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突破する桐蔭学園、止める國學院栃木
大阪・東大阪市花園ラグビー場で開催されている「花園」こと、第104回全国高校ラグビー大会は、1月5日(日)にベスト4が激突。國學院栃木(栃木/Bシード)と、桐蔭学園(神奈川/Aシード)、東海大大阪仰星(大阪第2/Bシード)と常翔学園(大阪第3/Bシード)が対戦した。
また、準決勝の前には17回目を数える『U18合同チーム東西対抗戦』も行われ、新人大会に単独校で参加できなかった選手で、夏に開催された『KOBELCO CUP』に参加した選手が、東西に分かれて対戦。西軍が27-14で勝利した。
まず、第1試合は関東の強豪同士が対戦した。春の選抜ベスト4のBシード國學院栃木と、同じく選抜ベスト4で夏の7人制の王者、そして大会連覇がかかるBシードの桐蔭学園もカード。昨年2月の関東新人大会では、國學院栃木が10-7、6月の関東大会では桐蔭学園が40-6で勝利している。
ともに紺がファーストジャージーのため、互いにセカンドジャージーを着ての戦いとなった試合で、先手を取ったのは國學院栃木だった。前半7分、守りからリズムを作り左に展開し、WTB(ウイング)家登正宜(2年)が抜け出して中央にトライ。SO(スタンドオフ)神尾樹凛(3年)がゴールを決めて7点を先制する。
PGを決める桐蔭学園SO丹羽
16分、今度は桐蔭学園が相手ゴール前でラインアウトのチャンスを得ると、FW(フォワード)が一体となってモールを押し込み、最後はキャプテンFL申驥世(3年)が押さえてトライ。22分にはSO丹羽雄丸(3年)が、中央からPG(ペナルティゴール)を沈めて8-7と逆転する。
対する國學院栃木は前半のロスタイム、ゴール前スクラムのチャンスを得て、SH(スクラムハーフ)渡邊匠(3年)のパスに、FL(フランカー)下境洋(3年)が走り込んでグラウンディング。ゴールも決まって14-8と、再逆転して前半を折り返した。
ハーフタイム、桐蔭学園はボールキャリーをサポートする選手の2人目のドライブと、しっかりハイパントボールに競ることを修正ポイントに挙げたという。すると後半7分、桐蔭学園はボール継続すると、13次攻撃でSH後藤快斗(3年)が相手のギャップを抜け出しトライ。コンバージョンのキックも決まって15-14と試合をひっくり返した。
その後、桐蔭学園はディフェンスで冴えを見せ、相手に得点を許さなかった。すると21分にはアタックを継続する中で、FB(フルバック)古賀龍人(3年)が中央にトライ。ロスタイムにはSO丹羽が落ち着いてPGを決め、桐蔭学園が25-14で勝利し、連覇がかかる決勝へと駒を進めた。
第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会
【ハイライト動画】準決勝 國學院栃木 vs. 桐蔭学園
昨季に続いて決勝に進出した桐蔭学園のFL申キャプテンは、「迷わず身体を当てていこうと話をしていました。最初に1本取られましたが、地道な基礎的なプレーをずっと続けてたらチャンスが巡ってきた。そこが勝因だと思う。次は決勝ということを意識せず、全力でやって勝てれば」と前を向いた。
3位となった國學院栃木のキャプテンLO(ロック)笹本直希(3年)は、「自分たちの代で、優勝カップや賞状をもらいたかった。悔しい思いで一杯。後半になるにつれ、自分たちのディフェンスが崩れ始めた。相手陣に入った時のブレイクダウンも安定せず、前半からラインアウトもあまり取れなかった」と目を赤くしていた。
続いて行われた第2試合は、Bシードで優勝6回を誇る東海大大阪仰星と、同じくBシードで優勝5回の常翔学園が対戦。大阪の強豪同士の激突となった。
トライを挙げる東海大大阪仰星HO濱田
先に主導権を握ったのは東海大大阪仰星だった。前半7分、相手陣奥でモールを形成しHO(フッカー)濱田素良(3年)がトライを挙げて5点を先制するが、常翔学園も負けていない。
14分、FWが前に出た後、ボールを動かして、最後はWTB藤間悠太(3年)がトライを返して5-5の同点とする。だが22分、再び東海大大阪仰星が、モールからHO濱田が押さえて10-5とリードして前半を折り返した。
後半、先に得点を挙げたのはリードしていた東海大大阪仰星だった。相手のダイレクトタッチから、FB齊藤泰生(3年)がクイックスローでボールを入れ、共同キャプテンSO吉田琉生(3年)がステップでかわして中央にトライ(17-5)。
これ以上離されたくない常翔学園は14分、ゴール前でチャンスを得るとHO矢富蓮(3年)がねじ込んでトライを挙げて、5点差に迫った。しかし、東海大大阪仰星はキックを巧みに使って攻め込む。
17分、グラバーキックからカウンターラックを成功させて、最後はWTB隅田陸斗がトライ。さらに20分、ハイパントキックを相手がこぼして、そのボールをCTB東佑太(2年)が拾い上げつと、そのままトライ。29-12として、勝負を決めたかに思われた。
終盤に猛攻を見せた常翔学園
ビハインドの常翔学園はここから意地を見せる。数的有利となった29分、CTB立花幹太(3年)がトライを挙げて10点差に迫る。さらに相手にもう1人、シンビンが出た後のロスタイム、ボールを大きく動かして、最後はオフロードパスでつなぎ、SH元橋直海(2年)が右中間に押さえ、3点差まで追い上げたが、ここでノーサイド。
東海大大阪仰星が29-26で、大阪勢対決を接戦で制して、3大会ぶりの決勝に進んだ。
第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会
【ハイライト動画】準決勝 東海大大阪仰星 vs. 常翔学園
後半、自らトライを挙げるだけでなく、キックでトライを演出した共同キャプテンのSO吉田は「大阪対決で、絶対負けたくなかった。相手のフィジカルで最後押し込まれたが、ディフェンスでやりきった部分は決勝に向けて良い準備ができた。決勝は全員ラグビーを体現したい」と振り返った。
健闘を称え合う両校のキャプテン
惜しくも敗れ、3位となった常翔学園のキャプテンNO8井本章介(3年)は「楽しもう、前に出続けようと言っていたが、エンジンがかかるのがワンテンポ遅くて、後半の頭から最後のようなラグビーができていたら、絶対逆転できたはずだった。仰星さんにはホンマ、決勝で勝ってほしい」と悔しそうな表情を見せた。
1月7日(火)午後2:00からの決勝戦は、連覇&5度目の優勝を狙う桐蔭学園と、7度目の優勝がかかった東海大大阪仰星の激突となった。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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