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ラグビー コラム 2025年5月19日

【ハイライト動画あり】NZUとの「テストマッチ」に劇的勝利。U20日本代表、果敢に8トライ

ラグビーレポート by 田村一博
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サクラのジャージーの若者たちが歓喜の拳を突き上げる。その光景が、小雨と照明で輝く芝の上で浮かび上がった。

来日中のNZU(ニュージーランド学生代表)を大分で迎え撃ったU20日本代表が躍動した。
5月16日、午後4時にキックオフとなった一戦で52-45と勝利を手にした。

NZUは同国にある大学の現役学生や、近年卒業し、その地域の大学クラブチームでプレーしている選手によって編成されたチーム。毎回、ツアーに出る時や国内試合が実施される時に選手たちが集められる。
今回も選手たちは来日直前に集まり、日本到着後、数日しか経っていない状況で、この初戦を迎えた。

そんな事情を踏まえた上でも、この日のU20日本代表のパフォーマンスは、チームの貫いてきたものが伝わる試合内容。実力で相手を上回った。
サイズとパワーで優位性のある相手をスピードとコミュニケーションという強みで上回り、8トライを奪った。

先制トライは前半9分、WTB太田啓嵩が挙げた。
右スクラムから攻めたU20日本代表は、左のエッジまでボールを大きく動かした後、振り戻しのアタックの途中、くさびを打ち込みながらフェーズを重ねた。最後はロングパスを右エッジへ。相手のディフェンダーに囲まれた背番号14は迷いなくショートキックを蹴り、チェイス。ボールを再獲得してトライラインを越えた。

瞬間的に好判断を見せた太田は、この試合で何度も腰の強い走りを見せた。準備期間中、リーグワンチームと練習試合をおこなってきた。
その中でフィジカリティの大切さ、判断力を高めた成果がいきなり出た。

積み上げてきたものを発揮したのは太田だけではなかった。
先制トライの直後、そして前半16分にトライを奪われて逆転を許すも、取られても取り返す気持ちの強さと運動量を全員が発揮し続けた。

前半を24-19とリードして終えたU20日本代表は、最初の40分で4トライを挙げた。前半22分のものはラインアウトからゴール前で辛抱強く攻め続けて奪った。28分には相手陣深い位置でのラインアウト→モールを押し切る。
そしてハーフタイム直前のトライは日本らしかった。相手キックを受けたFB古賀龍人が大きくゲインした後、WTB太田がロングパスを要求した。背番号14は、今度は鋭いステップで5点を挙げた。

ラグビー U20日本代表強化試合2025 (5月16日)

【ハイライト動画】U20日本代表 vs. NZU(ニュージーランド学生代表)

後半の最初の20分、NZUに流れをつかまれたU20日本代表は、3連続トライを奪われる。一時は24-38とスコアを開かれた(後半19分)。
しかし、最後の20分は完全に運動量で上回ってみせた。

後半23分、29分とモールを押し切って38-38と追いついたサクラのジャージーは、勝ち越しのトライを奪われても動じず、各選手が動き続けた。
34分、左ラインアウトから攻め、最後は右サイドをスピードと人数で攻略。大外にいた高島來亜が走り切り、 SO丹羽雄丸が難しいコンバージョンキックを決めて45-45とした。

試合を決めるトライは後半38分に生まれた。
NZUの反則からPKを得て前進。ゴール前のラインアウトからモールを組み、止められても休まずボールを動かした。そして最後はLO加賀谷太惟が仲間と力を結束し、インゴールにボールをねじ込んで勝負を決めた。

世界大会、ワールドラグビーU20トロフィ―が今年はおこなわれず、この試合を「自分たちにとってのテストマッチ」と位置付けて準備を重ねてきた大久保直弥ヘッドコーチは、「自分たちのラグビースタイルで勝ち切った。個々の成長にもつながる大きな1勝になると思う」と話し、「引き続き日本代表を目指して努力していってほしい」と選手たちにエールを送った。

この日キャプテンを務めたNO8の中谷陸人も「NZUに勝つためだけにハードワークしてきました。試合の最初に圧倒する目標はやれたと思います。後半の入りはうまくいきませんでしたが、最後、やってきたことを信じてプレーして勝ち、自信になった。この経験を活かして、それぞれの選手が各大学でも上を目指してやっていくと思う」と話し、未来を見つめた。

日本代表を率いるエディー・ジョーンズ ヘッドコーチも、試合を視察していた。
ノートに名前を書き込んだ選手は誰だろう。そして正代表も、より果敢に、と感じたかもしれない。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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