人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

ラグビー コラム 2025年3月10日

イングランド遠征を控えたラグビー高校日本代表、U23日本代表候補と合同練習

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
  • Line

ラグビー高校日本代表

3月8日(土)東京都内で、イングランド遠征を控えた第50期のラグビー高校日本代表の29人が、U23日本代表候補にあたる「JAPAN TALENT SQUADプログラム2025」(JTS)の32選手と合同練習を行った。

高校日本代表は、2月末は天理で天理大学と練習試合を行い、遠征前、国内最後の練習ということで、今回は日本代表のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が肝いりで始めた、JTSとの合同練習を行った。

昨年は日本代表とU20日本代表が練習したが、今回はユース世代の代表同士が連携したというわけだ。

高校日本代表の桑原立監督

高校日本代表の桑原立監督と、U20日本代表の大久保直弥HCが話す中で実現したといい、桑原監督は「高校日本代表は、国内のトッププレーヤーなので、日本にいるうちに、それ以上の選手とトライアルする」。

「相当プレッシャーを受けたが、イングランドに行く前に必要だと思った。本当に良い機会になったし、縦の系統性が生まれるのは良いことだと思った」と、その意図と意義を説明した。

一方、JTSの麻田一平コーチは「やっていることはジャパンと全く同じです。JTS世代のメンバーが、ワールドクラスになって、早く日本代表になれるようにコーチングスタッフ、マネジメントがいっしょになって選手を育てている」。

「リーグワンのチームが相手でも、高校日本代表でも、倒しにいこうと臨んだ。高校日本代表選手にとってはアタック、ディフェンスともに良いプレッシャーを感じたと思うし、自分たちは相手に関係なく、自分たちがやることをしっかり出そうとやった」と振り返った。

大学2年が中心のJTS

JTSは今回が5回目の合宿となり、もう1回合宿を行った後、4月にオーストラリアに遠征するU23日本代表35名が決まるという。

「2月に初めて会ったメンバーだったので、静かな雰囲気だったが、練習、ミーティングなどグラウンド外で選手が話すようになって、コミュニケーションが取れるようになってきた」。

「2月末には、埼玉パナソニックワイルドナイツともゲームをして、試合を通じて、通用した部分は自信になった」(麻田コーチ)。

高校日本代表とJTSでは世代間のギャップがあり、強度をコントロールするため、スクラムはノーコンテスト、タックルはホールド(ロータックルは禁止)で、実際の試合ではなく、試合形式で行われた。

高校日本代表SO丹羽

高校日本代表側は、花園優勝の司令塔SO(スタンドオフ)丹羽雄丸(桐蔭学園3年)、U19日本代表のSO小林祐貴(慶應義塾高校3年)の2人を10番、12番に並べる攻撃的な布陣だった。「アタックを立体的にやるには2枚必要なので、丹羽、小林の並びが必要かなと思った」(桑原監督)。

ただ、さすがに大学2年生を中心に、大学3年生もいるJTSに高校日本代表はまったく歯が立たず。接点、ディフェンスでプレッシャーを受けて、大学のスター選手たちに6トライを献上、1トライも挙げることができなかった。

最後はJTS側は14人、13人と人数を少なくして臨んだが、それでも高校日本代表はトライを挙げられず、イングランド代表と対戦する前に良いレッスンとなったはずだ。

申キャプテン

相手のプレッシャーの中で、練習の最初の方は高校日本代表の選手たちはパニックになっていたが、その中でも「キャプテンのFL(フランカー)申驥世(桐蔭学園3年)、ディフェンスリーダーのFL野口健(流通経済大学柏3年)が、自分たちのスタイルを周りに伝えていたので頼もしかった」と桑原監督は話した。

高校日本代表は5人の複数リーダー制を取っており、申キャプテン、野口ディフェンスリーダー以外の2人は、アタックリーダーがSO丹羽、FW(フォワード)リーダーがNO8(ナンバーエイト)新里堅志(桐蔭学園3年)、BK(バックス)リーダーには、CTB(センター)向井悠統(東海大大阪仰星)が就いた。

FL申をキャプテンに選んだ理由は「強い相手に向かっていくいさましさ、チームの象徴になってほしいと思った」(桑原監督)。

接点でJTSに圧倒された高校日本代表

申キャプテンはJTSとの練習を振り返り、「身体の大きさもそうですし、フィジカル、スピードのレベルが全然違った」。

「自分たちも大きな相手に、低さと速さで上回っていこうと話をしていたが、出せた部分は少なくて、自分たちのやりたいラグビーを何もさせてもらえなかった。FWの1対1の接点で、全部受けていて、後手に回ってしまった」と悔しそうな表情を見せた。

それでも、花園で桐蔭学園を連覇に導いたスキッパーは「(イングランド代表FWの)サイズは間違いなく、同じくらいあるし、BKの選手はもっと大きいかもしれない」。

「現状、今の自分たちは何もできなかったが、修正して大きい相手に自分たちの強みを出せるような練習と、ラグビーをしていきたい。自分もチームとしても、これだけ強度の高い相手とやったことがなかったので、日本にいるうちにやれて良かった」と前を向いた。

昨年は高校日本代表で活躍したWTB白井(明治大学1年)

また、JTSのメンバーには2023年度、申キャプテンと一緒に花園を制した桐蔭学園の1つ上のFL中森真翔(筑波大学1年)、WTB(ウイング)白井瑛人(明治大学1年)、WTB田中健想(早稲田大学1年)の先輩がいた。

「(久しぶりにラグビーをして)めちゃくちゃ強くなっていました。今日はタックルがホールドだったので、もっとコンタクトは強いですし、スピードやキレは高校時代とは全然違いました」と驚いた表情を見せていた。

高校日本代表PR平山風希

また、静岡ブルーレヴズ入りが内定しているPR(プロップ)本山佳龍(長崎南山3年)のケガにより、追加招集されたPR平山風希(大分東明3年)は「(高校日本代表に)落ちて悔しくて、大学に向けて気持ちを切り替えていたので、驚きと動揺が多かった」。

「がんばるしかないという気持ちが大きいです。自分の課題であるスクラムをこの2週間近くで鍛えて、自分の強みにしたい。(JTSと対戦して)ボールキャリーでゲインは取れたが、ディフェンスで抜かれたり、モールでいかれたりしたので、もっと修正したい」と話した。

第50期の節目の高校日本代表に選ばれた29名は、3月10日に渡英し。テストマッチである、U19イングランド代表戦を含め、3試合を行う。

ちょうど卒業式の時期と被っているために、出られない選手も多いが、申キャプテンは「この時期に高校生としてラグビーができているのは、自分たち29人しかいないので、感謝して、自分たちのラグビーをして責任を持って勝利したい」と語気を強めた。

近年、欧州で結果を残している高校日本代表。50期の選手たちはラグビーの母国で、チームが掲げる『巧速』ラグビーを体現し、イングランド撃破を狙う。

◆高校日本代表 イングランド遠征(3月10日~25日)

・3月13日(木)vs. オックスフォード大学U20
・3月16日(日)vs. サラセンズ アカデミー
・3月22日(土)vs. U19イングランド代表

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ