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【ハイライト動画あり】また4点差!因縁めく「トヨタヴェルブリッツ」×「横浜キヤノンイーグルス」は今季も接戦に。ジャパンラグビーリーグワン第6節交流戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇
今季も結末は“4点差”だった。
バイウィーク明けのディビジョン1(D1)第6節。9位(1勝1分3敗)のトヨタヴェルブリッツが、ホスト会場・豊田スタジアムで、4位(3勝2敗)横浜キヤノンイーグルスを迎え撃った。
昨季の前回対戦は4点差(35-31)で勝利したヴェルブリッツだが、今回は予想外の出だしだったろう。
ただスコアが動いたのは前半15分だった。
イーグルスNO8アマナキ・レレイ・マフィの突破を足場に攻め入ると、ハイランダーズ(NZ)の前主将であるFLビリー・ハーモンが相手反則から速攻。
対するヴェルブリッツは前半19分だ。
SH茂野も戻ってテンポアップが可能となり、スタンドオフ経験も豊かなFBティアーン・ファルコンがDFライン内側を突破。ゴール前ラックから左展開。PR三浦昌悟がクリーンブレイクでトライを返した。(7-7)
イーグルスの2トライ目はふたたび、真骨頂のクイックスタートから。
23分の敵陣ラインアウトはカットを受けてトライならず。しかし7-7のまま迎えた前半33分。
スクラムの相手反則(結果フリーキック)から得意の速攻。CTB梶村祐介主将が捨て身の好パス。受けたCTBクリエルが相手フォワードを弾きながら豪快トライ(G)を決めた。
前半終了前には2試合連続の先発となったヴェルブリッツNO8奥井章仁がスティール(ジャッカル)。ピンチをしのぎ、イーグルスのリード(14-7)で試合を折り返す。
後半はそれぞれPGを決め合うと(後半4、7分)、ヴェルブリッツは10-17で迎えた後半13分だ。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(2月1日)
【第6節 ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. 横浜キヤノンイーグルス
好調のSH茂野が持ち出すと、キックダミーから内側をラインブレイク。前回対戦でも劇的逆転トライを決めたWTB高橋汰地が快足を飛ばして2本目(G)。17-17の同点に追いついた。
イーグルスは57分のスティール(FLハーモン)など好守を続ける一方、60分のゴール前ラインアウトでミス。もどかしい展開が続いたが、直後の後半21分だ。
ここで途中出場した庭井祐輔がロングスローを決めると、中央突破のゲインから右展開。SO田村優の絶妙パスを受けたCTBクリエルがまたも起点となり、WTB石田吉平へ。
パリ五輪で男子7人制主将を務めたスピードスターが、相手バックスをなぎ倒すフィジカリティもみせてグラウンディング。南アフリカ代表のチェスリン・コルビを彷彿させる速さ、強さをみせて同代表のCTBクリエル、SHデクラークから祝福を受けた。
だが豊田スタジアムで負けられないヴェルブリッツ。
新加入したSO松田力也のPG成功で4点差(20-24)。さらに後半38分の最終局面で、敵陣ラインアウトの大チャンス。前回対戦同様の逆転勝利なるか――。会場のボルテージは高まった。
が、イーグルスはラインアウトで前方・後方でカットを狙う。後方のジャンパーとなったリアキマタギ・モリが殊勲のカット。ヴェルブリッツはチャンスを失った。
最後はエリア中盤でトライを狙って22次攻撃。しかしイーグルスは23次攻撃目でWTB石田が好タックル。そこへ途中出場のシオエリ・ヴァカラヒが絡みついた。嶋田直人もアシストに入り、メンバー歓喜のスティール成功。
「相手のキックのオプションがないなか、ボールを回してくるのは分かっていました」とはイーグルス主将のCTB梶村祐介だ。
「前半から『ペナルティさえしなければ相手のスコアチャンスはない』と話していたので、そこが最後に関しては上手くできたと思います」
最終スコアは、ふたたび4点差(24-20)。今回はタフネスに定評のあるイーグルスに軍配が上がった。
8位に浮上したものの4敗目を喫したヴェルブリッツだが、34歳のベテランHO彦坂圭克ゲームキャプテンは手応えを語った。
「結果はついてきませんでしたが、良いラグビーはできていると思いました。これを続けていけばいつかは結果が付いてくると思っているので、自分たちを信じて、チーム一丸となってやっていきたいと思います」
疑心暗鬼が広がりかねない状況だからこそ、34歳のベテランの言葉は、ひときわ重みを持つ。
結果が出ないとき。上手くいかないとき。そんなときの言動にこそ注目すべきだろう。スティーブ・ハンセンHCもまた毅然としていた。
「選手たちの80分間の努力は誇りに思っています。日々の練習、コーチング、クラブからのサポート、そういったところに関してまったくフラストレーションはなく、むしろ非常に順調だと考えています。ただ、やはり競争力のあるチームとして勝ちたい気持ちがあります。結果を変えることはできないので、私自身もそのフラストレーションを乗り越え、チームがベターになっていくために成長を重ねていきたいです」
次戦は2月9日(日)、10位(2勝4敗)の成長著しい三菱重工相模原ダイナボアーズ戦。セットプレーとディシプリン(規律)に課題を抱えるが、ビジターゲームであり、難しい試合になりそうだ。
一方、4勝目を挙げて3位に浮上したイーグルス。沢木敬介監督は「収穫は勝ったことだけ」と渋かった。
「昨シーズンはこういう展開で負けて、今回は勝ち切ることができたんですけど、自分たちの求めているスタンダードに比べたら全然納得できるパフォーマンスではありませんでした」
「せっかくバイウィークに入る前の2試合くらい、ちょっと良くなってきていると思っていたんですけど。次のバイウィークは休みなしでやろうかなと思っています。まだこのチームは休みを与えたらモードが戻ってしまうので」
最後は笑って「(これからは)休みはなしです。以上です」と冗談まじりの沢木節で締めた。
イーグルスの次なる相手はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。2連勝で4位(4勝1分1敗)に浮上してきた2季前のチャンピオンは、重量フォワードが大きな武器だ。
「(スピアーズは)ビッグパックのイメージがありますし、後半からもインパクトプレーヤーが出てきます。だからこそ自分たちの土俵に引きずり込んで、自分たちのラグビーをすれば必ず勝てると信じているので、それを選手に伝える1週間にしたいと思います」(イーグルス、CTB梶村主将)
イーグルス得意の速攻が見られるか。注目のビッグマッチは2月8日(土)だ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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