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大学生ながら副将を務め、2トライを挙げたFB竹之下(C)JRFU
5月16日から6月1日までの予定で、ラグビー日本代表に準じる『JAPAN XV』が大分で合宿を敢行している。
5月末まで3試合を予定しているが、その第1戦として5月20日(火)午後4:00から大分・別府市営実相寺多目的グラウンドで、『NZU』(ニュージーランド学生代表)と激突した。
『NZU』は毎年編成され、ニュージーランドの現役大学生だけでなく、大学のクラブチームでプレーしている選手も含まれている。『NZU』は16日(金)にU20日本代表と対戦。打ち合いの末、45-52で敗戦していた。
U20日本代表の兄貴分である『JAPAN XV』は、しっかりと試合内容を見せて勝利したいところだった。
この試合、『JAPAN XV』のメンバーは機会を与えるために、4月にオーストラリア遠征に参加した『U23日本代表』の大学生9名が先発。1名が控えに入り、他の13人はリーグワン所属選手となった。
23名中、日本代表キャップホルダーはLO(ロック)エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)と、WTB(ウイング)メイン平(リコーブラックラムズ東京)の2名。
ゲームキャプテンは、昨秋の日本代表活動に参加していたSO(スタンドオフ)中楠一期(ブラックラムズ)。バイスキャプテンは控えのFL(フランカー)吉田杏(ダイナボアーズ)と、明治大学3年のFB(フルバック)竹之下仁吾が務めた。
『JAPAN XV』は16日に合流したばかり大学生と、リーグワン選手の混成チームだが、SO中楠ゲームキャプテンはチームメイトに「エディー(・ジョーンズHC)さんのラグビー像に対して、セイムページを見ながら、みんなが自分らしく楽しめる試合をしてほしい」と声を掛けた。
また、ジョーンズHCは個々が極限まで走って、ハードワークする「レッドライン」をテーマに掲げてこの試合に臨んだという。最高気温27度と初夏を感じさせる中、試合はキックオフされた。
試合序盤、『NZU』に攻め込まれたが、FB竹之下が相手のロングパスをインターセプトしてピンチを脱した。すると前半5分、相手陣のスクラムから右に展開し、最後はLOウルイヴァイティがねじ込んでトライ、SO中楠もゴールを決めて7点を先制した。
その後は地力に勝る『JAPAN XV』の時間帯が続く。9分にも相手陣に入ったところからのスクラムを起点に右に展開し、最後はCTB(センター)チャーリー・ローレンス(ダイナボアーズ)がトライ。17分、相手にイエローカードが出ると、18分、CTBローレンスのグラバーキックを、CTB李智寿(朝鮮大学校3年)が右押さえて21-0とリードする。
テンポの良い捌きでゲームを動かしたSH土永(C)JRFU
24分にはスティールの後、クイックタップで攻めて、SH(スクラムハーフ)土永旭(横浜キヤノンイーグルス)、NO8(ナンバーエイト)小林典大(関西学院大学4年)とつないで、小林が中央に飛び込んでトライ。
28分に、再び相手にイエローカードが出た後、タップキックから大外にキックパスを通し、FB竹之下がグラウンディングし、35-0と大きくリードした。さらにロスタイム、ラインアウトを起点にモールを押し込んで、最後はSH土永からCTBローレンスにつないで、42-0と前半だけで6トライを挙げて折り返した。
後半も先に得点を挙げたのは『JAPAN XV』だった。後半3分、自陣からつないでWTBメインが抜け出して、最後はフォローしたFB竹之下が2つ目のトライを挙げた。
10分にはスクラムを起点にボールを動かして、最後はSO中楠が相手のギャップを突いてトライ。15分にはモールからボールを動かしてWTB武藤航生(関西学院大学4年)、18分にはディフェンスでプレッシャーをかけて、こぼれた球をWTBメインがトライ。さらに22分、相手のアーリープッシュの反則から右に展開して、WTBメインが2つ目のトライを挙げ、73-0と勝負を決めた。
2トライを挙げたWTBメイン平(C)JRFU
だが、残り20分切った後、控えからリーグワン所属の選手が続々と入ったにもかかわらず、『JAPAN XV』は集中力を欠き、キックオフレシーブのミスや、簡単なラインブレイクを許して、4トライを献上してしまった。
それでもロスタイム、フィジカルで上回っていた『JAPAN XV』は、LOウルイヴァイティが走り込んで最後にトライを挙げた。計12トライを重ねた『JAPAN XV』が78-21と快勝しノーサイドを迎えた。
U23日本代表から選ばれた大学生の選手たちは2月から合宿を繰り返し、ジョーンズHCのラグビーに精通していたこともあり、十分に力を発揮したと言えよう。
一方、チームに合流してまだ3日あまり、後半から入ったリーグワン所属の選手の中には、まだまだジョーンズHCのラグビーに慣れていない選手も多く、この1週間でチームにフィットしたいところだ。
この1試合で大学生の6人はチームを去るため、5月24日(土)の『NZU』との2戦目(大分・大分スポーツ公園クラサスサッカー・ラグビー場Aコート)はリーグワン選手が中心となる。『JAPAN XV』としては再びフィジカル、そして展開力で圧倒したいところだ。
文:斉藤健仁/写真:(C)JRFU
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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