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序盤主導権を握ったのは帝京大。前半7分に先制トライを奪われると、15分にはハイパントキックの競り合いから得点を許してしまう。関東大学対抗戦の帝京大戦では、連続トライから修正できず、大量失点を献上した明大。しかし今試合では慌てることなく、得点を重ねていった。
「立て続けにトライを取られてしまったが、やることを明確にしようという話をして、立て直すことができた」(SO/スタンドオフ伊藤龍之介・商2=国学院栃木)。
19分、ハーフウェーライン付近のラインアウトから右WTB(ウイング)白井瑛人(商1=桐蔭学園)が裏にショートパント。捕球した相手のラックをターンオーバーすると、白井が左サイドに流れながらディフェンスを突破し、パスを受けた左WTB海老澤琥珀(情コミ2=報徳学園)が左隅に飛び込んだ。
「キックを織り交ぜて、エリア取りのところはうまくできた。ボールをもらうことが多かったので、ハードワークできた」(白井)。
32分には、ハイパントからチャンスメークし、敵陣22mラインに侵入。右サイドにオーバーラップをつくると、伊藤龍のロングパスから小刻みにボールをつなぎ、最後は左PR(プロップ)檜山蒼介(情コミ2=尾道)がトライを挙げた。
さらに前半終了間際にチャンスをつくるも、帝京大学の堅守に阻まれ逆転とはならず。12-14の2点ビハインドで試合を折り返した。
迎えた後半、流れを継続したい明大だったが、4分、7分に連続失点。17分にもインゴールを割られ、3連続トライを許してしまう。アタックでも細かいミスが増え、得点に結びつかない時間が続いた。
「自分たちで意識していたところが後半はできなくて、帝京大に全部持っていかれてしまった」(左FL/フランカー最上太尊・商3=仙台育英)。
残り時間が少なくなる中、選手たちは決して諦めることなくアタックし続けた。35分、敵陣でラインアウトをスチールすると、伊藤龍がゴールライン目前まで快走を見せる。最後は走り込んできたNO8(ナンバーエイト)木戸大士郎主将(文4=常翔学園)がグラウンディング。
「自分で行くしかないと思って、自分の前が空いたら積極的に走ろうと思っていた」(伊藤龍)。
試合終了間際にトライを挙げ、雄たけびをあげる田島貫
試合終了間際には、敵陣ゴール前でのラインアウトからFW(フォワード)戦を展開。大声援が鳴り響く中、左LO(ロック)田島貫太郎(政経4=東福岡)が意地のトライ。木戸主将と固く抱き合った。
「(トライは)うれしかった。楽しい試合だった」(田島貫)。
ノーサイドの笛が鳴り、26-34で試合終了。決勝進出を逃した選手たちの目には涙が光っていた。
昨年度に続き、帝京大に行く手を阻まれた明大。悲願の日本一『奪還』を果たすことはできなかったが、春シーズンで課題だったスクラムでは何度もペナルティを奪い、大きな成長を見せた。
「セットプレーの役割を全うすることができたので、すごくすがすがしい気持ちだった」(右PR倉島昂大・営4=桐蔭学園)。
1年間明大を引っ張ってきた木戸主将は「本当に悔しい。もう1試合やって勝ちたかった」と言葉を詰まらせた。劣勢でも最後まで『前へ』の精神を貫き通す姿は、観客たちの心に刻まれただろう。
木戸組の物語は幕を下ろしたが、明大の戦いはまた続いていく。今試合の悔しさを糧に、選手たちは日本一の座を目指し、3月に新体制で再出発する。
「自分だけでなくチームにもフォーカスを置いて、引っ張っていけるように頑張りたい」(SH/スクラムハーフ柴田竜成・営3=秋田工)。
先輩たちの思いも背負い、成長していく明大ラグビー部の戦いにこれからも注目だ。
文:晴山赳生/写真:井垣友希、久保田諒(明大スポーツ新聞部)
明大スポーツ新聞部
1953年(昭和28年)創部。現在明治大学において唯一の学生新聞部。明治大学体育会43部の競技成績や、学内外の話題を幅広く紙面・WEBサイト上にて掲載、発信。 現在の部員数は56名。
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