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◯か×。今週末の両チームは、どちらの顔を見せるだろうか。
4月26日(土)に東大阪市花園ラグビー場で戦うコベルコ神戸スティーラーズと三菱重工相模原ダイナボアーズは、第15節(前節)を終えた時点で、それぞれ5位と9位。レギュラーシーズンは残すところ3試合。プレーオフ進出を懸け、必勝の思いで戦う。
両チームとも前節は勝利を挙げているものの、その前の試合では完敗している。
スティーラーズは第15節の浦安D-Rocks戦に 33-20と逆転勝ちしたが、その前の週の東芝ブレイブルーパス東京戦は28-73とディフェンスが破綻して大敗した。
ダイナボアーズも、第15節は横浜キヤノンイーグルスに38-28と快勝したものの、第14節は静岡ブルーレヴズの前に8-38と沈黙した。
両チームとも、試合ごとの出来幅が大きい今季。それが思うような位置にいられない原因にもなっている。この試合で勝利し、勢いをつけてシーズン最終盤に臨みたい。
勝ち点41のスティーラーズはボーナスポイント付きの勝利を挙げた場合、6位で追う東京サントリーサンゴリアス(勝ち点31)、7位のイーグルス(勝ち点30)の結果によっては、プレーオフ進出が確定する。
前節はD-Rocksに勝利したスティーラーズは、しかしながら、決して満足できる内容ではなかった。
前半を7-12とリードされ、後半に4トライを集めて逆転勝ちする内容だった。
デイブ・レニー ヘッドコーチ(HC)、ブロディ・レタリック共同主将の両者が「フラストレーションを感じる前半」と振り返ったその一戦。チームの先頭に立つ2人は、その根っこにあるものをメンタルの問題とする。
指揮官は、思いを証明することを選手たちに求めた。
潜在能力が高いことは間違いない同チーム。しかし、73失点を喫した第14節のブレイブルーパス戦でも簡単にトライを許すシーンが多く、真紅のジャージーへのプライドが足りないようにも感じられた。
バイウイークを挟んでリフレッシュし、2週間の準備期間もあった今回のダイナボアーズ戦にどう立て直して挑むか注目される。
その中で、D-Rocks戦の後半に見せたセットプレーの優位性は、チームに勢いを与えた。ラインアウトからのモールも含め、セットプレーはダイナボアーズ戦でも勝利への鍵となるだろう。
今季の両チームの対戦は第4節にもあった。その時は26-34とスティーラーズは敗れている。ホストゲームとなる今回は必ず勝ちたい。
ダイナボアーズは第14節のブルーレヴズ戦こそ1トライ、8得点に抑えられる80分を過ごすも、前節(第15節)のイーグルス戦は後半に集中力を発揮して突き放し、勝利を手にした。
その試合では、勝負どころを制して流れを引き寄せた。先制点を奪われた後の反撃は、相手のモメンタムを消すもの。前へ出る意志が道を切り拓いた。前半8分過ぎからの10分間に21点を挙げてみせた。
スティーラーズ戦では、9番から14番まで外国出身選手が並ぶBKラインの最後尾には小泉怜史が立つ。
相手FWに対抗するPRクフチャ・ムチュヌのプレーにも注目したい。
イーグルス戦の後半に輝きを放ち、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたNO8の吉田杏は、今回の試合ではゲームキャプテンを務める。
前節、相手ボールのスティールを連発して勝利のきっかけを作った男は、この試合でもゲームの流れを左右する仕事をするだろう。
その吉田を自由に動かしたくないスティーラーズでは、FLのティエナン・コストリーの働きが注目される。同選手のドミナントタックル数(相手を封じ込める一撃)は、今季ディビジョン1最多の25回を誇る。
また、タックル成功数199回は同2位。アタック力もあるだけに、ゲームの中で存在感を発揮するだろう(データはOpta調べ)。
前節にリーグワンデビューを果たしたWTB植田和磨が今回は先発で出場する。
セブンズ日本代表としてパリ五輪に出場した好ランナー。初トライの目撃者になれるかもしれない。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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