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トヨタヴェルブリッツ vs. 東芝ブレイブルーパス東京
今季初の連勝を狙うトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)の前に分厚い壁が立ちはだかった。ディフェンディング・チャンピオンの東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)の粘り強さが際立ったが、トヨタVの若い力と世界的スターの競演も見応えがあった。3月15日(土)、愛知県の豊田スタジアムは年に一度の「雷神祭」。場外イベントもあり、多数のキッチンカーも出て、2万4165人の大観衆が集った。来場者先着18,000名に「オリジナル法被」がプレゼントされたこともあって、スタンドはヴェルブリッツカラーの緑で染まった。
午後1時5分、試合は、トヨタVのキックオフで始まった。ボールを持ったBL東京のキャプテン、NO8リーチ マイケルが突進すると、この日がリーグワン初先発となった青木恵斗がタックル。いきなり、36歳のベテランと、アーリーエントリー(内定しているチームに大学生が出場できる制度)で出場の22歳がぶつかりあった。先にトライをあげたのはBL東京だった。前半3分、ハーフウェイライン付近のBL東京陣左隅のスクラムから右オープンに展開すると、右半分の広いスペースをFB松永拓朗が持ち前のスピードで駆け上がり、ディフェンダーを2人引きつけて、快足WTBジョネ・ナイカブラにパス。ナイカブラが右タッチライン際を駆け抜け、最後はサポートしたSOリッチー・モウンガがトライをあげる。リーグワン随一の決定力を誇る松永、ナイカブラでディフェンスを崩して大黒柱のモウンガが仕留める。王者の風格漂うトライだった。
その後、トヨタVのSOマット・マッガーンがPGを返すが、BL東京の鉄壁の防御の前に攻めきれない。逆にBL東京は17分、古巣との戦いになったCTBロブ・トンプソンがトライを追加。25分にはラインアウトのモールからFL佐々木剛がトライし、松永が3本連続でゴールを決めて、21-3とした。一方的になるかと思われた流れを断ち切ったのは、元オーストラリア代表FLマイケル・フーパーだった。31分、BL東京のトライライン直前のラインアウトからの攻撃で複数のタックルを受けながら手を伸ばしてトライ。21-10とすると、1トライ加えようと攻め込んだBL東京のブレイクダウン(ボール争奪局面)に体をねじ込んでボールを奪い、チームのピンチを救った。直後、今度は元ニュージーランド代表のSHアーロン・スミスがBL東京のSH杉山優作に素早いプレッシャーをかけてミスを誘い、流れをBL東京に渡さなかった。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(3月15日)
【第11節 ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. 東芝ブレイブルーパス東京
しかし、後半も先にトライしたのはBL東京だった。開始2分、FW陣の波状攻撃で右半分にディフェンスを集め、左オープンをナイカブラが駆け抜けてトライし、26-10と突き放す。このままBL東京の流れになるかと思われたが、その後は、トヨタVも追い上げる。後半25分、交代出場のSO小村真也(アーリーエントリー)のピンポイントのキックパスを受けてWTBジョセフ・マヌがトライし、26-15に迫ると、33分、この日がリーグ50試合目の節目となったCTBシオサイア・フィフィタがトライ。小村がゴールを決めて、26-22と4点差にした。
緊張感ある時間が続いたが、後半38分、BL東京は交代出場のSH小川高廣が防御背後にキックし、このボールがトヨタVのトライライン直前でタッチラインを割る。トヨタVボールのラインアウトだが、ここでトヨタVが投げ入れたボールをLOワーナー・ディアンズが奪う。値千金のスチール。ここ一番で質の高い仕事ができる選手がいるのがBL東京の強さだろう。ワーナーがトライラインに迫り、密集サイドに走り込んだモウンガがトライ。勝敗を決した。
「タフなゲームでした。接点で圧倒しようとしすぎてイエローカード(2枚)を受けてしまいましたが、それでも勝てたのは良かったです」(リーチ マイケル)。プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたリッチー・モウンガは、「天候(雨)が難しく、プレッシャーを受けましたが、長時間守りきることができたことを誇りに思います」と話した。健闘虚しく敗れたトヨタVだが、チャンスは何度も作り、青木、小村の活躍や、フーパー、スミスの熟練の技もファンを喜ばせた。姫野和樹、松田力也ら負傷者が多いなかで明るい兆しも見える戦いだった。次節(3月22日)は、岐阜メモリアルセンター長良川競技場で三菱重工相模原ダイナボアーズとの対戦。BL東京は、同日、秩父宮ラグビー場で埼玉パナソニックワイルドナイツとの首位攻防戦に臨む。
文: 村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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