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昇り調子にあるチーム同士が2月22日(土)に激突する。
舞台となるベネックス総合運動公園 かきどまり陸上競技場は、坂の街・長崎の小高い場所、緑に囲まれたところにある。
九州電力キューデンヴォルテクス×花園近鉄ライナーズはリーグワン、ディビジョン2の3位と4位の戦いだ。
ともに開幕から5戦を戦い、それぞれの勝ち点は12と11となっている。
キューデンヴォルテクスは直近2試合で連勝し、今季の通算成績を3勝2敗として白星を先行させた。特に前戦では今季開幕から4戦全勝と好調だったレッドハリケーンズ大阪を27-20と下した。
ラストプレーで勝ち越して勝利をつかんだ。チームの空気はいい。
ライナーズは開幕から2連敗後に日本製鉄釜石シーウェイブス、NECグリーンロケッツ東葛に連勝し、エンジンがかかりつつある。33-30とシーウェイブスに勝った試合は、正直チグハグさも目立った。しかし、グリーンロケッツに31-19と快勝した前戦では本来の豪快なスタイルが見られた。
キューデンヴォルテクスは、レッドハリケーンズ戦の先発からFWとBKを一人ずつ変更した。
5番に入ったレイ・タタフはパワフル。重量感あるライナーズFWに対抗できる。
前戦の勝負を決めたシーンでは、ベンチスタートの選手たちがいい働きを見せた。自陣での攻防の途中、ブレイクダウンで相手ボールをスティールしたのはPR鹿子島亮輔。そのプレーから敵陣に攻め入った。
決勝のトライはラインアウトから奪った。
重ねたフェーズは14。80分を過ぎても全員で動き続けられた結果だった。防御を破り、走ったFLコルビー・ファインガアのサポートにつき、最後、走り切ったのはHO村川浩喜。この背番号16はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれている。
チームのテンポを作っているのはSHスペンサー・ジーンズとSOトム・テイラーのコンビだ。
ジーンズはテンポの良さと機を見て前へ出るプレーで周囲を前に出す存在。テイラーは派手さはないが、落ち着いてゲームを作る。
レッドハリケーンズ戦後、今村友基ヘッドコーチ、ウォーカー アレックス拓也主将とも、接戦を勝ち切った理由を「エキサイトする気持ちで戦ったから」と話した。
伝統的にディフェンスから自分たちの強みを出すチーム。接点で一歩も引かぬ気持ちが勝利を引き寄せる。
今回の試合も、ロースコアに持ち込みたい。
一方のライナーズは、試合を重ねるごとに戦うスタイルが統一されてきた感がある。個々に力があるのは分かっている。グリーンロケッツ戦では、それぞれが勝負することでリズムを生み出し、縦の動きを連続させて攻めていた。
例えば先制トライのシーン。ラインアウトから左へ。それぞれのボールキャリーで接点を前に出し、ジリジリとトライラインに近づく。それを最後に仕上げたのはFB雲山弘貴の強気のランからのオフロードパス。WTB片岡涼亮が切り込んで左隅に入った。
後半19分には相手ボールをCTBステイリン パトリックが奪い、そのボールを拾った13番のティモ・スフィアが迷わず走り、相手を弾き飛ばしてトライを奪った。
その10分後のセミシ・マシレワのトライも、仲間のラインブレイクに反応よくサポートし、奪ったものだった。
左足からのキックをうまく使い分けるSOウィル・ハリソンの堅実なプレーが、ライナーズの一人ひとりが持つ強さをチームの武器に変えているように見える。
ゲームキャプテンを務めたFL野中翔平主将もグリーンロケッツ戦後、「いつも以上に一体感があった」と語った。選手同士のコネクションや遂行力についても、「今季ベスト」と手応えを感じた。
接戦となりそうなキューデンヴォルテクスとライナーズの戦い。両軍とも好キッカーを擁している。ともに5試合に出場して、ヴォルテクスのWTB萩原蓮は40得点(11ゴール、6ペナルティゴール/リーグ4位)で、ライナーズのSOハリソンは39得点(1トライ、8ゴール、6ペナルティゴール/リーグ5位)。両者のパフォーマンスにも注目したい。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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