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ラグビー コラム 2025年4月10日

3勝目を狙う「浦安D-Rocks」。再起に燃える「コベルコ神戸スティーラーズ」。ジャパンラグビーリーグワン2024-25第15節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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コベルコ神戸スティーラーズは、前節(第14節)の東芝ブレイブルーパス東京戦で、前身トップリーグ以降でチームワーストとなる73失点を喫した。

もしも、あなたがスティーラーズのヘッドコーチ(現場の強化責任者)だったとしたら――。このような大敗後にどのように振る舞い、どんな言葉を選ぶだろうか?

オーストラリア代表の元指揮官、スティーラーズのデイブ・レニーHCは、大敗後のアクションを問われ以下のように答えた。

「大敗をしたときに絶対にしてはいけないと思っているのは、選手だけのせいにすることです。自分たちの準備で何がダメだったのかを見直さなければいけません。一週間の準備やメンバーセレクションは正しかったのか。自分たちの責任になってくると思いますし、チーム全体として自分たちに求められていることは何なのかを明確にする必要があると思います」

前半は追いすがった。PR具智元を3番に据えた強力スクラムなどを武器に12点差(21-33)でハーフタイムへ。しかし後半開始からの5連続トライで突き放され45点差(28-73)で決着した。

スティーラーズのレニーHCは「相手のトライは(トライエリアから)70、80m離れたところから決められたものも多かったです」と振り返った。

「相手は人数の少ないところに対し、正しいアタックをしてきたと思います。自分たちはそこに対するリアクションがまったく取れていませんでした」

他方、ロングレンジのトライを正確なスキルで連取したブレイブルーパスのトッド・ブラックアダーHCは「アタックではスペースを的確に突きながらオフロードも披露することができた」として、アタックコーチの森田佳寿(コーチングコーディネーター)の名前を挙げて「今日見た絵をそのまま練習でもやっていました」と称えた。

スティーラーズの李承信共同キャプテンが「1対1のところで差が出たと思います」と率直に語るなど、今週末は立て直しの一戦となる。

 

大敗した前節からは先発8名が替わり、ゲームキャプテンのLOブロディ・レタリック(33歳)、SH日和佐篤(37歳)といった頼もしいベテランが復帰。

フロントローは3名が替わり、九州共立大学出身のPR高尾時流、HOジョージ・ターナー、PR山下裕史浦安D-Rocksとのスクラム戦に臨む。

残る変更はバックス3名。独自のキャリー技術で突破を重ねるCTBマイケル・リトル、ラインブレイク20回でランク2位のWTBアタアタ・モエアキオラ、フルバックにはトライゲッターの山下楽平。そしてリザーブに入った近畿大学卒のWTB植田和磨(22歳)は出場すればリーグデビューとなる。

そんなスティーラーズを4月12日(土)、千葉・ゼットエーオリプリスタジアムで迎え撃つホストチームが、12位(2勝12敗)の浦安D-Rocksだ。

浦安D-Rocksは、第12節に三重・鈴鹿で強い三重ホンダヒートから今季2勝目を奪ったが、第13節から2連敗。前節(第14節)は横浜キヤノンイーグルスに11点差(22-33)で競り負けた。

元スコットランド代表主将のグレイグ・レイドローHCは 「パフォーマンスの面で良いスタートが切れずに、序盤から非常にもどかしい展開になりました」

そして後半23分頃まで23点差(10-33)だったことを念頭に「23点のビハインドから立ち直るのは厳しいものです。それに加えてセットピースで相手にプレッシャーを掛けられなかったですし、基本的な部分がうまくいっていませんでした」と敗因について語った。

浦安D-Rocksはスクラムで序盤にペナルティを奪ったが、後半途中からイーグルス優勢に。

「タックル成功」164回でチームで唯一トップ10に入り、「ラインアウト成功」でも116回でランク2位のHO藤村琉士は、「前半の最初のほうは良かったですが途中から難しい状況になりました。後半は組み方が変わった中で対応できずズルズルといってしまいました」(HO藤村)と反省。

 

今週末は、前節からのスタメン変更が4名。全てフォワードで、藤村がメンバー外となってHO金正奎が今季2度目の先発へ。

そしてゲームキャプテンを務める帝京大学出身のPR金廉、フィジカリティ溢れるLOヘルウヴェ、FLトム・パーソンズがスターターを託された。

チームにとっての痛手は、4月10日に公表されたNO8ヤスパー・ヴィーセのシーズン離脱。新加入ながら攻守の要となっていた現役南アフリカ代表で、復帰は2025-26シーズンを予定しているという。

どちらも今季はアタックに自信を深めており、序盤戦でどちらが機先を制し、波に乗れるかはポイントだろう。浦安D-Rocksは開始3連続トライを許した前節と同じ轍は踏みたくないところだ。

また両軍は共にスクラムが大きな武器のひとつであり、スティーラーズも前節はトライの起点となっていた。ラインアウトを含めたセットプレーの攻防は見どころだ。

現在スティーラーズはプレーオフ(PO)進出圏内の5位(7勝7敗)にいるが、まだまだ安心はできない。

すでに上位3チーム(ブレイブルーパス、埼玉パナソニックワイルドナイツクボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がPO進出を決めており、残る椅子は、あと3つ。今週末を含めた残り4試合をすべて勝ち切り、リーグ4年目で初となるPO進出を掴み取りたい。

一方、PO進出の可能性がなくなっている浦安D-Rocksは、まずは入替戦圏内(11位以下)からの脱出を目指したい。10位トヨタヴェルブリッツとの勝点差は「10」あり、こちらも今節から全勝街道を突き進みたいところだ。

3勝目を狙う浦安D-Rocksか。大敗からの再起に燃えるスティーラーズか。勝利に懸ける思いは両軍変わらない。熱戦の予感が漂う好カードは12時キックオフだ。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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