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TJ・ペレナラ(リコーブラックラムズ東京)
12月7日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25」の開幕まであと2週間あまり。ディビジョン1のリコーブラックラムズ東京が、ホストスタジアムの『駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場』に、三菱重工相模原ダイナボーズを迎えてプレシーズンマッチを行った。
南アフリカ代表FBアレンゼ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)
試合はホストのブラックラムズが26-19と勝利して開幕戦に向けて弾みをつけた。なお、ダイナボアーズに新加入した南アフリカ代表FB(フルバック)カートリー・アレンゼが初の実戦デビューを飾った。
試合終了後、多くのブラックラムズのファンがスタンドに残る中、今シーズンの最注目選手の1人であるブラックラムズのSH(スクラムハーフ)TJ・ペレナラ(32歳)が青空の下、入団会見を開いた。
ペレナラは11月まで「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表でワールドカップに2度出場し、89キャップを重ねた。また、ハリケーンズ(ニュージーランド)でも、過去最多となる163キャップを誇るレジェンドだ。2021-22シーズンのトップリーグでは、NTTドコモレッドハリケーンズでもプレーした。
ペレナラ(左)とマットソンHC
ブラックラムズの新指揮官タンバイ・マットソンHC(ヘッドコーチ)が「僕たちにとって、最後のキーとなるピースだと思う。TJはすごくプロフェッショナルで、練習、仕事に対する姿勢が素晴らしいし、競争心もすごく高い」。
「だから、絶対に最後まで戦ってくれる。そういった姿勢から学ぶことはたくさんある。あとSHは一番重要なポジションだと思っているので、間違いないなくインパクトを残してくれる」と大きな期待を寄せた。
入場するTJ・ペレナラ
自身の名が書いたボードを持ったファンに迎えられ、スタジアムに入場してきたペレナラは、「まず、僕と僕の家族を温かく迎え入れていただきありがとうございます。日本に戻って来られてとてもうれしい」。
「前回の日本滞在も、すごく素敵な思い出がたくさんある。また、こうやって日本に戻ってきて、今度は東京で過ごせることをすごく楽しみにしている。早くチームメイトと練習をして、ファンのみなさんが誇りに思ってくれるようなエキサイティングなプレーを見せられたらと思う」と挨拶した。
ファンの前で、ブラックラムズの黒いジャージーを着て「すごく良い感じ。家族で日本に来ると決めたのは、6カ月前ぐらいだったので、やっと来られた。特別な感じがする」と笑顔を見せた。
再び日本、そしてブラックラムズでのプレーを選択した理由を聞くと、「(前回は)日本ですごくエンジョイできて、日本で戦ったラグビーもすごく楽しかった。日本を離れた時、絶対に戻ってきたい場所だと思ったことと、家族と相談し、子どもたちを日本で育てていきたいという話をした」。
「そして、ブラックラムズには、本当に素晴らしいチームメイトがいるし、これからチームが進んでいく道など、すべてを含めて、今回のオファーに関してはノーというのが難しかった」と正直に吐露した。
ファンに挨拶するTJ・ペレナラ
プレシーズンマッチを見ての感想を尋ねると、経験豊富な世界的なスクラムハーフは、「すごく良いプレーもたくさんあって、その中で、まだ改善していかなければいけない、成長させていかなければいけない部分もあった」。
「この数週間で、修正点を改善できるように、試合をレビューしていきたいが開幕前のリハーサルとしては、すごく誇りに思える良い内容だったと思う」と振り返った。
日本のリーグワンで対戦したい選手を尋ねると、SO(スタンドオフ)リッチー・モウンガ(ブレイブルーパス東京)、FL(フランカー)サム・ケイン(東京サンゴリアス)、SH(スクラムハーフ)アーロン・スミス(トヨタヴェルブリッツ)と、オールブラックスや、ハイランダーズ時代のチームメイトを挙げた。
「ナギー(アーロン・スミス)とは対戦もしたし、オールブラックスでも一緒にやってきた。また対戦するのをすごく楽しみたいが、試合に勝ってから話をすることができればいいな」。
さらにレッドハリケーンズ時代の同僚の名前も挙げた。「今、ケガをしていると思うが、CTB(センター)サミソニ・トゥア(浦安D-Rocks)。彼とも対戦したい」。
東京に来て、訪れてみたい場所はあるかと聞くと、ペレナラは「行きたいところはたくさんある。でも、もうすぐリーグワンのシーズンが始まる。僕の仕事は日本でラグビーをすることなので、そこにフォーカスしたい。その時がきたら、いろいろ行きたいと思うが、今はラグビーをしたい」と前を向いた。
子どもたちへのメッセージをお願いすると、優しい笑顔を見せつつペレナラは「競技を始めたのは4~5歳からだった。(元オールブラックスの故)ジョナ・ロムーになりたいと思ったが、サイズや体重が足りなかったので方向転換をした」。
「まずは友だち、仲間とラグビーを楽しむこと。そうすると、そこで戦っていく気持ちも芽生えてくる。年齢が上がって、どんどんシリアスになっていくが、その中でも大事にしているモットーがある。それは『一番、努力している選手が一番良い選手になる』という言葉で、それを一番大事にしてやってきた」と話した。
自分を歓迎するタオルを掲げるTJ・ペレナラ
「もう、今プレーできる状態」というペレナラ。ブラックラムズに何をもたらしたいか?と最後に聞かれて、「まず、チームがどうやってプレーしたいのか理解したい」。
「僕の仕事は今日、チームが見せたパフォーマンスに、自分がプラスできることと、そしてインパクトを与えていければいいと思う。ここまでやってきたことや、達成していることはとてもスペシャルなものがあると思うので、自分らしく、チームに築き上げてきたものにプラスしていければいい」と自信をのぞかせた。
2020-21シーズンはNTTドコモに加入し、チームを牽引してベスト8進出に寄与。日本のラグビーファンに大きな衝撃を与えたペレナラ。今季から再び日本でのプレーを選択した。黒いジャージーを身に纏い、アタックの中軸としてブラックラムズを上位へと引き上げる。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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