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ピッチの内外で対抗心がぶつかり合う。同じ業種で競い合う会社同士のプライドを懸けた『事務機ダービー』、横浜キヤノンイーグルス×リコーブラックラムズ東京が3月15日(土)、秩父宮ラグビー場でおこなわれる。
リーグワンのディビジョン1チームはバイウイークを挟み、2週間ぶりの試合。それぞれリフレッシュした体と、十分な準備を重ねて戦う試合となる。
開幕からの10試合を終えた時点でイーグルスは5位(5勝5敗)で、ブラックラムズは9位(3勝7敗)。しかし、力の差は大きくない。
両チームの社員選手は職場で、「この相手だけには勝ってくれ」と言われるという声が聞こえてくる。
ただ近年の戦績を振り返れば、イーグルスが5連勝中と相性がいい。直近の4試合はすべて16点差以上をつけて勝っている(Opta調べ)。
前節の東京サントリーサンゴリアスとの試合に33-22と勝ったイーグルスは、いい空気で戦いに臨む。
サンゴリアス戦はいい勝ち方だった。先制点を許し、逆転しても、後半戦の序盤には再度スコアをひっくり返される展開だった。
しかし緊迫した展開の中で流れを引き寄せて勝ち切った。
その試合のテーマは「ラブ・フォー・ザ・イーグルス」だった。勝利への執念は、チーム愛の先にあるものとして、全員が仲間のために体を張ってプレーした。
CTBジェシー・クリエルは、「一人ひとりのチームへの愛情をゴール前の粘り強いディフェンスから感じた」と話した。
ブラックラムズ戦には『ファイト・フォー・ウィン』をテーマに戦う。そこに込められた思いをCTB梶村祐介主将は、「一つひとつのバトルでしっかり勝つ。勝利のために、それをやり続ける、ということです。そして、その根底には、ラブ・フォー・ザ・イーグルスもある」と話す。
全員がハードワークし続ける覚悟はできている。
イーグルスはサンゴリアス戦の先発から、FW、BKが一人ずつ変更となった。7番に嶋田直人、11番にヴィリアメ・タカヤワが入った。
嶋田は先日、今季限りで現役を引退すると表明。これまで以上に目の前の試合を集中力高く戦う。
嶋田は今シーズンが11シーズン目。生え抜き選手として初めてトップリーグ・リーグワン通算100キャップに到達した。
ブレイクダウンワークや忠実なサポートプレー、読みのいいプレーで貢献度は高い。今回の試合でも要所で仕事をするだろう。
FW第3列の機動力と、整備されたBKラインのアタック力を最大限に生かすスクラムにもイーグルスは強みを持っている。1番・岡部崇人、2番・中村駿太、3番・杉本達郎のフロントローには安定感があり、ベンチに控える3人も心強い存在だ。
PR岡部の攻撃時のラック参加数213はディビジョン1の2位。日本代表活動で磨かれた力はイーグルスでも発揮されている(Opta調べ)。
対するブラックラムズは、個々の高い能力を勝利に結び付けたいとこころだ。前週、三菱重工相模原ダイナボアーズに22-7と勝った試合は、チーム全員のハードワークで勝利を引き寄せた。
ゲームキャプテンを務めたペレナラは、その前の週に44得点でも負けた(44-45/対ブレイブルーパス戦)ことを引き合いに出し、「きょうはディフェンスを誇りに思う」とチームメートを称えた。
イーグルス戦でもペレナラがゲームキャプテンを務める。また、先発メンバーは全員が前節のダイナボアーズ戦の時と同じ。この試合でもハードに守ることができたなら、今季初の連勝も近づくだろう。
しかし、チームの強みは強烈なアタッカーが何人もいることだ。今季のドミナントキャリー率は、ディビジョン1でトップの43.8パーセント。相手を押し込んで前に出られる選手が多い。
ゲインラインを超えるキャリー率(64.99パーセント)もリーグ2位と高い。(Opta調べ)
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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