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ラグビー コラム 2024年12月12日

チームの歴史を変えたい東洋大。慶大は防御で対抗。互いのラグビー観がぶつかる80分。

ラグビーレポート by 田村一博
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関東大学春季交流大会(Bグループ)では62-17。慶大東洋大に大勝したのは5月12日だった。
その試合から7か月。全国大学選手権の3回戦で両校が戦う(12月14日、11時30分キックオフ/秩父宮ラグビー場)。

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関東大学リーグ戦1部の2位チームとして春のリベンジを果たしたい東洋大と、関東大学対抗戦Aの4位として戦いに挑む慶大。
勝敗の天秤がどちらに傾くかは、攻撃力の高い東洋大を慶大がどう止めるのか、そこにかかっている。

東洋大は関東大学リーグ戦1部の初戦で大東大戦に敗れるスタートを切るも、その後は試合を重ねるごとに本来の力を出して戦った。
第6戦の立正大戦こそ3トライに抑えられて競り負けるも、他の試合では5トライ以上を奪って勝利。攻撃力の高さを見せつけた。

 

チームに勢いを与える存在は、FL森山海宇オスティンだ。力強いボールキャリーと激しいタックルでチームにモメンタムを与える。今季は全7試合に先発、フルタイムでのプレーとフル回転の働きで、全国大学選手権でも周囲を前に出すパフォーマンスを見せるだろう。

PR笠巻晴太主将が1番を背負い、まとめるFWはまとまりがよく、サイズで圧倒する選手もいれば、仕事人もいてバランスがいい。
今回の試合では、リーグ戦ではフロントローでプレーした前川嵩登が6番に入った(関東大学ジュニア選手権ではバックローでも出場)。チームにパッションを与えるプレーが持ち味だ。

昨年は全国大学選手権出場を逃したチームが今季上昇した理由のひとつに、SO天羽進亮の成長がある。
前年から10番を背負い続ける3年生は経験を積み重ね、周囲の選手と息の合ったプレーを見せる。また、前に出るタックルも、この人の持ち味。そのプレースタイルは気持ちの強い慶大相手でも、一歩も引かないだろう。

シーズンを通して組んできた1年生SH、生田旭と天羽のコンビネーションもいい。
強いランナーに加え、切れ味鋭いFB坂本琥珀のランプレーも相手にとっては脅威となるはずだ。
ベンチスタートだが、23番を背負う中山二千翔も好ランナー。攻撃力の高さを発揮し、自分たちに流れを持っていきたいところだ。

 

慶大は春の東洋大戦で3トライを奪った小野澤謙真が、今回の試合は怪我で欠場する。
その14番に入るのは4年生の廣瀬瞭は、関東大学ジュニア選手権の流経大戦(12月7日)で3トライをマークして好調、ディフェンスの強さに期待がかかる。

また、関東大学対抗戦Aの最終戦、日体大との先発メンバーから代わったポジションではCTBにバックスリーダーを務める今野椋平が戻った。周囲を前に出すゲーム運び、そして、スペースを見つけ、有効活用する能力が頼りになる3年生だ。

司令塔は帝京大戦以降、5試合連続で10番を背負ってきた1年生の和田健太郎が務める。柔らかな動きと左足からのキックが持ち味。経験を重ね、周囲の信頼も厚くなっている。
HOの中山大暉主将を中心に粘り強く戦うFWが供給するボールを有効に使ってスコアに結びつけたい。

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春の大勝を「まったく参考にならない。東洋大は別のチームになっています」と言う青貫浩之監督は「ディフェンスを中心に戦い、そこからアタックする」イメージを持つ。
「前に出てブレイクダウンを優位に戦いたいですね」

「(攻撃力のある相手に)撃ち合いでは勝てない」と想定し、粘り強いディフェンスでロースコアの勝負に持ち込むつもりだ。
関東大学対抗戦での戦いを終えた後は、セットピースとディフェンスに注力して準備を進めてきた。その整備が勝利への第一歩とし、自分たちの強みを出して戦う。

この試合に勝った方は、翌週(12月21日/秩父宮ラグビー場)、3年連続大学日本一の帝京大と準々決勝を戦う。
2大会前に初めて全国大学選手権出場を果たした東洋大は、その時は初戦(3回戦)で壮大に敗れた。今年こそ初勝利をつかみたい気持ちがあふれている。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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