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4年に一度結成されるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズが、12年ぶりにオーストラリアに遠征する。6月28日のウエスタン・フォース戦から8月2日のオーストラリア代表戦まで、3テストマッチを含む9試合を行う予定だ。ライオンズは、イングランド、スコットランド、ウエールズ、アイルランドという伝統国の連合チームで、いつもはライバルとして戦っている選手たちが一堂に会するドリームチームだ。
1888年からの歴史を誇り、ラグビースピリットを体現する。垣根を乗り越えてともに戦うチームに選出されることは4カ国代表選手にとって至上の名誉であり、毎回、メンバー発表時には選手たちの歓喜の表情が伝えられる。当初は不定期に遠征していたが、1989年のオーストラリア遠征以降は、4年おきにオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカという南半球3強国を順に回るようになった。
英国時間5月8日、2025年のライオンズメンバー38名が発表された。FW21名、BK17名。内訳はアイルランド15名、イングランド13名、スコットランド8名、ウエールズ2名だ。3度目のツアーとなるのはLOマロ・イトジェ(イングランド)、PRタイグ・ファーロン(アイルランド)、WTBエリオット・デイリー(イングランド)の3名。シックスネーションズ最終節でイングランド代表デビューを飾ったばかりの20歳のFLヘンリー・ポロックが最年少となる。チームを率いる、アンディ・ファレルヘッドコーチは、マロ・イトジェをキャプテンに選んだ。イトジェのライオンズ、イングランド代表合計の100キャップは、今回のツアーで達成されそうだ。
ライオンズは、オーストラリア遠征に先立ち、6月20日(金)、アイルランド共和国のダブリン(アビバ・スタジアム)でアルゼンチン代表と戦う。18日に発表されたメンバーを見ると、キャプテンのイトジェを筆頭に、PRエリス・ゲンジ、FLトム・カリー、SHアレックス・ミッチェル、SOフィン・スミス、FBマーカス・スミスらイングランドが先発15名中9名。ここに、アイルランドのバンディー・アキ、スコットランドのシオネ・トゥイプロトゥのCTBコンビ、スコットランドのトライゲッターWTBドゥーハン・ファンデル=メルヴァ、ウエールズのFLジャック・モーガンが加わるなど豪華な面々だ。
アルゼンチン代表にとっては、2005年以来のライオンズとの対戦となる。20年前はウエールズのカーディフで開催され、25-25の引き分けだった。キャプテンを務めたフェリペ・コンテポーミが現在の代表ヘッドコーチだ。昨年のザ・ラグビーチャンピオンシップでは、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアにそれぞれ1勝し、11月のオータムネーションズカップでも、アイルランドと3点差の死闘を繰り広げるなど堂々たる実力を備えている。今回の先発メンバーも、キャプテンのHOフリアン・モントーヤ、バイスキャプテンのFBサンチャゴ・カレーラス、日本の三重ホンダヒート所属のFLパブロ・マテーラなど国際舞台の経験豊富な選手に加えて、昨年から代表入りしたCTBジュスト・ピカルド(23歳)など若い選手も含まれる。
ライオンズのアンディ・ファレルヘッドコーチは、「アルゼンチンは、真っ向勝負でプレッシャーをかけ、ワイドに展開してくるだろう」と話す。激しいフィジカルバトルと、フィールドを横幅いっぱいに使った攻防が楽しめる試合になるだろう。ライオンズがアイルランドの地で試合をするのは、これが初めてのことになる。
12年前(2013年)のオーストラリア遠征では、オーストラリア代表とのテストマッチは、2勝1敗と勝ち越した。2017年のニュージーランド遠征では1勝1敗1分け。2021年のコロナ禍での南アフリカ遠征では1勝2敗で負け越し。過去の通算成績で勝ち越しているのはオーストラリアのみ、だからこそ、今回の遠征で予定されている3つのテストマッチはなんとしても勝ち越したい。ライオンズとしては、アルゼンチンに快勝して勢いをつけたいところだ。
文: 村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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