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残留を決め歓喜の浦安D-Rocks
5月30日(金)31日(土)、リーグワン ディビジョン1と2の入替戦第2戦が行われ、来シーズンのディシジョン1に参戦する12チームが決まった。
5月31日(土)はディビジョン1で12位の浦安D-Rocksが、ディビジョン2で1位の豊田自動織機シャトルズ愛知と、残留・昇格をかけて千葉・柏の葉公園総合競技場で激突した。
昨シーズン、ディビジョン1初昇格したD-Rocksは白星に恵まれず、3勝15敗の勝ち点14で最下位となり入替戦に回った。一方、シャトルズはディビジョン2で、11勝3敗の勝ち点52で優勝。昇格を目指し入替戦に臨んだ。
シャトルズのホストグラウンド、愛知・ウェーブスタジアム刈谷で、5月24日(土)に行われた第1戦は、D-Rocksが試合開始から15分で28-0と大量リードしたが、そこからシャトルズも反撃。シーソーゲームの末、43-42とシャトルズが劇的な逆転勝利を収めて初戦を制した。
これでシャトルズは勝ち点4、D-Rocksも7点差以内の敗戦で勝ち点1を獲得した。シャトルズは第2戦で引き分け以上なら昇格。一方、D-Rockは2点差以上つけて勝利すれば残留となる。
この日が引退試合となったD-Rocksの元日本代表LOジェームス ・ムーア
D-Rocksのグレイグ・レイドローHC(ヘッドコーチ)は第1戦から、FW(フォワード)4名、BK(バックス)1名と5名の先発を入れ替えた。一方、シャトルズの徳野洋一HCは、第1戦からBK1名のみ先発を入れ替えて第2戦に挑んだ。試合は午後0:00にシャトルズボールでキックオフされた。
序盤は互いにチャンスを作るも、雨の影響でパスやキックの精度も上がらず、互いにミスをして、なかなかフィニッシュまで持っていくことができなかった。
均衡を破ったのはビジターのシャトルズだった。前半14分、マイボールラインアウトをキープ。元イングランド代表のSO(スタンドオフ)フレディー ・バーンズがキックパスを右サイドに蹴り、そのボールをWTB(ウィング)チャンス・ペニが受けてそのままトライ。ゴールも決まり、7点を先制した。
さらに21分、シャトルズはラインアウトで乱れたボールを、元サモア代表のNO8(ナンバーエイト)タレニ ・セウが拾い、そのまま走り切ってトライ。第1戦とは逆にシャトルズが連続トライを奪い、14点をリードする。
だが、その後の相手のチャンスを防いだD-Rocksが反撃を仕掛ける。29分、シャトルズのラインアウトが乱れるとボールを奪い返し、CTB(センター)サム ・ケレビが一気に前進してトライを挙げた。
34分、D-RocksはSOオテレ・ブラックのPG(ペナルティゴール)で3点を追加。さらに36分、キックカウンターからNO8ネイサン・ヒューズが突破し、パスを受けたCTBケレビが連続トライを奪い、17-14と逆転に成功して前半を折り返す。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25
【ハイライト動画】D1/D2 入替戦 第2戦 浦安D-Rocks vs. 豊田自動織機シャトルズ愛知
後半、風上のD-Rocksはキックを使って敵陣に入り、ペースを掴む。後半16分にはスクラムのペナルティから敵陣ゴール前まで迫り、最後は左に展開しFB(フルバック)安田卓平が飛び込んでトライ。24-14と10点リードとする。
シャトルズも27分に、途中出場のNO8イシレリ・マヌがモールからトライを返し3点差にまで追い上げた。だが、リードしてから冷静に戦っていたD-Rocksは33分、相手の反則から得たPGを、SOブラックが決めて突き放すと、その後もディフェンスで集中力を見せ、そのまま27-21でノーサイド。
POMに輝いたD-RocksのNO8ヒューズ
勝ち点、トライ数で並ぶも、得失点差で上回ったD-Rocksがディビジョン1残留を決めて、フィフティーンは喜びを爆発させた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはボールキャリー、スティールで気を吐いたD-RocksのNO8ヒューズが選出された。
昇格まであと一歩届かなかったシャトルズの徳野HCは「昇格はできなかったが、D-Rocksという素晴らしい選手がたくさんいるチームに、真剣に向き合ってチャレンジできたこの2週間という時間は、本当に自分たちにとってもワクワクする時間だった」。
「また、D-Rocksが示す高いスタンダードに追いついて、追い越したいという気持ちが選手を見ていても感じ取ることができて、チームとしてもさらに一段階成長した機会になった」と振り返った。
シャトルズの徳野HC(左)とキャプテンのLOガスケル
キャプテンのLOガスケルは「これはディビジョン1を目指すためのプロセスだ。私たちのグループにとっては非常に残念な結果だが、キャプテンとして、私はこの2週間、選手たちが成し遂げたことに誇りを感じている」。
「80分間戦い抜いたことは、このグループがどこまで成長できるかを示していると思う。すでに次のシーズンが楽しみ」と前を向いた。
D-RocksのレイドローHC(左)とゲームキャプテンHO藤村
見事、逆転でディビジョン1残留を決めたD-RocksのレイドローHCは「天候が厳しくて、故郷のスコットランドだったら1点の争いになるようなゲームだった。それが、今日の私たちの戦い方ができてこの結果を得るには、選手、スタッフ全員の努力が必要だった」。
「若いHCとしてこの1年間で、自分自身が多くのことを学んだ。選手たちがフィールドで、私たちが必要とするパフォーマンスを確実に発揮できるように指導する方法を学んだ。この若いチームに、本当にワクワクしている。プレシーズンにハードワークし、シーズン開幕時に最高の状態でチームに戻ってくる」と笑顔を見せつつ、来シーズンに向けて意気込んだ。
ゲームキャプテンのHO(フッカー)藤村琉士は、「雨なので、しっかりキックを蹴ってプレッシャーをかけてディフェンスをするというのが、ハマっていたという印象。今日の天候の中でも慌てずにラグビーをしようとした。全員で勝ち切った試合なので、最後にこういう結果になった」と話した。
逆転で残留を決めて、来季もディビジョン1で戦う浦安D-Rocks
前日に残留を決めた三重ホンダヒートに続き、今シーズンはディビジョン1とディビジョン2のチームの入替はなく、D-Rocksは来シーズン、2シーズン目のディビジョン1のチャレンジとなる。
シャトルズは惜しくもディビジョン1昇格に手が届かなかったが、ディビジョン2で初優勝した。来季こそ昇格を目指してさらなる成長を目指す。
文:野辺優子/写真:(C)JRLO、野辺優子
野辺 優子
ライター・翻訳者。 大学を卒業後、パリの大学院で映画を研究し、留学中は現地でフランス、イタリアのサッカーやラグビー等のスポーツメディアの通訳や翻訳を経験。現在は大学で教えながら、ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」の記者も務めつつ、ラグビーワールドカップも3大会取材し、海外チームや選手のデータリサーチや翻訳業務も行っている。高校時代、友人の高校のラグビー部を応援し始めて、大学時代はラグビー部のマネージャーを務めた。イングランド・プレミアシップのサラセンズのファン。
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