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ラグビー コラム 2025年1月14日

【ハイライト動画あり】猪軍団・三菱重工相模原ダイナボアーズが見せた「地力」。コベルコ神戸スティーラーズから歴史的初勝利。ジャパンラグビーリーグワン2024-2025第4節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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歴史が動いた。

ディビジョン1(D1)第4節。1勝2敗同士の対決。9位の「三菱重工相模原ダイナボアーズ」が6位の「コベルコ神戸スティーラーズ」を本拠地で迎えた。

まずダイナボアーズに今季新加入した南アフリカ代表WTB、カートリー・アレンゼが違いを見せた。

「彼(アレンゼ)のような選手はしっかり(トライを)取り切ることができます。そこがとても重要だと思います」(ダイナボアーズ、グレン・ディレーニーHC)

開始3分。スティーラーズがオフロードパスから中央突破。ここで守備に戻ったWTBアレンゼがプレッシャーをかけてパスミスを誘う。

攻守交代が起きると、ボールをもらったWTBアレンゼが約80メートルの独走トライ。スティーラーズの気勢を削いだ。

アレンゼは直後の5分、絵に描いたようなスティール(元「ジャッカル」)も披露。さらに8分には右大外でボールをもらうと、相手WTB松永貫汰、FB山中亮平を振り切り連続トライで14点リード。

アレンゼの第4節終了時のゲインメーター348メートルは2位(D1)。まだ開幕4戦だがアレンゼの獲得は確実に「吉」と出ているだろう。

フィジカルに今季注力したダイナボアーズは、接点で互角以上に戦っていた。

15分にはこの日16タックルを放ったウォルト・スティーンカンプが強烈タックル。リンディ真ダニエルの19タックルと合わせ、この日猪軍団の両ロックは出色の計35タックルを放った。

すると、そのスティーンカンプが攻撃でも存在感。

相手のハイタックルで敵陣22mに入ると、一丸のラインアウトモールでHO李 スンヒョがトライライン目前へ。意表を突く素早いパスアウトから、203センチのスティーンカンプが前半21分、トライエリアでグラウンディング。

スティーラーズ相手に開始3連続トライ。ホストのダイナボアーズが最高の20分間を過ごし、21-0とリードを広げた。

ここまでほとんど攻撃機会のなかったスティーラーズ。

ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(1月12日)

【第4節 ハイライト動画】三菱重工相模原ダイナボアーズ vs. コベルコ神戸スティーラーズ

役者が流石のスキルを見せたのは23分。SO李承信のクロスキックをWTB山下楽平が捕球、孤立したとみるや後方へバックフリップ・パス。卓越したトライ嗅覚でNO8ティエナン・コストリーのチーム1本目を演出した。

しかし前半3連続トライの優位を保ったまま、ダイナボアーズがPGを加えて17点リード(24-7)で後半に突入。

スティーラーズは後半7分までにSH日和佐篤、CTBナニ・ラウマペなど4枚のカードを切り、流れを変えようと試みた。

すると後半7分だ。その日和佐から、ダイナボアーズのD1昇格の立役者だったマイケル・リトルが古巣相手にロングゲイン。

が、直後にスティーラーズがパスミス。1分後にもボール継続に失敗。ここで逆にダイナボアーズのHO李スンヒョがキックリターン。チェイスしていたWTBアレンゼが捕球し、最後はSOジャック・ストラトン

先制トライと同様、相手ミスからワン・リターンでトライを奪うパターンだった。

チーム4本目を奪い、さらに後半14分にPGを加えたダイナボアーズは残り約20分で27点リード。勝利が近づいてきた。

しかし、ここからスティーラーズが逆襲。

後半23分に共同主将のLOブロディ・レタリックが、ラックサイドのごり押しでトライエリアにねじ込みチーム2本目。

ダイナボアーズは後半25分にSOストラトンがハイタックルで一時14人に。さらにペナルティを重ねてしまう悪循環。規律難を好機に畳みかけるスティーラーズは後半27分、日和佐のカットパスからNO8コストリーが3本目。

さらに後半30分には会心のスクラム・ペナルティ。敵陣ゴール前に進み、この日初のモール・トライで3連続トライ。相手が14人の間に8点差(26-34)まで迫った。

「前半すごく良い入りができて、われわれのラグビーを発揮できましたが、後半、ディシプリンの問題でペナルティが重なって自分たちの首を絞めてしまった時間帯がありました」(ダイナボアーズ、SH岩村昂太主将)

この厳しい局面で、またも存在感を発揮したのはウォルト・スティーンカンプだ。

自陣の相手ラインアウトでモールに身体をねじ込み、殊勲のターンオーバー。逆転を狙うスティーラーズにトドメを刺した。

そして時間を使い切ったダイナボアーズが34-26で今季2勝目。前身トップリーグ時代から勝利のなかったスティーラーズから初白星を挙げ、勝敗を五分(2勝2敗)に戻してみせた。

「自分たちが良いスタートを切ることができたからこそ、最後に勝つことができたと思います。良いところもいっぱいありましたが、課題ももちろんありました」(ダイナボアーズ、ディレーニーHC)

怪我人もいるなかで強敵を打倒し、「地力」を感じさせたダイナボアーズ。ベストメンバーでベストゲームをしなければ格上に勝てない――そんなフェーズが終わり、いよいよ真の強豪へのステップを上がり始めた感がある。

順位は7位に浮上。BYEウィーク前の第5節は、同じく2勝2敗で4位の横浜キヤノンイーグルスとの「神奈川ダービー」に挑む。

一方で1勝3敗となったスティーラーズは9位に転落となってしまった。

「また残念な結果になってしまいました。チャンスはたくさん作れましたが、自分たちのミスで自滅してしまい、自分たちのミスに対してダイナボアーズさんから罰を与えられる形になりました」

「良いパフォーマンスをした選手はたくさんいます。ただ、あまりにもミスが多かった。ミスを多く犯してしまうと、自分たちが痛む側になってしまいます。チームとしてハードワークは続けます。まだまだ自分たちはこの状況を変えることができると思っています」(スティーラーズ、デイブ・レニーHC)

次戦は地元神戸に戻り、唯一の開幕4連敗の浦安D-Rocksを迎え撃つ。地元で2勝目を挙げられるか。名門スティーラーズは正念場だ。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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