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英愛ドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」の遠征3連勝か。
それとも、地元オーストラリアのスーパーラグビー(SR)チーム「ワラタス」が番狂わせを起こすのか。
12年ぶりにオーストラリアに遠征しているライオンズの調子が上がってきた。
遠征前に行われたアルゼンチン代表との初陣は24-28で敗れたが、本番となるオーストラリア遠征では、地元チームのフォース戦(54-7)、レッズ戦(52-12)と連勝を飾った。
レッズも先制トライを奪うなどして地元ファンを歓喜させたが、12-21で迎えた後半に突き放された。この試合で合計8トライを奪ったライオンズは、2試合連続の50得点オーバー。豪州SRチームとの実力差を明確にしつつある。
そんな状況で7月5日(土)、シドニーのアリアンツ・スタジアムで対戦するのがワラタスだ。
ワラタスは今年のスーパーラグビー・パシフィックで8位(6勝8敗)。2024年のリーグ12位からは順位を上げたものの、プレーオフには届かなかった。
ここでワラタスが勝利すれば「番狂わせ」と大々的に報じられ、一方でライオンズの前途を危ぶむ記事が量産されることになるのは間違いない。12年前の対戦においても、ライオンズが47-17で勝利している。
ではライオンズのメンバーを見てみよう。
先発変更は実に14人。イングランド代表のLOマロ・イトジェらが休養となり、ゲームキャプテンはアイルランド代表のLOタイグ・バーン(愛マンスター)が務める。唯一の連続出場はスコットランド代表のCTBヒュー・ジョーンズだ。
ハーフ団はイングランド代表であり、クラブ(英ノーサンプトン・セインツ)でもチームメイトのSHアレックス・ミッチェルとSOフィン・スミス。あうんの呼吸で攻撃をマネジメントできるだろう。
そして元ヤマハ発動機(現静岡BR)からスコットランド代表、ライオンズにまで飛躍したCTBシオネ・トゥイプロトゥだ。現在の静岡BRと同様、原石発掘に定評のあったヤマハ発動機から生まれた世界的スターに注目したい。
個人的に着目したいのは、アイルランド代表のFLジョシュ・ファンデルフリアーだ。
一般的に1試合20タックルでも驚異的だが、ファンデルフリアーは2018年のPRO14(現URC)で1試合34タックルをノーミスで成功させた記録を持つ“タックルの鬼”。彼の動きを追いかけるだけで“教材”にもなりそうだ。
また、この試合でアイルランド代表のFBヒューゴ・キーナン、仏トップ14で優勝を決めたトゥールーズ所属のWTBブレア・キングホーンがライオンズデビューを果たす。
さらにフォース戦で怪我をしたSHトモス・ウィリアムズ(ウェールズ代表)に代わり緊急招集されたSHベン・ホワイトは、リザーブから出場すればライオンズデビューとなる。
ホワイトはスコットランド代表合宿中にライオンズ追加招集の電話を受けたという。彼の言葉から、英愛の選手にとってライオンズ招集がどれほどの栄誉かを窺い知ることができる。
「ずっと震えが止まりません。信じられないほど光栄です。本当に興奮しています」(SHホワイト)
ライオンズのアンディ・ファレルHCはゲームキャプテン、そして永遠の名誉であるライオンズデビューを飾る3人へ祝福を送った。
「土曜の夜にチームを率いるタイグ、そしてライオンズデビューとなるブレア、ヒューゴ、ベンに祝福を送ります。これから大変な試合が続きます。ワラタスも必ずや勝利を掴もうとしてきます」(ファレルHC)
また、ライオンズはFBエリオット・デイリーが前腕骨折のためチーム離脱。指揮官の息子であるイングランド代表のオーウェン・ファレルが追加招集となっている。
スター軍団を迎え撃つワラタスだが、会場となるアリアンツ・スタジアムは「ほぼ満員」になると予想されており、アップセットへ向けて士気は高いだろう。
頼もしい仲間も加わり、オーストラリア代表合宿に参加していた「トンガの雷神」PRタニエラ・トゥポウ、そして躍動感溢れる俊足WTBアンドリュー・キャラウェイが戻り、先発に入った。またオーストラリア代表経験者では、2023年W杯を経験したFLロブ・レオタらもいる。
SHジェイク・ゴードン主将などの一部のワラビー(オーストラリア代表選手)を欠くものの、現メンバーでライオンズ撃破という偉業を達成したい。ゲームキャプテンは、19年の加入後からの主力で、この試合がプロキャリアの最終試合となるヒュー・シンクレアだ。
2024年に3年契約で指揮官となったワラタスのダン・マッケラーHCは、セットプレーでの優位性が重要な武器になる可能性がある、と意気込んだ。
「セットプレーでの優位性は我々のプレーの大きな部分を占めています。スクラムで優位に立つことができれば、フィールドポジションを獲得し、ペナルティカウントに入り、そこからゲームがスムーズに進みます」
マッケラーHCは「スーパーラグビーが終わってから、この1ヶ月間信じられないほど努力をしてきました」とも語り、勝利への強い意欲をのぞかせた。
PRタニエラ・トゥポウらを揃えたセットプレーで優位に立てば、もしかしたら――。果たして、シドニーのファンが後世に語り継ぐ試合となるのか。キックオフが今から待ち遠しい。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある
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