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ラグビー コラム 2025年7月9日

紙森陽太、石田吉平、中楠一期、ハラトア・ヴァイレア、ワイサケ・ララトゥブア、北村瞬太郎の6人が初キャップ。ラグビー日本代表でのデビュー戦を飾る。

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ウェールズに勝利した日本代表

7月5日(土)、福岡の『ミクニワールドスタジアム北九州』、ラグビー日本代表は『リポビタンDチャレンジカップ2025』でウェールズ代表と激突した。

シンビンもあり、前半は7-19とビハインドで折り返したが、後半に2トライを挙げた日本代表は、24-19で見事に逆転勝利。2013年以来となるウェールズ代表からの白星を挙げた(通算成績2勝13敗)。

試合後、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHCが、「若手で構成されたチームにとって非常に良い勝利だった」と満足げに話したように、若手選手の躍動が目立った試合となった。

この試合、2名のノンキャップ選手が先発に抜擢され、ベンチには『0』キャップの選手6人が置かれ、4人が出場。計6人の選手がうれしい初キャップを得た。

WTB石田(左)とPR紙森(右)

まず、ジョーンズHCの先発起用に、見事応えたのはPR(プロップ)紙森陽太(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)と、WTB(ウィング)石田吉平(横浜キヤノンイーグルス)の2人だった。

セットプレー、特にスクラムの安定で勝利に大きく貢献した紙森は、80分の出場に「ビックリした」と言い、「終わってみればすごく光栄なことだし、しかもウェールズ代表に勝利できたので、忘れられないすごくいい思い出になるファーストキャップだった」と目を細めた。

セットプレーを支えたPR紙森

また、スクラムに関しては「ファーストスクラムから押せるぞと感じた。最初うまくいってなかったが、レフェリーやチームメイトとコミュニケーションを取って、後半は上手く修正できた。相手は低さを嫌がっているような感覚はあった」と振り返った。

続いて、パリ五輪に出場した後、15人制に専念。今シーズンのリーグワンで11トライ挙げて、日本代表入りしたWTB石田。前半、トライアシストを決め、後半はハイボールで存在感を見せた。

強行出場したWTB石田

実は試合前の水曜に、人生で初めてギックリ腰になっていたが、強行出場した。「エディーさんに『最後は自分で決めろ』と言われて、行くしかないと思った」。

試合を振り返って、「一生記憶に残るファーストキャップだった。感慨深い。だだ、勝ったのはうれしいが、個人のパフォーマンス的にはすごく悔しい。ここからどんどん成長していきたい。(次戦は神戸)生まれ育った街で、成長した姿を見せられるようにがんばりたい」と前を向いた。

トライを挙げるFB中楠

続いて、ファーストキャップだけでなく、初トライも挙げた2人のコメントを紹介したい。まずは前半19分に本職ではない、FB(フルバック)で出場したのが中楠一期(リコーブラックラムズ東京)だ。

前半はシンビンとなってしまったが、後半19分に積極的なランでトライを挙げた。「ピッチに戻ってきたときは、メンタル的にリセットできていた。次のことを考えていた」。

初キャップを振り返っては「80分、みんなのエフォートが勝利したと思う。日本代表は小さい頃から夢だったので、本当に特別な試合だった。こうやって結果が出たことに対して、すごく自信になるし、やっていることは間違っていないと感じた」としみじみと話した。

WTBハラトア・ヴァイレア

続いて、後半11分からピッチに立ち、30分にはモールに参加して、見事に逆転トライを挙げたWTBハラトア・ヴァイレア(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)だ。

高校、大学時代はNO8(ナンバーエイト)でプレーしたり、キックも蹴ったりと万能選手として知られていたハラトアは、「ファーストキャップを取って、トライも取って、本当に勝ててうれしい。後半から出て、チームを助けるために、チームを助けて絶対勝つという気持ちだった。自分のパフォーマンスを出し切った」と破顔した。

ボールをキープするLOララトゥブア

さらにLO(ロック)ワイサケ・ララトゥブア(コベルコ神戸スティーラーズ)と、SH(スクラムハーフ)北村瞬太郎(静岡ブルーレヴズ)も、後半途中から出場し初キャップを得た。

「勝利して国際的なキャリアをスタートできてうれしい。ティア1の国に勝てたので本当にハッピー。本当に私は日本のファンが大好き。だから、日本のためにプレーすることを選んだ」(ララトゥブア)。

ピッチに入るSH北村

「プレータイムはほとんどなかったが、大事な試合で勝ってファーストキャップを取れたことはすごくうれしい。いろいろな人たちから『おめでとう』と言われた。自分の強みのランを活かして、日本の勝利に貢献したい」(北村)。

スクラムが優勢だったため、ジョーンズHCが「(スクラムを)ドミネートしている選手を替えられるわけがない」と話したように、FW第1列の3人が80分間、フルで出場。

PR木村(左)、HO江良(中)、LOララトゥブア(右)

そのためベンチのPR木村星南(東芝ブレイブルーパス東京)、HO(フッカー)江良颯(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)の2人は出番がなかったが、次戦こそ初キャップを狙いたい。

キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケル(ブレイブルーパス)は、「初めてテストマッチに出た選手には自信のつくゲームになった。この勝利で自信をもって、さらにハードワークを重ねることができる。そうすることによって、さらにチームは成長していく」とコメント。

PR紙森も「ファーストキャップの選手が、たくさんいて勝てたのは伸びシロがある。これから経験積んで、もっと日本代表は強くなると感じた」と話すように、大きな手応えを得た試合となったことは間違いない。

1戦目の勝利を、さらに価値ある勝利にするため、そして若い選手たちがさらなる自信をつけるために、日本代表は7月12日(土)、ノエビアスタジアム神戸で行われるウェールズ代表との第2テストマッチで連勝を目指す。

文/写真:斉藤健二

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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