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ラグビー コラム 2025年3月3日

【ハイライト動画あり】重量級のぶつかり合いで、ブレイブルーパスのセットプレーが光る。スピアーズに熱く勝ち切る。

ラグビーレポート by 田村一博
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正真正銘、最後の瞬間まで勝敗の行方が分からなかった。好ゲームが期待された一戦は、その想像を超える興奮となった。

3月1日(土)に鹿児島・白波スタジアムでおこなわれた東芝ブレイブルーパス東京×クボタスピアーズ船橋・東京ベイは気温20度近い好天の中でおこなわれた。
バックスタンドの後方には桜島の雄大な姿がくっきり。同地は長くブレイブルーパスのキャンプ地ということもあり、6056人のファンが詰めかけた。

最終的にスコアボードに刻まれた得点は、ブレイブルーパス31、スピアーズ27。接点での攻防の激しさが試合を引き締めた。
お互い真っ向勝負。前半は12-10とブレイブルーパスがリードを奪った。スピアーズにターンオーバーを許す場面が何回もあったが、整備されたセットプレーが安定と安心を呼び、崩れることはなかった。

先制トライは前半14分だった。ラインアウトで相手にボールを取られかけたが、FLシャノン・フリゼルが奪い返し、前に出たところにSOリッチー・モウンガが反応した。瞬時にインゴールに飛び込んだ。

29分のトライもセットプレーから。スクラムから展開した後、SOモウンガがスペースを見逃さない。左の空間にパスを送ると、LOジェイコブ・ピアス、HO原田衛のコンビネーションで攻め切った(この時点で12-0)。

ブレイブルーパスはスピアーズの力強いFWプレーにも一歩も引かず、流れを引き寄せ続けた。ポゼッションもテリトリーも上回ったから安定感があった。
ハーフタイム前の10分間にペナルティゴールとPRオペティ・ヘルのパワープレーにより10点を失ったが、「タフな戦いになると分かっていた」(リーチ マイケル主将)から落ち着いていた。

後半に入ってもブレイブルーパスは先手を取り続けた。
6分のトライはラインアウト後のモールからの攻撃をPR木村星南が仕留めたもの。FB松永拓朗のコンバージョンキックも決まり、19-10とした。

ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(3月1日)

【第10節 ハイライト動画】東芝ブレイブルーパス東京 vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

後半9分、17分と、スピアーズの決定力あるWTB、ハラトア・ヴァイレア木田晴斗にインゴールに入られて一時は19-20と逆転されるも、すぐに逆転した。

20分にWTB森勇登が挙げたトライも、安定したスクラムから始まる。それぞれのボールキャリアーがタテへ走りクサビを打っておいて、最後に大きく振った。ここでのCTBロブ・トンプソンの動きが秀逸だった。
巧みに内に入った後にターン。森へスペースを与え。走らせた。松永のコンバージョンキックも決まり、26-20とした。

24分、スピアーズのSOバーナード・フォーリーの個人技、HOマルコム・マークスの強さにトライを奪われ、コンバージョンキックも成功。26-27とされるも、その5分後には逆転するたくましさだった。
後半30分に奪った決勝のトライは、相手反則で得たペナルティキックの機会にスクラムを選択し、そこから攻めて奪った。最後はWTBジョネ・ナイカブラが右隅に飛び込んで31-27とした。

TMOの結果キャンセルとなったが、その直前のプレーでも防御を翻弄し、トライラインを越えるシーンがあったから、最終盤の時間帯は勝者が支配していたと言っていい。この日プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたリーチ主将は、「フロントローの選手たち、特に木村星南が、自分の選ぶプレーヤー・オブ・ザ・マッチ」と、試合を通して攻守を安定させたFWの仲間を称えた。

 

振り返ってみれば勝者の落ち着いたパフォーマンスが印象に残ったものの、スピアーズの底力も随所に感じられた。それを受けずに、前に出て対抗したからブレイブルーパスが勝利を得た。

冒頭に最後の瞬間まで勝利の行方がわからなかったと書いたのは、ラスト10分も両軍の強度が落ちず、力に差がないからこその駆け引きがあり、もつれたからだ。
また、ヒリヒリするような展開に、ギリギリのプレーを狙うからこそ起こる、思わぬ結果もあった。

最高の環境の中で熱闘を堪能できた観客は幸せだった。リーグ2位と3位の戦いは、試合を終えても順位はそのままで、プレーオフで再戦することをあらためて確信させるものだった。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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