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ラグビー コラム 2025年5月26日

【ハイライト動画あり】NZUの結束と濡れたボール、芝に苦しむも、JAPAN XVがテンポ落とさず、競り勝つ。

ラグビーレポート by 田村一博
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雨あがりのピッチには、水が浮いていた。
5月24日、大分スポーツ公園 クラサスサッカー・ラグビー場でキックオフとなったJAPAN XV(以下、ジャパンXV)とNZU(ニュージーランド学生代表)の第2戦は、スリッピーなグラウンド状況の中での試合となった。

5月20日におこなわれた第1戦では、12トライを挙げたジャパンXVが78-28と大勝したものの、NZUはこの試合が来日3戦目(最終戦)となる。
5月16日の来日初戦、U20日本代表戦時は「集まって日が浅く、コンビネーションが密になっていない」と言っていたチームも、絆が深まった頃だろう(その試合には45-52と敗れる)。

歴史のあるチーム。プライドもある。全敗は避けたい。
漆黒のジャージーの側は、4日前の大敗した時のメンバー構成とは大きく違った布陣でこの試合に臨んだ。
ジャパンXVも、4月のオーストラリア遠征を経験した大学生を多く含んでいた前戦から、リーグワン選手主体の23人でチームを組んだ。

キックオフボールを、低く、芝の上を滑るように蹴ったNZUは、ジャパンXVのノックフォワードを誘ってマイボールスクラムを得る。
知恵を絞ってゲームに入ったNZUからは、この試合に懸ける思いが伝わった。

しかしジャパンXVは運動量が多い。相手よりはやく、多く動くディフェンスでボールを取り返し、スキあらば攻めるスタイルを試合開始直後から見せた。

ジャパンXVの先制トライは10分過ぎに生まれた。
左ラインアウトから攻め、ピッチ中央で意図的にブレイクダウンを作る。右に移動したFWが小さなパスをつなぎ、FL奥井章仁がディフェンダー間を抜いて走り切った。

ボールに触れる手も足元も滑る状況で、両チームともハンドリングエラーや単純なミスが続く展開の中で、ジャパンXVはテンポを上げる姿勢を持ち続けた。
それが17分過ぎの加点に結びついた。

マイボールスクラムで圧力をかけた後、パスアウトされた球を受けたSO小村真也が、内側のスペースに走り込んだFB伊藤耕太郎にパス。伊藤は防御の裏に抜け出し、サポートする小村にリターン。背番号10は、そのままトライラインを越えた。

ラグビー日本代表強化試合2025 第2戦(5月24日)

【ハイライト動画】JAPAN XV vs. NZU(ニュージーランド学生代表)

試合前、小村は「超速ラグビーはテンポが重要で、9番、10番が大事。テンポを上げて前へ出るのは自分の得意とするプレー。それを80分続けたい」と話していた。
その言葉通りの判断と動きだった。

17分過ぎにゴール前のスクラムを押し込み、この試合3つめのトライを挙げたジャパンXVはスコアを21-0とした。
34分過ぎにターンオーバー後のキックからNZUの10番、ミカ・ムリアイナにトライを許したものの21-7でハーフタイムを迎えた。

後半に入ってもジャパンXVは、キックを交えながらも攻め続ける姿勢を崩さなかった。
しかし、攻め込んでも大事なところでミスが出る。NZUが防御で意地を見せたこともあり、スコアが動かない時間が長く続いた。
後半21分にSO小村がPGを決め、やっと24-7とした。

試合の最後の20分、トライを挙げたのはNZU側が2回。ジャパンXVは2つのPGを成功させるにとどまった。
最終スコアは30-21。このカードの第1戦が78-28だったから、しっかり結束してきたNZUには拍手だ。接戦で必死に抗った。9番&10番の判断もよかった。

ジャパンXVは終始はやいテンポでボールを動かし、何度も敵陣に入ったが、どうしても攻め切ることができなかった。ボールが滑る状況はあったが、22メートル内に入ってからの攻め方に工夫はできたかもしれない。

この日はLOに入り、ゲームキャプテンを務めた吉田杏は、今季好調だった理由を示すプレーをたびたび見せ、FL青木恵斗もボールを持てば前に出た。U20日本代表から招集されたFL中谷陸人は、途中出場から積極的に前に出た。
SH土永旭も、チームのテンポを維持し続けるスピードを見せた。

5月31日にはホンコン・チャイナ戦がある。
その時までにはエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが掲げる「超速」がより浸透し、さらに攻撃力が高まりそうだ。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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