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天理大戦でタックルをかわすCTB黒川
チーム野中の新たな船出とともに始まった関東大学春季交流大会は、いよいよ佳境に突入する。次なる相手は、宿敵・明治大学。決戦の地は、関ヶ原を擁する岐阜県・長良川競技場。伝統の一戦が、歴史の重みが漂う舞台で火蓋が切られる。
先週の天理大学とのトレーニングマッチでは惜敗を喫した早稲田大学だが、春季大会ではここまで盤石な戦いをみせ、連勝を重ねている。タレント軍団の明大を下し、さらなる自信をつかむことができるか。今季の行方を占う伝統の一戦に注目が集まる。
先週、奈良・天理親里球技場で行われた天理大との一戦。早大は不運な形で立て続けに失点を重ね、序盤からリードを奪われる苦しい展開となった。しかし、スクラムでは圧倒的な強さを発揮し、主導権を奪い返すと着実に得点を重ねていく。前半を終えて21-19とわずかにリードを奪って折り返した。
迎えた後半、試合はさらに激しさを増す。再び先にスコアを許した早大は、立ち上がりで苦戦を強いられる。それでも終盤には意地を見せ、勝利をラストワンプレーに託したが、ノックフォワード。1点差で涙を飲んだ。
試合後、CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)は「ディフェンスの場面で、みんなで同じ絵を見ることができなかった」と振り返った。被6トライという結果が示すように、守備の乱れが敗因のひとつであることは間違いない。宿敵・明大から白星を奪うためには、昨季に見せたような堅守の復活が不可欠だ。
対する明大は前節、東海大学を47-0で一蹴。無失点で試合を終えるなど、危なげない戦いぶりを見せつけた。どんな窮地でも崩れない紫紺の壁が立ちはだかる。そんな明大に立ち向かう早大は、今年のスローガンである『One Shot』のように、相手の隙を見逃さずに確実に仕留め、リードを広げていきたいところだ。
自ら仕掛けるSH糸瀬
勝負の鍵を握るのは、両SH(スクラムハーフ)。明大SH柴田竜成は相手の一瞬の油断を見逃さず、即座にスコアへとつなげる嗅覚が最大の武器だ。その柴田に対峙するのは、早大の快速SH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)。早いテンポの球捌きと俊足からのチャンスメイクで試合を支配する超攻撃型SH対決から目が離せない。
さらに、明大のスクラムを支えるPR(プロップ)山口匠にも注意が必要だ。今春のU23日本代表にも名を連ねた逸材で、巨体を生かした破壊力満点のボールキャリーとスクラムは早大にとって大きな脅威となるだろう。
ボールキャリーするPR前田
早大の注目選手は、何と言ってもPR前田麟太朗(スポ2=神奈川・桐蔭学園)だ。彼の最大の武器はスクラム。先週の天理大戦では関西の強力なスクラムともしっかりと組み合い、存在感を存分に示した。今節も、紫紺の重戦車を打ち破ることができるか。
さらに、前田の魅力はフィールドプレーにもある。今季から3番に定着しつつある中で、持ち前のボールキャリーで力を発揮し、春季大会を通して攻撃の起点となってきた。簡単には止められない推進力は、紫紺の壁をも打ち砕く。赤黒の3番を揺るぎないものとするためにも、宿敵相手に暴れてみせる。
宿敵・明大から白星をもぎ取るために、早大に求められるのは何よりも一貫性だ。アタックでは、自らの強みである展開ラグビーを貫き通す。そして、ディフェンスでは昨季のような鉄壁の守りを再現しなければ勝利は見えてこない。
80分間を通して15人で、同じ絵を見続けることはできるのか。春シーズンの大一番となる伝統の早明戦。赤黒と紫紺が、熱き火花を散らす。
文:大林祐太/写真:村上結太、伊藤文音(早稲田スポーツ新聞会)
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