向に転がしたキックから始まった。直接得点とはならなかったが、反則を誘う。PKから大きく振って仕留めた。
4分の植村陽彦のトライも、仲間のキックが呼んだ。やや左寄りのスクラムから左に出たボールを受けた背番号7は、右に攻めると見せかけて左後方の大きく開いたスペースにクロスキックを蹴り込む。コミュニケーションを取っていた植村が受け、そのままトライとなった。

「自分たちが世界と戦う時に、どういうプレーをしたら通用するか考えてプレーをしています」
そう話す仲間は、セブンズで生きていきたいと決心している。明治大学の4年生。高い探究心が感じられた。

SDSの指揮を執った男子セブンズ日本代表ヘッドコーチのフィル・グリーニングは、今大会が1日だけの開催のため、通常なら2日間開催が基本フォーマットの国際大会に合わせ、大会前日にハードトレーニングをおこない、この日に臨んだと明かした。

セブンズ日本代表キャップ29を持つ津岡翔太郎の存在などもあり、目の前の相手と戦いながらも、常に高いステージを意識していたチームが頂点に立った。
南アフリカの高校に学んでいた頃、陸上競技大会で100メートル10秒6を記録したという摂南大のカストン・マイケルズの走りに明るい未来も見えた。
会場ではインターバルの時間にイベント開催やゲスト出演もあった。もっと多くの人に見てもらいたい一日だ。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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