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【ハイライト動画あり】ベテランとアーリーエントリー組が躍動したトヨタヴェルブリッツ。横浜キヤノンイーグルスとの大分決戦を制す。ジャパンラグビーリーグワン2024-25第13節
ラグビーレポート by 多羅 正崇
6位(5勝7敗)の横浜キヤノンイーグルス。今季初で唯一となるセカンダリーホストエリア・大分での第13節に臨んだが、先制は11位(2勝1分9敗)のトヨタヴェルブリッツだった。
先制劇の主役は、帝京大学からアーリーエントリーした2人だ。
今季初先発のSO小村真也。序盤、アタックスキルの光る22歳が、守備の脚を止める仕掛けからリターンパス。前半4分、ボールを受けた元帝京大主将、FL青木恵斗が持ち前のフィジカリティでグラウンディングした。
5点を先制されたイーグルスは、持ち味の緻密なアタックで反撃。
36歳のSO田村優をファーストレシーバーにして左右にボールを振る。だがヴェルブリッツもCTBシオサイア・フィフィタのスティールなど、分厚く、出足鋭い守備で対抗した。
ヴェルブリッツは個人による即興的な判断が目に付いたシーズン前半と異なり、攻守にわたって高いコネクション、連携力を発揮したアタック、ディフェンスを見せていく。
一方のイーグルスはこの日、Optaの速報値によるとゲインメーター509m、キャリー148回、DF突破39回を記録。いずれもヴェルブリッツを大きく上回っていた(ヴェルブリッツは順に367m、108回、26回)。
その労力がようやく実ったのは前半33分だ。
ここまで規律正しかったヴェルブリッツに反則が増えると、敵陣ゴール前で得意のモール。ゴール目前に侵入し、最後はPR祝原涼介がトライエリアにねじ込んだ。ゴール成功で逆転(7-5)し、勝負の後半戦へ向かった。
だが後半のスタートで、ヴェルブリッツが相手の出鼻を挫く。
敵陣5フェーズ目でFL青木が力強くゲイン。6フェーズ目で司令塔・小村が大外へキックパス。ボールを受けたWTBジョセフ・マヌが難なく逆転トライを奪取した。そのマヌはこの日15回のキャリーで両軍チームトップの12回のDF突破を記録した。
スキルを存分に発揮する小村は、角度のある難しいコンバージョンも成功。10番の相次ぐ怪我がなければこの日のスタメンはなかったかもしれない22歳が、青木と共に即戦力ぶりを発揮する。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(3月30日)
【第13節 ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. トヨタヴェルブリッツ
前半に続いてハンドリングエラー等で終わるイーグルスに対し、ヴェルブリッツはキックを有効活用。相手FBがライン守備に上がった瞬間にWTBマヌがグラバーキック。CTBニコラス・マクカランが3本目を奪ってみせる。(7-19)
後半17分にはトライエリアに走ったイーグルスSO田村優に対し、途中出場した25歳、小池隆成がトライセーブ。戻ってきたFL青木がスティール。若武者たちがイーグルス顔負けの粘り強い守備をみせる。
ヴェルブリッツはなんとかPG(後半20分)を返したイーグルスに対し、さらにHO彦坂圭克がモールから飛び出す得意技で4本目。リードを14点(10-24)に広げるが、後半28分だった。
これをヴェルブリッツFL青木が故意にはたいて外に出したとして、イエローカード。ペナルティトライが与えられ、ヴェルブリッツのリードは7点(17-24)に縮まった。
反撃したいイーグルスは自陣で手痛いペナルティを犯すが、入れば10点差となるPGを小村が失敗。アーリーエントリーの2人にとってはホロ苦さも残った。
ヴェルブリッツはその後2度目のPG機会をディック・ウィルソンも外してしまい、イーグルスは逆転のシナリオに現実味が増す。しかし、後半33分にも自陣で痛恨のペナルティ。ここから敵陣に入った14人のヴェルブリッツが、ふたたびモール。
そしてHO彦坂が、残り6分で相手を突き放す、決定打となる5本目。34歳のベテランが決定的な仕事を果たし、そのまま逃げ切ったヴェルブリッツが29-17。
ビジターゲームで、待望の今季3勝目を挙げた。
イーグルスはボーナスポイントを奪えずに敗戦。順位は6位のまま変わらないが、7位の東京サントリーサンゴリアスに勝点26で並ばれるなど、プレーオフ進出をかけた6位スポット争いが一層激化することになった。
そんなイーグルスの次節は4月5日(土)。前節は今季主力の多くをメンバー外にした12位(2勝11敗)浦安D-Rocksと秩父宮で対戦。必勝の一戦となる。
ヴェルブリッツも同日、前節に複数主力をメンバー外にした2位(10勝1分2敗)埼玉パナソニックワイルドナイツとのビジターゲームに挑む。リーグ戦は残り5試合。ここからヴェルブリッツの反撃が始まるのか、要注目の一戦だ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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