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2025年4月20日(日)に開幕した第14回 関東大学春季交流大会。
昨季準優勝の早稲田大は、2週間前の大会開幕戦で大東文化大学(昨季リーグ戦1位)に57-26で白星スタートを切った。
大きな注目点の一つはセットプレーだったろう。
バックスは昨季主力がほぼ残った。昨季決勝スタメンでは新主将のCTB野中健吾(4年)をはじめ、スクリューのロングキックで話題となったSO服部亮太(2年)、CTB福島秀法(4年)、WTB池本晴人(3年)、WTB田中健想(2年)、FB矢崎由高(3年)…。今季も大学屈指の布陣だ。
一方でフォワードは、フロントローでいえば昨季主将のHO佐藤健次(埼玉パナソニックワイルドナイツ)とPR亀山昇太郎(NECグリーンロケッツ東葛)という不動の2人が卒業した。
早稲田大は昨季V4を達成した帝京大学に対して夏合宿で38 -14、対抗戦では48-17で快勝。一時「優勝候補筆頭」まで上り詰めたその土台は、徹底強化したディフェンス、そして強力なセットプレーだっただろう。
そんな強みは、6大会ぶりの『荒ぶる』を目指す今季にも受け継がれているのか――。だからこそセットプレーへの注目度が高かったが、スクラムに関しては、早稲田大は大東文化大学を序盤から圧倒した。
スクラム最前列の背番号1は昨季決勝メンバーのPR山口湧太郎(4年・桐蔭学園)。そして残るフロントロー2人は桐蔭学園の後輩、2年生コンビだったHO田中健心とPR前田麟太朗。息の合ったプッシュで先制トライを演出するなどした。
一方で失4トライ26失点のディフェンスは課題となった。
4月時点らしいハンドリングや連携のミスからのインターセプトトライなども原因だったが、1対1のタックルミスが原因の失点もあった。昨季の失点を許さぬ「空気」は財産として受け継ぎたいところだ。
東洋大戦のメンバーは、豪州遠征からU23日本代表組が戻ってきた。先発ではHO清水健伸がスタメンに入り、昨季主力の背番号3・新井瑛大とフロントローに入る。そのほか2名の先発変更はLO小林光晴とWTB鈴木寛大だ。
ゲームキャプテンは副将のタックラーFL田中勇成が務め、ハーフ団は福岡・修猷館時代から優秀なアタッキングハーフだったSH糸瀬真周、そして今季も大注目のSO服部。リザーブにはU23組のCTB野中主将、PR杉本、CTB福島が入り、途中出場から今季大会初出場に備える。
対するは、今や関東大学リーグ戦の強豪となった東洋大だ。
昨季は1部昇格3年目で最高位となる2位。リーグ戦6連覇王者の東海大学も撃破(33-26)した。
U23日本代表のFL/NO8森山海宇オスティンらの縦突進が強力だが、躍進の土台を支えてきたのは80分間のハードワーク。
早稲田大の核が『荒ぶる』ならば、東洋大学のそれは整理整頓などの「凡事」を徹底してやり抜く「凡事徹底」だろうか。チームOBであり元三洋電機(現埼玉WK)の福永昇三監督が築いたその土台の上に、地道なプレーを徹底する文化が根づいており、それこそがチーム最大の強みと言えるだろう。
東洋大のスタメンでは、その福永監督が大学4年時に選出されて以来27年ぶりという、U23日本代表メンバーが入った。
前出のFL森山ともう一人、ラグビー無名校の伊勢崎興陽(群馬)高出身の栗原大地だ。福永監督の熱心な勧誘で入部が決まったという192cm/102kgの「無名校の星」に注目したい。
大会初戦の東洋大は、新主将で札幌山の手出身のNO8ステファン・ヴァハフォラウをはじめ、15人中13人が4年生という布陣。残る2人は2年生のウイングコンビ、高校日本代表の中山二千翔と、黒沢尻高出身の梅木颯斗だ。
東洋大は1部昇格後、春季大会Aグループでの経験などを糧に着実に実力をつけてきた。全国強豪が集うAグループで今季も経験を積みたい。早稲田大のセットプレーに対抗できれば大きな推進力となるはずだ。
一方で早稲田大は初戦で課題とみえたディフェンスを修正できるか。注目の一戦は東洋大学グラウンドで午後1時にキックオフを迎える。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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