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ラグビー コラム 2025年6月2日

【ハイライト動画あり】W杯出場目指すホンコン・チャイナ代表から10トライ。JAPAN XV圧勝で、個々が日本代表入りアピール

ラグビーレポート by 田村一博
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トライ数は10と2だった。
しかし、勝ったJAPAN XVも敗れたホンコン・チャイナ代表も、目標は先にある。
前者は、このチームからできるだけ多く日本代表選手を輩出することが目的。後者は、代表チーム強化のプロセスを歩んでいる途中にある。

5月31日に大分・実相寺多目的グラウンドでおこなわれたJAPAN XVとホンコン・チャイナ代表の一戦は、64-12のスコアで、リーグワンの7位~10位チームの選手たちで構成された側が大勝し、大分でのシリーズを終えた(3試合)。

先制したのはホンコン・チャイナだった。
前半3分過ぎ、左ラインアウトから攻めた紺色のジャージーは、ピッチ中央でのラックからSHジャック・コムズが動いた後、FWが強いボールキャリーを見せて前に出た。そして最後は右外に展開し、WTBマックス・デンマークが右端でトライラインを越えた。

出場国数が2023年大会までの20チームから24とされる、2027年のワールドカップ。ホンコン・チャイナは、新設されるアジア枠を自分たちのものとするため、計画的に強化を図ってきた。その一端が見られたシーンだった。

しかし、『超速』ラグビーの体現者を育成、発掘するための活動でもあるJAPAN XVが、積み上げてきたものを発揮するまでに時間はかからなかった。
7分過ぎ、ボールを大きく、はやく動かしたアタックを5点につなげたのは左のエッジにいたLO山本秀。その背番号5がボールを手にした時には、相手ディフェンダーはついて来ることができていなかった。

そのシーンは、JAPAN XVのトライショーの始まりを告げる号砲だった。
11分のPJ・ラトゥ(CTB)のトライは、キックで敵陣に入り、チェイスで圧力をかけて奪ったもの。背番号13は相手の蹴ったボールをチャージし、自らそれを押さえた。

24分に挙げた5点はFB伊藤耕太郎が左隅にボールを置いたもの。スクラムで圧力をかけ、PKから速攻を仕掛けて相手ゴール前に迫って取り切った。

ラグビー日本代表強化試合2025(5月31日)

【ハイライト動画】JAPAN XV vs. ホンコン・チャイナ

JAPAN XVの運動量とスピードについて来られなくなったホンコン・チャイナに対し、ラインアウトの並びを急ぎ、ポジショニングの遅れを呼ぶなどテンポでかき乱し、28分にもトライラインを越えた。
このときのトライスコアラー、FL青木恵斗は、187センチ、110キロのサイズながら動き続けるパフォーマンスを見せた。今シリーズを通して目立ったひとりだ。

22-5としたJAPAN XVは、前半最後の10分にさらにギアを上げて、完全に勝負を決めた。
この時間帯に3トライを挙げる集中力を見せたのが11番のWTB、高本とむだ。
帝京大時代に多くのトライを重ねた好ランナーは、2023-24シーズン途中にリコーブラックラムズ東京に加わるも同シーズンは出場機会を得られず、2024-25シーズンも、シーズン最終戦に途中出場しただけだった。

しかし、この日は本来の決定力を出した。
33分のトライは相手のハンドリングエラーでこぼれたボールを手にして60メートルを走り切ったものだったが、その後の3分間は、自分のサイドだけでなく大きくサイドチェンジをしながら、最終的にラストパスを受けた。

38分に挙げたトライは、PKからの速攻でFB伊藤が防御の裏に出たところをサポート。その反応の良さと巧みなランニングコースで走り切った。
もっと厳しい局面での対応力、打開力も見てみたいと思わせた。

後半も3トライを追加し、相手との力の差を見せつけながらも、時おり課題が顔を見せたJAPAN XV。そのパフォーマンスは、日本代表を率いるエディー・ジョーンズ ヘッドコーチの目にどう映っただろう。

6月4日からは菅平で、日本代表予備軍を集めたトレーニングスコッド合宿がおこなわれる。
そこには、大分で戦った3試合のパフォーマンスからピックアップされた選手たちも招集される。果たして、何人がその中に入れるだろう。

その先には、日本代表スコッド発表と、JAPAN XVによるマオリ・オールブラックス戦(6月28日)が控え、テストマッチ期間に突入する。
エディーの視点でホンコン・チャイナ代表戦を見て、この夏の日本代表メンバーを予想するのも楽しい。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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