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秩父宮の金曜ナイター!FWバトルが要注目の12位「浦安D-Rocks」×3位「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ」。ジャパンラグビーリーグワン2024-25第11節交流戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇
今季2度目のバイウィークが明けたリーグワンD1(ディビジョン1)は、第11節に突入。リーグ戦は残すところ8試合だ。
3月14日の金曜ナイターでは、12位(1勝9敗)の浦安D-Rocksが、3位(7勝2敗1分け)のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを迎え撃つ。会場は東京・秩父宮ラグビー場だ。
チャレンジャーは今季D1に昇格してきた浦安D-Rocksだろう。白星は第7節三重ホンダヒート戦の1勝のみだ。
ただ直近2試合は5点差の接戦。東京サントリーサンゴリアス戦(35●40)とトヨタヴェルブリッツ戦(31●36)で、それぞれボーナスポイント1点(7点差以内の負けによる勝ち点1)を奪っている。
勝利したホンダヒート戦の前半は21-5とリードしていたが、前節ヴェルブリッツ戦の前半は0-21。ヴェルブリッツの堅守もあり、前半だけで10回あったペナルティに勢いを削がれた。後半4トライで猛追したものの、序盤に悔いが残る結果となった。
「最初に3トライを取られると、どんなに良いチームでも勝てないと思うので、そこに尽きると思います。入りの部分で引いてしまうと勝てません」(浦安D-Rocks、HO藤村琉士ゲームキャプテン)
そう話したHO藤村は、SH飯沼蓮に代わり第9節からゲームキャプテンを務めている。元スコットランド代表SHで主将経験の長かったグレイグ・レイドローHCいわく、SH飯沼の「パフォーマンスを上げるため」だ。
そのHO藤村は今季D1で単独7位となる128回のタックル成功を記録。チーム唯一かつ、フロントローでは唯一のトップ10入りの快挙だ。
“守備第一”の京都成章出身であり、スクラムの強さも日本大学時代から定評があった。HO藤村はフッカーとしてスクラム、ラインアウトを戦場にしながらバックロー同等の守備力で貢献している。
今週末のスピアーズは強力フォワードのパワープレー、セットプレーが看板。そのHO藤村を中心としたフロントロー、フォワードの働きが重要になることは間違いないだろう。
また浦安D-RocksにはD1最強クラスのアタッカーもいる。
Optaによると、今季D1で出場80分平均で6人以上のディフェンダーを突破している選手は、浦安D-RocksのNO8ヤスパー・ヴィーセ(6.9)とCTBサム・ケレビ(6.85)の2人だけ(出場時間400分以上の全164選手限定)。
問答無用の打開力を持つ現役南アフリカ代表(ヴィーセ)、オーストラリア代表(ケレビ)の2人が、アタックのどの局面でボールを持つのか。もしくは囮になるのか。2人の動きに注目だ。
スピアーズ戦の先発メンバーは、フロントローは3戦連続のゲームキャプテンとなるHO藤村をはじめ、タックルでも魅せる福岡工業大学出身のPR鍋島秀源、3番に定着しているPR金廉の3人。LOヘルウヴェは古巣との対決となり、ハーフ団はSH飯沼とプレースキッカーとしても抜群のSOオテレ・ブラックが務める。
前節からの先発変更は3名で、共に明治大学出身の大椙慎也、繁松哲大が両フランカーに入り、大型フォワードと対峙する。そしてフルバックにはリーグデビューとなる新加入、元アイルランドU20代表のクリストファー・コスグレイヴが入った。
一方のスピアーズもシーズンが深まるにつれ、調子を上げている印象だ。
第9節では静岡ブルーレヴズとの3位×4位対決で62-14と爆勝。10トライを奪取し、ホスト「えどりく」での無敗記録を21に伸ばした。
しかしフォワード戦でも真っ向勝負を挑んできた東芝ブレイブルーパス東京に、4点差で惜敗を喫した。(27-31)
「(スピアーズは)フォワードを中心としたチーム作りをしているので、そこで逃げるのではなく、正面からぶつかっていく意識でした。モールで勝負したり、ラインアウトで競る部分もそうです。相手の長所に真っ向からぶつかっていきました」(ブレイブルーパス、トッド・ブラックアダーHC)
前節敗れたスピアーズのフラン・ルディケHCは「チャンスは多く作れていたがプランを遂行することができなかった」と反省し、「規律を守るチームとしてやっているのにイエローカードが2枚出たことも結果につながらなかった一因」と敗因に言及した。
ブレイブルーパス戦では逆転が期待される最終盤でPKのタッチキックをミスするなど、重要な局面でのプレー精度に課題を残した。浦安D-Rocksでは自軍が設定したクオリティ、規律意識を80分間保ちたい。
先発メンバーは、メンバー外となったファウルア・マキシ主将に代わってFLピーター・ラピース・ラブスカフニがゲームキャプテンを務め、30歳になった鉄人FL末永健雄とスクラムの両サイドにつく。
前節からの先発変更は8名と多い。まずフロントローが入れ替わり、大学時代から勇名を馳せていたPR紙森陽太(近畿大学)HO江良颯(帝京大学)PR為房慶次朗(明治大学)というお馴染みのトリオがスターターへ。
そして第5節以来の出場となる新加入NO8タイラー・ポールは古巣との対戦となる。
南アフリカ出身のNO8ポールはスーパーラグビーに参加していたキングズのアカデミーで育った。同時期にチーターズ(南アフリカ)の下部組織から頭角を表したのが、今節トイメンとなる相手NO8で、誕生日が3カ月違いのNO8ヴィーセ。旧知の2人が日本でNO8として相まみえる。
バックスの変更も4名。
そして前節までフルバックを務め、一時的な退団が発表された今季新加入のショーン・スティーブンソンに代わり、背番号15を担うのは押川敦治だ。
今季は第6節からスタンドオフとして3試合に出場。正確なスキルで多くの見せ場をつくるなど、タフなメンタリティも併せ持つ帝京大学出身の25歳だ。
スピアーズとしては、やはりフォワード戦で優位に立ちリズムを作りたいところ。スクラムでプレッシャーをかけ、成功率の高いラインアウトからモールで攻勢をかける。
クリーンなボールがテンポ良く出れば、ハーフ団以外の平均年齢が25歳という若きバックスも躍動しやすくなる。
浦安D-Rocksは今季128回ある反則をいかに減らせるか。効率よく敵陣勝負ができれば高い攻撃力を発揮できるだろう。ラインブレイク後、トライを獲り切る場面でのプレーの正確性も重要になるはずだ。
チーム初という金曜ナイターで今季2勝目を奪いたい浦安D-Rocks。トップ6入りへ3位以上をキープしたいクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。迫力あるフォワード戦が期待できる好カードは、19時にキックオフとなる。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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