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ラグビー コラム 2025年6月9日

【ハイライト動画あり】明治大学が永遠のライバル・早稲田大学から45得点!関東大学春季大会2025

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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平翔太主将(明治大学)

紫紺ジャージーの明治大学が春の早明戦で躍動した。

2025年の関東大学春季大会Aグループ。6月8日に岐阜メモリアルセンター長良川競技場に観客5076人が集った一戦で、大会2勝の明治大学が、まずはスクラムで魅せた。

前半6分だ。明大が3番(PR山口匠)側から力強く上がり、大会4連勝を狙う早稲田大学のボールをターンオーバー。スクラムで攻守交代を起こした。

しかし早大も崩れない。この日は鉄壁のモール・ディフェンスを見せた。

前半11分にブレイクダウンのペナルティから自陣ゴール前に後退。明大のクリーンキャッチからモールの攻防となったが、低く的確なプッシュでモールをピタリと止めてみせた。

が、直後のディフェンスで早大にアクシデント。

好調の先発PR杉本安伊朗が逆ヘッドのロータックルでダウン。担架で運び出され、PR山口湧太郎がスクランブルで途中出場。経験豊富な4年性PR山口は終盤までエナジー高く動き回った。

ただリスタートのスクラムで、守備人でもある明大のNO8藤井達哉が鋭い単騎突撃。

ここは早大WTB田中健想が鋭いタックルで一撃ダウン。さらにWTB田中は相手SH柴田竜成のトライを狙ったキャリーも押し返す。172cmのU23日本代表ウイングが驚異的な守備力を見せつける。

だがゴール目前に迫ったPR山口匠がラック脇の攻防を制し、明大が先制トライ。機先を制し、ゴール成功で7点を先取した。

両校はハイレベルな早明戦を展開した。

早大が自陣からのワイド展開&ウイングのショートキック。ライン際で捕球させてタッチへ押し出して自軍投入ラインアウトを獲得。理想的な自陣脱出を見せる。

かたや明大はNO8藤井がすぐにボールスティール成功。ここから明大が試合ペースを速めるクイックスタート。しかし早大LO萩原武大もお返しのスティール。ハイペースで両校のスキルが披露される好勝負が繰り広げられる。

だが、スコアボードを動かしたのは明大だった。

関東大学春季交流大会2025 Aグループ(6月8日)

【ハイライト動画】早稲田大学 vs. 明治大学

白井瑛人(明治大学)

ラックでのスティールから敵陣右へ。ラインアウトモールの攻防で早大がペナルティを犯すと、明大はスペシャルプレーを発動。右のWTB白井瑛人が死角から走り込む一撃でクリーンブレイク。トライ(ゴール)を奪った。

14点を背負った早大だったが、待望の初トライが生まれる。

端緒はラックでのPR前田麟太朗のファイト。3番定着を狙う2年生のラックでのプレッシャーから相手がペナルティ(ダブル・モーション)。

ここから敵陣右に侵入。ラインアウトからクイックハンズで明大守備のプレッシャーを凌駕し、左エッジで大幅ゲイン。

波状攻撃を続け、最後は茗溪学園中・高出身のCTB黒川和音が守備のギャップを突破。高速でタテ・ヨコの連続攻撃を繰り出し、明大からトライ(ゴール)を奪った。

早大は自陣ディフェンスでのペナルティ(オフサイドなど)に苦しめられ、前半終盤にも自陣22m内ラインアウトのピンチ。しかしモール守備は引き続き効果的。

早大はスケールアップした2年生NO8城央祐が明大モールに割って入る好守。FW戦で一歩も引かないファイトをみせる。

だがFW戦で優位が得られずとも、ボールを動かして得点できるのが近年の明大の強みだ。

前半終了前にはモールを止められたラインアウトで、ロングスローからCTB平翔太主将が突進。さらにCTB東海隼が急加速からゲインを取る。

SH柴田の的確なロングパスが左隅で数的優位をつくると、FL最上太尊がクリーンブレイク。3本目を奪って19―7として前半を終えた。

メンバー交代で先に動いたのは明大だ。

後半開始から一枚目のカードを切った。3年生SO伊藤龍之介だ。BR東京所属の兄・耕太郎も元明大の司令塔。判断、スキル、ラン能力を備えたその伊藤が、後半7分にトライを演出する。

まず早大の自陣脱出のキックが甘くなり、エリア中央からカウンター。防御に走った相手フルバックが開けた無人スペースへショートキックを落とす。

直後のボール争奪戦で数的有利になると、早大がペナルティ。その直後。反則後の隙を突いて伊藤が左大外へクロスフィールドキック。左隅に陣取っていたFL最上の2連続トライを演出してみせた。(G失敗、24-7)

服部亮太(早稲田大学)

と、流れを変えたい早大は、ここで188cmの小林光晴、司令塔の服部亮太を投入(後半7分)。

すると昨季ルーキーながら司令塔に定着した服部が、攻撃的な長短キック、ラン能力を早速発揮する。

後半23分だ。

早大がペナルティの増えた明大を自陣へ押し込むと、敵陣左ゴール前スクラムからバックス展開。ハイテンポで順目にボールを出すと、服部が整備前の相手ディフェンスをランで突破。12点差(12-24)に詰め寄った。

だが明大はこれ以上の追加点を許さなかった。

大会初戦から高い守備力を発揮している明大。自陣からの展開攻撃を選択した早大に対して、エリア中央でNO8藤井達哉がハードタックル。

ここで相手キャリアーからボールを奪うと、捕球したFL最上が攻撃準備のために手薄になっていた左サイドを突破。そのまま走り切ってハットトリック達成。CTB平主将が左隅からのコンバージョンも決め、31-12とリードを広げた。

この日のリザーブは通常より3人多い11人。後半32分以降は両軍の全選手が出場。終盤はリザーブ陣同士がメインのバトルとなった。

この状況で、明大の重厚なリザーブ陣が実力を発揮した。

まずは後半34分。

明大は途中出場のHO高比良恭介(2年)、PR田代大介(3年)、PR佐藤蓮(2年)がフロントローとなったスクラムで、ヒット後の第2波で強烈なプッシュ。スクラムが“走る”ほど圧倒劇でペナルティを誘った。

ここからエリア前進後、山形中央高出身で昨年紫紺デビューした背番号19、4年生の菊池優希が強烈タックル。ここにHO高比良がスティール成功。途中出場組の2人で攻撃権を奪った。

早大も後半37分、PR杉本の怪我で前半10分から出場しているPR山口が、自陣22mのピンチで相手からボールを奪取。

PR山口のハードワークで一時ピンチを脱したものの、直後のラインアウトで明大CTB平主将がラインブレイク。フットワークとパワーで局面打開のできるスキッパーが走りきり6本目。(G成功、38-12)

さらに明大が自陣攻撃から畳みかける。

自陣からCTB平主将の突破&オフロードパスでゲインを切ると、途中出場の海老澤琥珀が鋭いフットワークで守備を翻弄。

後手となった早大に対して、深いラインを敷いてワイド展開。先発&リザーブ組を交えたラインが、正確なパスで突破を創出。こちらも途中出場の伊藤利江人が独走トライを決めた。(G成功、45-12)

直後、大勝ムードで緊張が解けたか、明大はスローガン「完遂」を体現するべき立場の主力に軽いプレーが目立ってしまう。

ただ豊富な選手層、一貫性のあるセットプレー、スキルを披露した明大が、終盤の3連続トライで突き放して45得点。守っては早大を12得点に抑え、大会3勝目を手にした。

早大は主将のCTB/SO野中健吾、そして昨年日本代表にデビューした3年生FB矢崎由高が不在だった。しかし明大も日本代表のトレーニングスコッド合宿に参加中の3年生FB竹之下仁吾らがおらず、一部主力の不在は同条件だ。

明大は、昨季の対抗戦での雪辱を果たすと共に、チームの進むべき道や方向性の正しさを確かめる機会になっただろう。しかしこの「大勝の経験」が真にプラスとなるかどうかは、シーズンが終わってみなければ分からないはずだ。

今季のメイジは頂点に手が届くのか――。

その行方を占う上で重要な一戦となるのが、5連覇を狙う帝京大学との次戦だ。6月15日(日)、静岡・遠州灘海浜公園球技場で、3戦全勝同士の「真紅」と「紫紺」がぶつかる。

一方、今大会チーム最多となる45失点を喫し、大会初黒星を味わった早大。

大敗に繋がるパターンを発見したという意味では重要な経験だろう。それに大敗したチームが強くなっていく過程は、身をもって知っている。昨季の夏・秋に完勝した相手・帝京大学が、完敗を糧に成長し、選手権決勝では33-15で競り負けたからだ

「大敗の経験」をどう生かすかが注目される早大の次戦は6月22日(日)。午後2時にキックオフされる帝京大学との大一番が待ち受ける。

春の早明戦で刻まれた「45-12」というスコアが、これからどのような物語へとつながっていくのか。2025年度の大学ラグビーから、ますます目が離せない。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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