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今季の対抗戦で、最も肉薄した試合であったことは間違いないが、重戦車の猛攻を自慢のディフェンスで抑え込んだ。前半は自陣での反則が重なり、苦しい展開が続くが、何とか無失点のまま乗り越える。
12分に得た初めてのチャンスから先制に成功すると、両チームトライを取り合い、12-10と2点のリードで前半を終えた。後半、明大に逆転を許すものの崩れることはなく、2連続トライで再逆転。
試合終盤に明大の執念のアタックで最大のピンチを迎えるが、規律正しく、圧力のある決死のディフェンスでインゴールを守り切り、27-24と見ごたえのあるクロスゲームを制して見せた。
明大ボールのキックオフから、100回目の早明戦が始まった。細かなミスが失点につながるような異様な緊張感の中、先に流れを掴んだのは明大。早大は自陣での反則が重なり、自陣深くでのプレーが続く。
しかし、「冬から取り組んできた」(大田尾竜彦監督、平16人卒=佐賀工)ディフェンスでグラウンディングを許さず、無失点で立ち上がりの危機を乗り越えた。
11分、明大のダイレクトタッチから敵陣でのラインアウトを獲得し、この試合初の好機を迎えた。CTB(センター)福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が、ラインブレイクすると、フォローに走っていたFB(フルバック)矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がゴール目前にまで迫る。
ボールキャリーをするHO佐藤
早いテンポでSH(スクラムハーフ)細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)がボールを捌くと、LO(ロック)米倉翔(スポ2=福岡・修猷館)が巧みなカットインでさらにゲインを見せる。最後は大外で待っていたHO(フッカー)佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がインゴールを叩き割った。
瞬く間の速攻で一気に明大守備を破壊し、先制点をもぎ取った。しかし、続く16分、早大のオブストラクションから、ゴール前でのラインアウトモールを形成した明大に、伝統の重戦車ぶりを見せつけられ、同点に追いつかれる。さらに27分、またもモールでトライラインを割られ、逆転を許した。
5-10とロースコアな展開で前半の終盤を迎えると、WTB(ウィング)田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)が獲得したハイタックルのペナルティから早大はチャンスを得る。
インターセプトを狙った明大CTB平翔太のノックオンから、ゴール前でマイボールのスクラムを組むと、サインプレーでインゴールに飛び込んだのは田中健。対抗戦14本目のトライを挙げ、12-10と2点のリードを得て前半の40分を終えた。
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続く後半。先に試合を動かしたのは明大。10分、早大のラインアウトの反則から陣地を大きく拡大した明大は、モールでアドバンテージを得ると、明大CTB秋濱悠太がディフェンスの穴を突く見事なランニングを見せ、12-17とまたも逆転。
しかし、再開後すぐのキック合戦で明大が、ブレイクダウンでの反則を犯すと、早大はラインアウトモールを押し込み、同点に追いついた。さらに18分、HO佐藤が逆足でのグラバーキックで、明大ゴール前の絶妙な位置にボールを転がすと、WTB池本晴人(社2=東京・早実)のナイスセービングでボールをキープした早大。
ディフェンスを圧倒するFB矢崎
最後はディフェンスラインめがけて鋭く走りこんできた矢崎が、タックラーを引きずりながらインゴールをこじ開け、値千金の連続トライ。点差を広げると、さらにPG(ペナルティゴール)でスコアを27-17とし、流れに乗ったかに見えた。
しかし、最後まで勝負がわからないのが早明戦の醍醐味。30分、明大SO(スタンドオフ)伊藤龍之介のラインブレイクから、会場が明大コールに包まれると、モールからFW(フォワード)の継続したアタックでトライを献上してしまい、残り8分で3点差に。
38分に早大はスクラムで痛恨のアーリーエンゲージの反則を取られ、最大のピンチを迎える。この試合で2トライを奪われている強力なモールを組まれるが、前進を許さない。明大の猛攻は続くが、試合終盤になっても早大の出足が遅れることはなかった。
特にリザーブから出場したPR(プロップ)新井瑛大(教2=大阪桐蔭)、安恒直人(スポ4=福岡)、HO清水健伸(スポ2=東京・国学院久我山)が、意地のタックルで早大ディフェンスを牽引。
「1トライで逆転されてしまうという場面を楽しめていた」(佐藤)と、苦しい場面でも焦りは見せなかった早大。ライン際まで回ったボールは、明大WTB海老澤琥珀が受け取り、最終局面。紫紺のトライゲッターを1年生コンビ、SO服部亮太(スポ1=佐賀工)と、WTB田中健がタッチに押し出し、ノーサイド。3点差を守り切り、対抗戦全勝優勝を決めた。
佐藤主将のもと、『Beat Up』というスローガンを掲げて走り続けてきた早大。開幕節・立教大学戦で57-6と圧倒し、続く日本体育大学、青山学院大学を完封。絶対王者・帝京大学を相手に、31点差での歴史的勝利を遂げると、筑波大学も危なげなく快勝。伝統の早慶戦では慶應義塾大学をノートライに抑え、ついに宿敵・明大を撃破。
「全カテゴリーの選手たちが、勝負に貪欲になって勝ちだけを目指してきたからこそ、今日の勝利を掴めた。チーム全体として勝ち癖のある良い集団になれている」と佐藤が振り返ったように、常勝軍団として快進撃を見せてきた。
節目となる第100回の早明戦、タフな試合で勝利し、さらに勢いをつけた早大。次なる戦いの場は、ついに全国大学選手権だ。負けたら終わりのノックアウトステージ、勝って、凱歌を響かせよう。日本一になったときにしか歌えない『あの歌』を。
文:村上結太/写真:安藤香穂、植村皓大(早稲田スポーツ新聞会)
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