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早稲田大学に敗れて、対抗戦4連覇こそなくなったが、前節、明治大学に快勝し、5勝1敗の帝京大学。大学選手権出場は決めているが、明治大学と勝ち点31で並んでいる。準々決勝からの登場となる2位で大学選手権に出場するため、3トライ差以上で勝って、しっかり勝ち点6を挙げておきたい。
一方、3勝3敗で勝ち点19の筑波大学は4位だが、この試合の結果如何では、12月1日の他校の成績によっては大学選手権の出場を逃す可能性もある。筑波大学としてはまず、勝利または引き分け(勝ち点3)で大学選手権出場が決めたいところだった。もし負けたとしても7点差以内の敗戦でボーナスポイントも含めて、勝ち点2を積み重ねたい。
昨年は大学選手権で3連覇を達成した帝京大学が73-0と快勝し、過去8年は勝利しているが、過去には10点差や2点差など接戦となったこともある対戦カードだった。
勝利して対抗戦を終わりたい両校。筑波大学は前節から3人メンバーを交替してきたが、帝京大学は明治大学に48-28で勝利した試合から、先発メンバーを替えることはなかった。
筑波大学vs.帝京大学
試合は午後2:00にキックオフされた。試合序盤はキックを使って相手陣で戦う意識が高かった筑波大学が、ランナーの揃うBK(バックス)陣を主体に攻め込むが、好機にゴールラインを割ることができなかった。
すると徐々に接点で上回る帝京大学のペースとなる。前半8分、相手の反則からラインアウトを起点に攻め込み、FB(フルバック)小村真也(4年)、WTB(ウイング)生田弦己(3年)とボールが渡り、右中間にトライ。CTB(センター)大町佳生(3年)がゴールを決めて、7点の先制に成功する。
突破する帝京CTB大町
帝京大学は攻撃の手を緩めず、18分にはモールからHO(フッカー)當眞蓮(4年)が押し込んだ。25分にはハイパントキックを起点に、ボールを継続して、最後はWTB日隈太陽(3年)がトライ。29分にはWTB生田が2つ目のトライを挙げて26-0とリードする。
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35分には、筑波大学のFL(フランカー)茨木颯(3年)が反則の繰り返しにより、シンビン(10分間の途中退場)となる。数的有利となった帝京大学、36分にはスクラムを起点にSO(スタンドオフ)本橋尭也(2年)が走り込んでトライを挙げて33-0と大きくリードを広げた。
前半のロスタイム、相手陣に攻め込んだ筑波大学のSO楢本幹志朗(3年)がDG(ドロップゴール)を狙ったが、決めることができなかった。すると、帝京大学はモールからFL森元一気(4年)が押さえてトライ。前半だけで6トライを重ねた帝京大学が40-0とリードして前半を折り返した。
後半も数的有利が続く帝京大学が攻め、筑波大学が守る展開は変わらない。後半2分、WTB日隈が右隅にトライを挙げると、9分にはモールからNO8(ナンバーエイト)グアイニ優人(4年)が左中間にトライを挙げて52-0とした。
13分、筑波大学もスクラムを起点に攻め込み、右サイドライン際でWTB飯岡建人(2年)がゲインしたが、帝京大学のディフェンスの前にトライを挙げることができなかった。
ハットトリックを達成した帝京WTB生田
その後も帝京大学は、20分に途中交代のFB神田陸斗(3年)、24分にはSO本橋、37分にはHO知念優来(4年)、さらにロスタイムには、WTB生田がハットトリックとなる3本目のトライを挙げた。終わってみれば後半も6トライを重ねた帝京大学が、80-0で大勝した。
POMに輝いた帝京SH李
MIP(モスト・インプレッシブ・プレーヤー)は筑波大学のキャプテン、WTB中野真太郎(4年)、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)はアタックをリードした帝京大学SH(スクラムハーフ)李錦寿(4年)が選出された。大学のキャリアで初のPOMに輝いたSH李は「みんながハードワークしたので、僕がもらえました。チームが良い形で対抗戦を終えられたので良かった」と破顔した。
昨年に続き、帝京大学に大敗した筑波大学の嶋崎達也監督は「(前節から)3週間、僕らの勝てる可能性を少しでも引き上げられるように準備してきたが、それが出せなかった。私自身責任を感じています」と肩を落とした。
キャプテンWTB中野は「帝京大学は自陣のゴール付近に入れてしまうと、得点を取って帰るチームなので、規律を守りながらやろうと思っていたら、規律が良くなく自陣に相手をずっと入れて、ディフェンスの時間が長く、苦しかった」と振り返った。
両チームのキャプテン
会心の勝利を挙げた帝京大学の相馬朋和監督は「対抗戦の最終戦で、1年間を通して、学生たちが、ここまでやってきたことをグラウンドの中で表現して素晴らしいパフォーマンスを出すことができた。今日の試合のように、大学選手権でもチームとして一貫性を持って取り組んでいきたい」と先を見据えた。
力強い突破を見せる帝京FL青木主将
キャプテンFL青木惠斗(4年)は「試合前のロッカーで、自分たちにフォーカスしようと話して、自分たちのラグビーが80分できたのがうれしい。対抗戦で4連覇することはできなかったが、早稲田大学戦から、自分たちの形、強みを再認識することができた。大学選手権では優勝を取りにいきたい」と言葉に力を込めた。
うなだれる筑波大学の4年生
筑波大学は、12月1日に慶應義塾大学(勝ち点21)、青山学院大学(勝ち点20)が勝利したため、6位となり大学選手権出場を逃してしまった。一方の帝京大学は、12月1日に早稲田大学が勝利したため、対抗戦2位で大学選手権はシードとなり、12月21日の準々決勝(東洋大学vs.慶應義塾大学の勝者と対戦)が初戦となる。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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