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ラグビー コラム 2025年6月4日

ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、スプリングボクスに1勝2敗。2021年南アフリカツアーを振り返る

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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2021年南アフリカ遠征

イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの代表選手が集い、4年に1度、南半球に遠征するドリームチーム『ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ』(以下、B&Iライオンズ)。スプリングボクスに1勝2敗と負け越した、2021年南アフリカツアーを振り返りたい。

前回のツアー、『B&Iライオンズ』は7月3日から8月7日にかけて、南アフリカへ赴いた。『スプリングボクス』こと、南アフリカ代表に対して、1997年以来の勝ち越しを狙ったものの、1勝2敗で負け越す結果となった。

◆2021年南アフリカツアー結果

・6月26日(土)○28-10 日本代表 @スコットランド

・7月03日(土)○56-14 ライオンズ
・7月07日(水)○54- 7 シャークス
・7月10日(土)○71-31 シャークス
・7月14日(水)●13-17 南アフリカA
・7月17日(土)○49- 3 ストーマーズ

・7月24日(土)○22-17 南アフリカ
・7月31日(土)● 9-27 南アフリカ
・8月07日(土)●16-19 南アフリカ

2013年のツアーから3回連続で、ニュージーランド出身のウォーレン・ガットランドが、B&IライオンズのHC(ヘッドコーチ)を務めた。ガットランドは2007年から19年まで、ウェールズ代表のHCを務めた後、『チーフス』のHCに就任していた。

メンバーは3度目のツアー参加となったキャプテンのLO(ロック)アランウィン・ジョーンズ(ウェールズ)を筆頭に、今回キャプテンを務めるLOマロ・イトジェ(イングランド)、HO(フッカー)ルーク・カーワンディッキー、NO8(ナンバーエイト)ジャック・コナン(アイルランド)、PR(プロップ)タイグ・ファーロング(アイルランド)らがFW(フォワード)いた。

BK(バックス)では、SO(スタンドオフ)ダン・ビガー(ウェールズ)、オーウェン・ファレル(イングランド)、FB(フルバック)スチュアート・ホッグ(スコットランド)ら、各代表の中心選手37人が選出された。その後、ケガの入れ替えも含めてツアーでは、合計42名の選手が召集された。

コロナ禍の影響もあり、延期や中止も含め、開催の可否が検討されたものの、2021年3月、ツアーは予定通り開催されることが発表された。

通常の遠征の通り、南アフリカのクラブとの8試合はそのチームのホームスタジアムで開催される予定だったが、チームの移動を減らすため、8試合すべてをヨハネスブルクとプレトリアのあるハウテン州、そしてケープタウンにある計4つの会場に集約して開催するスケジュールに変更された。

また、南アフリカ国内から選手を招集するリスクを軽減するため、南アフリカ招待チームとの対戦が、南アフリカの『ライオンズ』(当時スーパーラグビー)との試合に変更された。

『ブルズ』との試合は、ブルズ側にコロナの陽性者が複数確認されたため中止となり、代わりにシャークスとの2試合目が追加されることとなった。最終的には、クラブチームとの4試合と南アフリカA代表と1試合、『スプリングボクス』との3試合の計8試合が南アフリカで行われた。

チームはスコットランドで、『日本代表』と対戦し、28-10と勝利した後、南アフリカに向け出発した。

ツアー初戦の『ライオンズ』戦で56-14、続く『シャークス』との2連戦で54-7、71-31と3連勝を達成したが、4戦目となった『南アフリカA代表』との試合では、先制されて追い上げるも、13-17とこのツアーで初黒星を喫した。それでも『ストーマーズ』との対戦で49-3と快勝し、『スプリングボクス』との3連戦に臨んだ。なお、テストマッチは3戦すべてケープタウンで開催された。

テストマッチ1試合目では、FBスチュワート・ホッグ、WTB(ウィング)ドゥハン・ファン・デル・メルヴァ、SH(スクラムハーフ)アリ・プライス、LOロリー・サザーランドが先発で出場。2005年以降、スコットランドの選手が『B&Iライオンズ』のテストマッチに初めてスタートからプレーし、1989年以来、最も多くのスコットランド人選手がスタメン出場した試合となった。

一方の南アフリカ代表は、キャプテンのFL(フランカー)シヤ・コリシを筆頭に、2019年ワールドカップの優勝メンバーをずらりと揃えた。

FWのスターティングメンバーには、LOフランコ・モスタート(三重ホンダヒート)、FLピーター・シュテフドュトイ(トヨタヴェルブリッツ)、NO8(ナンバーエイト)クワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)。

BKはSH(スクラムハーフ)ファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)、CTB(センター)ダミアン・デアレンデ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、WTB(ウイング)チェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス)。

また、ベンチにはHOマルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、LOルード・デヤハー(埼玉ワイルドナイツ)と、現在もリーグワンで活躍する選手が多く名を連ねた。

前半は両者ともトライを許さず、『スプリングボクス』のSOハンドレ・ポラードが4つ、『B&Iライオンズ』はSOダン・ビガー(ウェールズ)が1つのPG(ペナルティゴール)を決め、12-3とスプリングボクスがリードして折り返した。

だが、後半に入って規律が乱れ始めた南アフリカ代表に対し、『B&Iライオンズ』は、HOルーク・カーワンディッキー(イングランド)がモールからトライを挙げると、流れをひっくり返して、22-17と逆転勝利を収めた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはLOイトジェが選出された。

続くテストマッチ第2戦では、互いに1人ずつイエローカードが出て慎重な展開となる中、前半、『B&Iライオンズ』はSOダン・ビガーの3本のPGで、9-6とリードした。しかし、後半に入るとスプリングボクスは、WTBマカゾレ・マピンピのトライで逆転し、20分にはCTBルカニョ・アムのトライで追加点を挙げた。

『B&Iライオンズ』は『スプリングボクス』の『ボム・スコッド』のプレッシャーでノートライに終わり、9-27と敗戦した。これで1勝1敗となり、決着は最終の第3戦に持ち込まれた。

最後のテストマッチでは、HOケン・オーウェンス(ウェールズ)のトライと、SOフィン・ラッセル(スコットランド)のPGで10-6と、『B&Iライオンズ』がリードして折り返した。しかし、後半に入ってスプリングボクスのWTBチェスリン・コルビがトライを挙げて、南アフリカ代表が逆転した。

それでも『B&Iライオンズ』は途中交替で入ったSOラッセルが、距離のあるPGを決めるなど食らいついて、その後は互いにキックを決め合い、試合は終盤までもつれ込んだ。

最終的には途中交代で入った南アフリカ代表SOモルネ・ステインが、残り3分で決めたPGが決勝点となり、『B&Iライオンズ』は16-19と『スプリングボクス』に惜敗した。これでテストマッチは1勝2敗となり、1997年以来の南アフリカでの勝ち越しとはならなかった。

しかし、2019年のワールドカップを制したチャンピオン相手に、いずれも僅差のゲームを繰り広げたことで、この『B&Iライオンズ』の遠征は一定の評価を得た。

この南アフリカツアーで最も輝きを見せたLOイトジェがキャプテンについた2025年のオーストラリアツアーでは、現行の4年に1度のツアーとなってから、初の全勝が大いに期待されている。

文:斉藤健二

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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