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激しいフィジカルバトルが繰り広げられた
首位決戦は、最後まで目の離せない展開となった。
「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25」は残り2節。5月3日土)4日日)は第17節が行われ、3日は東京『秩父宮ラグビー場』で、現在2位につけるホストのクボタスピアーズ船橋・東京ベイが、首位の埼玉パナソニックワイルドナイツを迎えた。
すでに優勝した2022-23シーズン以来のプレーオフ進出を決めているホストのスピアーズ。前節は三重ホンダヒートに39-20で勝ち、6連勝を達成し、勝ち点を62とし、プレーオフ準決勝からの出場できる2位につけていた。
フラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)はヒート戦から、FW(フォワード)1名のみの先発を変更。日本代表でも活躍したFL(フランカー)ピーター・ラピース・ラブスカフニがベンチに下がり、50キャップを迎えるタイラー・ポールが先発した。
一方、リーグワンとなってから3シーズンすべて決勝に進出しているワイルドナイツ。開幕から無敗を続けてきたが、3月の静岡ブルーレヴズ戦、東芝ブレイブルーパス東京戦で連敗してしまった。
それでも,4月5日(土)にプレーオフ進出一番乗りを決め、前節もリコーブラックラムズ東京を、27-21で退けて4連勝を達成。勝ち点64で首位に立っていた。勝てば2位以上が決まるロビー・ディーンズ監督は、前節からFW2名、BK(バックス)3名の計5名の先発を入れ替えた。
2節以来の復帰となったFB山沢拓也
南アフリカ代表でも活躍したLO(ロック)ルード・デヤハー、CTB(センター)に南アフリカ代表のダミアン・デアレンデが先発に復帰、FBにはSO(スタンドオフ)山沢京平の兄・山沢拓也がFB(フルバック)で第2節以来の先発出場となった。
ともに控えにFWを6人入れて臨んだ試合は、初夏の暑さの中、1万5588人の観客が集い、午後2:30にキックオフされた。
スピアーズは「スタンダードを上げる」、ワイルドナイツは「1つ1つの局面で勝つ」ことをテーマにビッグマッチに臨んだ。
前半は互いにトライを取り合う展開となった。前半8分、ゴール前のスクラムを起点にワイルドナイツが右に展開し、LOリアム・ミッチェルが走り込んで左中間にトライ、SO山沢京平がゴールを決めて7点を先制。
50キャップを自身のトライで祝ったFLポール
スピアーズも反撃。16分、相手陣のラインアウトを起点に攻撃し、50キャップ目のFLタイラー・ポールが抜け出して中央にトライ。SOバーナード・フォーリーがゴールを決めて、7-7の同点に追いつく。
21分、ワイルドナイツが相手陣に入ったところで、スクラムを起点にテンポ良くアタックを継続、最後はSO山沢京平が抜け出して、左中間にトライを挙げて14-7とした。
スピアーズも負けていない。32分、キックチャージから攻撃を継続し、FB押川敦治が抜け出して、最後はWTB(ウイング)根塚洸雅に渡して左端に飛び込んでトライ、14-14の同点に追いつく。
しかし前半39分、ワイルドナイツは、ラインアウトで相手がファンブルしたボールを奪うと、19回アタックを継続してWTB(ウィング)長田智希がトライを挙げて19-14でハーフタイムを迎えた。
ワイルドナイツの司令塔SO山沢京平
後半、アタックの調子がいいワイルドナイツが攻撃を継続し、後半12分、相手の反則からPG(ペナルティゴール)のチャンスを得て、SO山沢京平が冷静に沈めて22-14とリードを広げた。
一方のスピアーズも後半15分、FW陣がスクラムで反則を誘い、SOフォーリーがPGを決めて22-17と再び5点差に追い上げた。さらに、スピアーズは日本代表SH(スクラムハーフ)藤原忍、SOフォーリーのキックを軸にプレッシャーをかけていく。
スピアーズの司令塔SOフォーリー
すると24分、キックチャージからボールを奪い、相手陣奥に攻め込み反則を誘った。27分、ゴール前のラインアウトからモールを押し込んだ後、左に展開し、最後は途中出場のHO(フッカー)江良颯が中央左にねじ込んでトライ。SOフォーリーがゴールを決め、24-22と逆転に成功する。
リードを許したワイルドナイツだが、すぐに反撃。自陣からアタックを20回を継続して、35分に途中出場のLOオッキー・バーナードが、中央左に右手を伸ばしてトライ。ワイルドナイツが29-24と再びリードをした。
さらにワイルドナイツSO山沢京平が、DG(ドロップゴール)を狙ったが、これは惜しくも左に外れてしまう。これで逆転のチャンスが残ったスピアーズは79分、相手がノックオンしたボールを自陣から継続。
ハーフウェイライン付近でボールをもらった途中出場のWTB山田響が、相手のタックルを弾いて、左タッチライン際50mを走りきって左隅トライ。ただ、SOフォーリーがゴールを決めることができず、試合は29-29の引き分けでノーサイドを迎えた。
リーグワン初トライを挙げてPOMに輝いたWTB山田
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、同点トライを挙げたスピアーズWTB山田響が選出された。リーグワン初トライを挙げた山田は「WTBとして仕事ができたのと、重要な場面でスコアできたのはうれしい」と声を弾ませた。
引き分けとなり、勝点を64に伸ばしたスピアーズだが、ブレイブルーパスが三菱重工相模原ダイナボアーズに、45-28で勝利して勝ち点を66としたため、3位に後退した。
それでもルディケHCは「どちらが勝ってもおかしくなかった。最後のフィニッシュは、チームの力を見せることができたし、ギブアップせず今後につながる調味料的なところは、良い要素がいっぱいあった」と選手たちを称えた。
リーダーの1人、HO江良は「先のこと考えず、1つ1つのプレーをした結果、引き分けという結果になった。この結果に満足していないが、次節のトヨタ戦、プレーオフに向けて、チーム一丸となってがんばっていきたい」と前を向いた。
ワイルドナイツも勝ち点を66に伸ばしたが、勝利数でブレイブルーパスが上回っているため2位に順位を下げた。
接点のバトルは互角
ディーンズHCは「良い競争ができた。結果は満足いくものではなかったが、最後、負ける可能性があったことを考慮すると、ハッピーだったと感じる。これから、自分たちが向かっていくことに対して、良い準備になった」と振り返った。
キャプテンHO坂手淳史は「結果は自分たちが欲しいものではなかったが、そのプロセスや、プレーの質では良い成長が見られたし、これからシーズン最後とプレーオフに向けて、良い経験になった」と納得した表情を見せた。
最終戦、スピアーズはトヨタヴェルブリッツと5月10日(土)、愛知県・豊田スタジアムで対戦する。プレーオフ準決勝から戦う2位以内に入るかどうかは、上位2チームの結果次第となったが、しっかり勝ってリーグ戦を締めくくりたい。
ワイルドナイツは、最終戦は10日(土)に、ホストの埼玉県・熊谷ラグビー場に東京サントリーサンゴリアスを迎えて、勝てばリーグ戦の2位以内が決まる。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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