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ラグビー コラム 2024年11月18日

【ハイライト動画あり】前回優勝の桐蔭学園、最強の挑戦者・東海大相模を破り花園へ。全国高校ラグビー大会 神奈川県決勝

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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連覇を目指し花園に挑む桐蔭学園

初の選抜ベスト4と、ベスト8の対戦は予想通りの激戦となった。「花園」こと、第104回全国高校ラグビー大会の神奈川県予選決勝が、11月17日(日)に開催され、6大会連続で桐蔭学園と、東海大相模のライバルが激突した。

昨季、花園で4度目の優勝に輝いた桐蔭学園。2月の関東新人大会は、國學院栃木(栃木)に敗れて準優勝、3月の春の選抜大会はベスト4、5月のサニックスワールドユースで準優勝。さらに6月の関東大会で優勝、7月の高校セブンズ大会では5年ぶり2度目の優勝を飾るなど、今季も「東の横綱」の名にふさわしい成績を残してきた。

第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会

一方、チームの歴史上、最も大きなFW(フォワード)が揃った東海大相模も、関東新人で3位に入ると、春の選抜では常翔学園(大阪)に23-13で勝利し、ベスト8に進出するなど、力のあるところを見せてきた。

今季、両者は2度対戦しており、桐蔭学園が新人大会では34-5、関東大会予選では29-11で勝利した。昨年の花園予選決勝は、桐蔭学園が59-0で勝利しているが、2年前の花園予選決勝では、東海大相模が日本代表で活躍しているSO(スタンドオフ)矢崎由高(現・早稲田大学2年)がいた桐蔭学園を14-13で下している。

高校日本代表候補は桐蔭学園が7人、東海大相模からは4人選ばれている。伝統的に継続ラグビーを標榜する王者・桐蔭学園が勝つか、強力なFW陣が武器の東海大相模が勝つか。有料試合での開催だったが、ニッパツ三ツ沢球技場には、2810人のファンが集い、午後1:00、桐蔭学園のボールでキックオフされた。

キックも光った桐蔭学園SO丹羽

先にチャンスを迎えたのは桐蔭学園だった。前半5分、相手陣30mのラインアウトからボールを継続、キャプテンのFL(フランカー)申驥世が抜け出すと、フォローしたSH(スクラムハーフ)後藤快斗がトライ。SO(スタンドオフ)丹羽雄丸(いずれも3年)がゴールを決めて7点の先制に成功する。

その後、桐蔭学園が攻め込むものの、東海大相模も粘りのディフェンスで追加点を許さない。すると12分、相手反則から東海大相模がPG(ペナルティゴール)のチャンスを得てると、SO長濱堅(3年)が中央右から成功。さらに16分にも相手オブストラクションからPGを追加し、7-6と1点差に迫った。

第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会

【ハイライト動画】 神奈川県予選 決勝 桐蔭学園 vs. 東海大相模

20分、ゴール前に攻め込んだ桐蔭学園が、PGのチャンスを得てSO丹羽が正面から沈めて10-6。さらに26分、相手陣15mラインアウトからモールを押し込んで、FL申が左隅に押さえてトライ。SO丹羽が難しい角度のゴールを決めて17-6とリードを広げた。

大きな成長を見せたSH後藤(桐蔭学園)

その後、前半のロスタイムに桐蔭学園は、SH後藤が「50-22」キックを決めて、チャンスを得たが追加点を挙げることができず、そのままハーフタイムを迎えた。

後半、先に得点を挙げたのはリードしていた桐蔭学園だった。7分、相手陣の右中間22mのスクラムを起点に左に展開し、最後は走り込んだFWリーダーのLO(ロック)西野誠一朗(3年)が左中間に押さえて、24-6とリードを広げた。

トライを挙げる相模のFB五島

一方の東海大相模は、キャプテンHO矢澤翼ら、FW(フォワード)5人を入れ替えると一気にチームに勢いが増す。15分、スクラムを起点に攻め込み、FB(フルバック)五島悠翔(3年)がトライ。さらに23分、ゴール前のスクラムからFW、BK(バックス)一体となってボールをつなぎ、WTB(ウィング)福岡遼(2年)が右中間に押さえて18-24と6点差に迫った。

残り3分、桐蔭学園は焦りを見せずに、攻める姿勢を貫き、FB古賀龍人(3年)のカウンターから攻め込んで、相手反則を誘う。29分、中央からPGのチャンスを得るとSO丹羽が落ち着いて沈め、27-18と1トライ1ゴールで追いつかない9点差に広げた。

ノーサイド

さらの桐蔭学園はロスタイム、相手が落としたボールをSO丹羽が足にかけて、そのままキャッチ。中央にトライを挙げて、34-18としてノーサイド。桐蔭学園が連覇のかかる花園に、2大会連続22回目の出場を決めた。

藤原監督(桐蔭学園)

桐蔭学園を率いる藤原秀之監督は、「東海大相模さんは新人戦から強いということは十分にわかっていた。どっちが勝ってもお互いに成長する試合だったかと思ったし、それにふさわしい試合だった」。

「最後は絶対に1点を争う試合、シーソーゲームになることがわかっていたので、全国に行くチームは、こういう試合もしのいでいかないといけない。前半、2つのトライを取れたことが大きかった」と振り返った。

申キャプテン

「声援が力になった」という桐蔭学園のキャプテンFL申は、「全国トップレベルの県の決勝で、今年も全力でいい試合をしてくれた東海大相模高校さん、ありがとうございます」。

「相模さんには1年生で負けて、2年生の時に勝って、3年生の自分たちの代はどうするという話し合いをずっとしてきた。夏合宿が終わってから、この試合に絶対勝つことを目標にやってきたので、本当に勝ててホッとしたし、仲間が誇らしい」と語気を強めた。

6本(4ゴール・2PG)のプレースキックを100%決めて、終了間際にトライで19得点を挙げ、勝利に貢献したSO丹羽は「ボールを動かすことを意識した。ミスもあったが、助け合いながら60分できたと思う」。

「花園へはミスを少なく、継続して、ボールを大きく、早く展開してトライを取れるチームにしていきたい。プレースキックはもう1回、磨きをかけたい」と前を向いた。

関東新人では、國學院栃木に敗れて準優勝スタートだった今季の桐蔭学園。申キャプテンが考えた「律」をスローガンに、春の選抜大会では大阪桐蔭に敗れてベスト4、続くワールドユースでも大阪桐蔭に敗れて準優勝だった。

それでも、関東大会を制して、今回の神奈川県決勝では貫禄勝ちし、22回目の花園は2度目の2連覇がかかる。藤原監督は「(連覇を狙える)位置にいないのは選手たちが一番、わかっていると思う」。

「まだ、大阪桐蔭さんに勝つというレベルではないし、全国で戦えるプレーを身につけなけばいけない。このプレーだと上位にいけない」と、辛口のコメントをしつつも、「選手の身体の状態を確認しながら、スタッフと選手と考えて、良い景色を見ることができれば」と先を見据えた。

桐蔭学園がシード校に選ばれ、優勝候補に挙げられることは間違いない。残り40日あまり、伝統の継続ラグビーに磨きをかけつつ、2連覇のかかった花園に向けの準備を進めていく。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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