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ラグビー コラム 2025年6月30日

【ハイライト動画あり】東軍が後半にモール攻勢。西軍も随所で魅せた「東西学生対抗戦」。関西ラグビー協会100周年記念

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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6月29日(日)に東大阪花園ラグビー場で開催された関西ラグビー協会100周年記念、「東西学生対抗戦」を開催した。

炎天下の午後2時にキックオフされたドリームマッチで、まずは東軍の“早明ロック”が連携プレーで魅せる。

西軍のアタックに対し、普段はライバルである東軍LO栗田文介早大)がロータックル、そしてLO物部耀大朗(明大)がスティールを仕掛ける。早明で活躍する愛知県出身の2人が相手反則を引き出し、ターンオーバーを起こした。

西軍も朝日大学のNO8ヒンガノ・ロロヘアらが的確なタックル。東軍の最初のアタックでスコアを許さなかった。

心配な怪我もあり、前半6分頃には明治大学の主力WTB山村和也がキャリー後に起き上がれず。右足を押さえて担架で運び出され、明大のWTB海老澤琥珀がスクランブル出場となった。

最初のスクラム・ペナルティはその直後だ。

スクラム再開の敵陣中央スクラムで、早明のフロントローを最前列に据えた陣容でプッシュ。

早大PR山口湧太郎(桐蔭学園)、早大HO清水健伸(國學院久我山)、明大PR山口匠(流経大柏)という関東の強豪出身の3人をはじめにペナルティを誘い、ゴール前ラインアウトへ進んだ。

だが西軍はゴール前の守備で奮闘。相手のチップキックを蹴り返してカウンターのトライを奪うと、7点を先取した西軍はさらに追加点を奪う。

まず敵陣でNO8ヒンガノ・ロロヘア(朝日大)が強烈なクリーンアウト。ここにFL小林典大(関西学院大)が絡みついてスティール成功。ここからSO大島泰真(同志社大)がゴール目前に迫る絶妙タッチキック。

するとラインアウトでモール勝負と見せかけ、回り込んだHO大本峻士(立命館大)からWTBマイケルズ・カストン(摂南大)へ内返し。トップスピードで走り込んだ摂南大の4年生がラインブレイク。

そのまま歓声を浴びながら連続トライ。コンバインド・チームとは思えぬ連携プレーで14-0とリードを広げた。

関西ラグビーフットボール協会創立100周年記念 東西学生対抗戦(6月29日)

【ハイライト動画】関西学生選抜 vs. 関東学生選抜

ただ直後、東軍は武器のフィジカリティで反撃する。

まずキックオフ直後のファーストフェーズでNO8藤井達哉(明大)がスティール。ここから2度目の敵陣ラインアウトのチャンス。

西軍がモールでペナルティ(サイドエントリー)を犯すと、東軍は192cmの明大LO物部耀大朗がキャリー。そのままタックルを外してグラウンディングする豪快トライで、まずは一本を返した。

西軍も前半20分頃にスクラムで存在感。ノックフォワードを誘うプレッシャーをかけた。すると前半24分、そのフィジカリティで強みを発揮したのは朝日大のNO8ヒンガノ・ロロヘア。

練習生として愛知・トヨタヴェルブリッツの練習試合に出場している191cm121kgが、揃った守備ラインを撃破。さらにピックで前進して衝撃の3本目。ふたたびリードを14点(21-7)に広げた。

だが東軍がモールでトライ(前半31分)を奪って9点差(21-12)に迫ると、西軍はここまで攻守に活躍したNO8ヒンガノ・ロロヘアがタックル時にダウン。自分の足でピッチサイドに出て交代となった。

すると、モメンタムの生まれた東軍に3本目が生まれる。

東軍は西軍の自陣ゴール前スクラムで強烈ヒット。ここで近藤レフリーが西軍側にペナルティ判定。攻守交代が起きると、東軍NO8藤井(明大)がクイックタップ。そのまま弾丸のようなキャリーでゴール下に突っ込んだ。

前半はコンバージョン差で西軍が2点リード(21-19)。迎えた後半は両軍ともにメンバーが大きく替わった。

フロントローだけでも西軍がHO平野龍(京産大)、PR中田偲響(関西学院大)、PR柴田佳祐(近大)に。東軍はフロントローがHO西野帆平(明大)、PR清水栞太(帝京大)、PR森山飛翔(帝京大)となるなどフレッシュなメンバーが入った。

後半に東軍がスコアを重ねた理由が、強力スクラムとモールだ。

後半5分には相手投入スクラムを綺麗に押し切ってターンオーバー。西軍のチャンスの芽を摘んだ。

直後に東軍はラインアウトから流通経済大学のNO8ティシレリ・ロケティが力強いキャリー。ただ福岡工業大学のCTB中尾朔也が引き抜くビッグプレー。高いレベルの攻防が繰り広げられる。

だが東軍は後半7分に2連続のスクラム・ペナルティを誘うと、呼び込んだ敵陣5mラインアウトからNO8ティシレリ・ロケティがモール起点に逆転トライ。(24-21)

西軍は試みたスティールがペナルティとなり、反則→ペナルティのパターンで自陣ゴール前に後退。東軍がモールで連続トライを決めると、後半24分頃にも同パターンでモール・トライを奪取。リードを15点(36-21)に広げた。

西軍には劣勢時にこそ光るプレイヤーもいた。

西軍は被4連続トライのピンチで、WTB小林修市(京産大)が展開を読み切った鋭い詰め。相手のミスを誘ってターンオーバーを起こした。他にもアシュトン・テアウ(IPU・環太平洋大学)、そしてCTB中俊一朗(関西学院大)も再三のキャリーでエリアを獲り返した。

一方で、東軍はバックスでもスコアする総合力の高さを示した。

ペナルティ&モールのパターンで後半4本目を奪って20点リード(41-21)とした終盤だ。

敵陣左ラインアウトから2フェーズ目でFBコンラッド・セブンスター東海大)がギャップを突破。ディフェンダーとのすれ違いからダイビングをトライを決めると、さらに後半38分。

今度は敵陣右のラインアウトから展開攻撃。

1本前のトライ時はキャリーを選択していたカイサ・ダウナカマカマ(帝京大)がパス選択。一度限りのドリームマッチで「裏のプレー」を披露する懐の深さで、圧巻の後半6本目。上田倭士(帝京大)がフィニッシュした。(55-21)

だがドリームマッチを締めくくったのは西軍だ。

東軍が自軍投入スクラムからラストワンプレーで攻撃選択。タフなFL小林典大(関西学院大)がさすがのスティールで失点を防ぐと、すぐに自陣からクイックスタート。

ここでボールを受けたのは摂南大のWTBマイケルズ・カストン。後半40分過ぎとは思えぬ加速力で独走し、後半最初の得点を生み出した。

ハンドリングエラーが少なく、大学最高峰の好プレーが次々と披露された一戦の最終スコアは55-28。後半に強力スクラム&モールを中心として逆転した東軍が、2年連続の勝利を挙げた。

両軍から選出されるプレイヤー・オブ・ザ・マッチには、独走トライで締めくくった摂南大のWTBマイケルズ・カストン。勝利した東軍からは攻めてトライを奪い、守ってはスティールで得点機を呼び込んだNO8藤井達哉(明大)が選出された。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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