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大学日本一を決める第61回全国大学選手権は準々決勝(ベスト8)。
近畿大は一週間前の3回戦で福岡工業大学に74-12で大勝(和歌山・紀三井寺)。
雨中戦で74得点を挙げた近畿大の中村志主将は、前半は攻守でボールロストが増えながらも「後半フォワードがしっかりアタック・ディフェンスともに前に出て、展開力があるバックスでスコアすることができた」と、ゲーム中の修正力について手応えを語った。
2021年の関西リーグ開幕戦で前年度王者の天理大学を破るなど、周囲をアッと言わせてきたのが“近大”だ。今季のリーグ最終戦では、関西王者・京都産業大学を破った関西学院大学に劇的勝利(29-22)している。
今週末の相手は優勝候補と目される早稲田大だが、挑戦者としての立場はむしろ追い風なのではないか。さらに近畿大には歴史の創造というモチベーションもある。
「チームの目標としては『関西1位、全国ベスト4以上』があったのですが、関西Aリーグでは3位に終わってしまい、自分達の思うような結果が出せませんでした」
「(しかし)全国ベスト4という目標に対しては、また新たなステージで(試合が)できます。4年生を中心にベスト4以上になれるチームだと実感しているので、あとはしっかり来週の試合に勝って新たな歴史を刻みたいと思います」(近畿大・中村主将)
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すでに近畿大は2002年度以来22大会ぶりのベスト8(最高成績タイ)に到達している。ベスト8の先はチーム未踏の世界。今週末が、歴史を刻むチャンスだ。
近大附属出身のPR稲場巧らを擁する強力スクラム。大学生で唯一のパリ五輪男子7人制代表に選出されたWTB植田和磨がいる伝統の高速バックス。上級生を主軸に据えたチームは接戦にも強い。
注目の早稲田大戦メンバーは、スクラムを牽引する強力フロントロー(PR蔡唯志、HO村尾幹太、PR稲場巧)、そしてFL中村志主将を筆頭とするバックロー(FL岩本圭伸、NO8古寺直希)に変更はなし。運動量豊富なハードワーカーが揃った。
ハーフ団は若いがスキル豊富なSH渡邊晴斗(20歳)と SO西柊太郎(19歳)。CTB嶋竜輝と浪速高校出身のCTB藤岡竜也は攻防に秀でる。そしてフィニッシャーのWTB植田和磨は、唯一の先発変更であるWTB西端玄汰と両翼を担う。
かたや優勝候補筆頭の声もある早稲田大。
3週間前の100度目の早明戦は、宿敵・明治大学と3点差(27-24)の歴史的死闘。明治大にも勝機はあったが、今季注力しているディフェンスで最後は勝ち切った。
さらには対抗戦で大学3連覇王者・帝京大学も苦しめたスクラム。バックスでは大型ルーキーSO服部亮太、WTB田中健想を擁し、センターコンビはプレイメーカーの野中健吾、攻守に強い福島秀法。そして最後尾には現役日本代表の2年生FB矢崎由高・・・。
穴の見当たらない充実の布陣で、2019年度以来の『荒ぶる』(優勝時にのみ歌える第2部歌)へ邁進している。
早明戦後、早稲田大の大田尾竜彦監督は、大学選手権までの3週間の使い方に言及していた。
「試合(準々決勝)まで3週間あります。まず1週間はスキルのところをやりたいです。また今日(早明戦)ラインブレイクが2回あったので、アンストラクチャーからのディフェンスの整備です。オフサイドラインで足が止まっていたので、そのあたりに着手できればと思います」
では注目の近畿大戦メンバーを見てみよう。
3週間前の早明戦からのスタメン変更は2名。大学屈指のキャリアーであるLO栗田文介が先発復帰。そしてフルバックは日本代表の矢崎がメンバー外となり、神奈川・関東学院六浦出身の植木太一が入った。
伝統的にみてもプラン遂行力に長ける早稲田大は、序盤から用意周到なプレーで畳みかけることが多い。近畿大としては、スタートダッシュを決められて追走する展開は避けたい。逆に序盤でリードする展開で、焦りを誘いたいところだ。
お互いにスクラムを強みとしており、セットプレーの攻防はやはり注目。そして今季の早稲田大となれば、ルーキー服部の特大キックは見所。近畿大は服部らが仕掛けるキックゲームにどう対処するか。
負ければシーズン終了。一発勝負の大舞台だ。一気に冷え込みが厳しくなった12月第3週、午後2時30分に鉄笛は鳴る。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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