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ターンオーバー数の違いは、そのまま勝敗に直結した。
花園近鉄ライナーズは12で九州電力キューデンヴォルテクスは4。長崎市内の小高い場所にあるスタジアムでライナーズが快勝した。
2月22日(土)、ベネックス総合運動公園かきどまり陸上競技場は青空ながらも強い風。リーグワン、ディビジョン2の3位と4位(試合前の順位)の一戦は39-12と差が開いた。
2024年11月29日に実施されたプレシーズンマッチでは、ヴォルテクスが38-19と勝った。ライナーズを率いる向井昭吾ヘッドコーチは、「ブレイクダウンの攻防で相手に上回られた」と覚えている。
その記憶から今回の試合に向け、「そこで負けない」準備をして臨んだ。ボール争奪戦に注力した結果、相手ボールを12回もスティールし、試合の主導権をガッチリ引き寄せた。
先制点はヴォルテクスに許した。
前半16分過ぎ、キックレシーブから6フェーズを重ね、ボールを動かしたヴォルテクスにアウトサイドを突破される。WTB齊藤剛希の好走を止め切れずトライラインを越えられた。
コンバージョンキックも決められて7点を先行された。
しかし慌てることはなかった。
トライを許した後のリスタートのキックオフで相手が確保したボールをターンオーバー。敵陣に入り込むと、トライライン前のラインアウトから攻め、9フェーズを重ねる。最後はSHウィル・ゲニアからのパスを受けたCTB岡村晃司が5点をゲットした。
24分にはラインアウトからのアタックで、SOクウェイド・クーパー、FB雲山弘貴が前に出る。ラックから出たボールを手にしたSHゲニアがパスダミーからタテに出て、インゴールにボールを置いた。
ゴールキックも決まり、7-5と逆転だ。
ラストパスを送り、自ら走るなど、ここまでの2トライに絡んだSHゲニアはこの日、結果的にプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されるのだが、オーストラリア代表110を誇る同選手の洞察力の深さが出たのが前半36分過ぎのプレーだった。
ヴォルテクスボールのラインアウト。攻撃側がモールを組み、ライン際の狭いスペースを攻めようとしたそのパスを背番号9がインターセプトした。50メートル以上を走り切った(ゴールキックも決まり19-7)。
前半を12点リードで終えたライナーズにとって大きかったのは、後半の立ち上がりだ。
右ラインアウトから攻めたライナーズは、意図的なラックをピッチ中央で作ると、そこから左へ。テンポよくパスをつなぎ、FB雲山のパスを受けたWTB片岡涼亮がトライラインを越えた。24-7とスコアを広げた。
その9分後、ヴォルテクスのFL山添圭祐にトライを許すシーンもあったが、後半だけで7回も相手ボールを奪い返したのだから流れが相手に移ることはなかった。
23分、35分とさらに2トライを追加して危なげなく勝利を手にした。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D2(2月22日)
【第6節 ハイライト】九州電力キューデンヴォルテクス vs. 花園近鉄ライナーズ
怪我からリハビリを経て復帰するまでに要した期間は約4か月。この日、今季初出場を果たしたFLパトリック・タファ主将は、試合前から「この1週間、エフォート(目標達成のための尽力)とフィジカリティを前面に出して激しくプレーし、動き続けることを意識してきた」と話していた。チームとしてその通りのパフォーマンスを発揮できて満足そうだった。
SHゲニアも、「チームとしてすごくいい試合ができました。ボールキャリーやディフェンスでしっかり前に出てくれた。FWがたくさん仕事をしてくれたのでハーフバックとして本当にプレーしやすかった」と奮闘した仲間たちを称えた。
ヴォルテクスは前節の試合で、今季開幕から4連勝と首位を走っていたレッドハリケーンズ大阪を倒して得た勢いを、この試合では発揮することができなかった。
その試合の前からチームの指導に当たっていたベリック・バーンズ コーチングコンサルタントの影響もあり、「次への準備」を意識した。WTB齊藤のトライにはその片鱗が感じられたものの、何度もボールを失ってプレーがぶつ切りになってしまった。
今村友基ヘッドコーチは、相手が最初から全開で来ることを予想し、その対応を施していた。先制点も奪った選手たちの立ち上がりを評価したものの、反則とブレイクダウンでの劣勢を敗因に挙げた。
ディフェンスを強みにしている。取り返したボールをアタックにつなげたかったが、それを相手に許し、自分たちは継続できなかった。
この試合の結果(全14戦中6試合終了時点)、ライナーズは勝ち点16で3位に浮上し、ヴォルテクスは5位(勝ち点12)に後退した。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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