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三浦幹太(法政大学)
法政大学が番狂わせを起こした。
大学選手権出場3枠を争う関東大学リーグ戦で、土俵際にいた5位(勝点18/3勝2敗)法政大が、リーグ6連覇中で2位(勝点23/3勝1分1敗)の東海大を29-19で破った。
法政大で指導9年目を迎える難波克彰FWコーチは「今日はディフェンスの勝利。特別なことをやったわけではなく、やろうとしていたディフェンスを80分間遂行できたら結果がついてきた、という印象です。選手たちは本当によく身体を張っていました」と讃えた。
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先制トライは法政大だった。
炭竈柚斗(法政大学)
前半9分、センター適性もあるWTB炭竈柚斗が、右隅で自慢のフィジカリティで相手9、15番を弾いて強烈トライ。キック不成功も5点を先取した。
リーグ最強クラスのタレントを誇る東海大だが、この日は法政大のディフェンスに苦しめられた。法政大の難波FWコーチは、ディフェンスを牽引した一人は1年生フランカーだったと振り返った。
「個人的には秋田工業出身の1年生、大沢空です。ラインアウトからの相手のアタックなどで、強烈なタックルを何本も決めた。そこで『やれる』というムードが生まれ、チームのエナジーが高まったと感じました」
前半16分、初得点を奪いたい東海大のラインアウト一次攻撃で、昨季花園で選手宣誓をしていた大沢が強烈タックル。トップスピードの相手を逆側に倒した。
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その5分後(前半21分)、同じくルーキーのHO花澤祐太がジャッカル成功。先発ルーキーたちの奮闘に触発されたように法政大は堅守を持続させる。
前半ラインアウトは獲得率で苦しんだが、シンプルなリフトに切り替えて確保すると24分。ワイド攻撃からの折り返しでLO細川幹太が突破。そのまま独走トライ(ゴール)で12―0とリードを広げた。
しかし東海大は強力スクラムで反撃。
前半32分の敵陣ゴール前スクラムでプッシュ。狙い通りのペナルティを奪い、ここでNO8大森光がボールキャリー。スクラムプッシュで初動の遅れた相手守備のスペースを突き、ゴール下にチーム初トライを決めた。
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【ハイライト動画】法政大学 vs. 東海大学
さらに4分後(前半36分)にパスを繋いでワイド攻撃をWTB岡村優太がフィニッシュ。連続トライで同点(12-12)。ただ前半43分に法政大がPGを追加し、前半は法政大リードの15-12で折り返した。
後半のスタートは、リーグ戦王者らしい鮮烈トライからだった。
薄田周希(東海大学)
敵陣でボールを確保すると、薄田周希と汐月佑心の両フランカーらが確実にゲイン。強いFWキャリーとBKの高速展開を組み合わせ、法政大の守備が後手にさせると後半2分、PR杉浦皓亮が抜けだし逆転トライ。4点リード(19-15)を奪い返した。
だが、この日法政大はディフェンスから何度も主導権を握った。
後半7分、自陣相手ラインアウトのピンチではFL大沢がロータックル。一撃でダウンした相手にSO金侑悟が絡みついてターンオーバー。追加点を狙う東海大を苦しめる。
そして、このディフェンスからの自陣脱出を足場として、敵陣で相手ラインアウトをスチール。ここからワイド攻撃を仕掛け、WTB小林雅治が殊勲の逆転トライ。ゴールも決まり3点リード(22-19)を奪い返した。
息の詰まるシーソーゲーム。
逆転を期する東海大だが後半14分には法政大LO細川幹太がジャッカル。ボール争奪戦を制圧できず、アタックを継続できない。
すると決定的なトライは後半36分。
金侑悟(法政大学)
押し込まれていた法政大のFL三浦幹太が、バックドアの相手パスをインターセプト。得点感覚に優れる三浦が大きなストライドで独走し、値千金のチーム4本目。さらにSO金の高難度のコンバージョンも決まり10点リード(29-19)を奪取した。
終盤で10点ビハインドを背負った東海大。
最終盤には法政大ペナルティから敵陣ゴール前ラインアウト。そしてバックスも参加する「全員モール」で前進。
10点リードの法政大は勝利濃厚ながら、モール守備で粘った。最後はHO花澤らがモールを破って絡みついてターンオーバー成功。歓喜の雄叫びと共に29-19のままノーサイドの笛が鳴った。
「ラインアウトは東海大学さんの対策に苦しみましたが、スクラムは安定してボールを供給して最低限の役割は果たせました。ディフェンスでは一貫して一次、二次攻撃で止められていました」(法政大・難波FWコーチ)
選手権出場3枠を狙える上位5大学の順位は、以下の通り。
順位 | チーム | 勝点 | 勝ち | 引き分け | 負け |
---|---|---|---|---|---|
1 | 大東大 | 27 | 4 | 1 | 1 |
2 | 流経大 | 25 | 4 | 0 | 2 |
3 | 東海大 | 24 | 3 | 1 | 2 |
4 | 東洋大 | 24 | 4 | 0 | 2 |
5 | 法大 | 23 | 4 | 0 | 2 |
1~5位の勝点差はわずか「4」。リーグ優勝、そして選手権出場3枠のゆくえは11月24日(日)の最終週にもつれ込んだ。
すべては東京・秩父宮と埼玉・熊谷で開催されるリーグ全4試合で、決着する。東海大は2位流経大と、法政大は1位大東大とのリーグ最終戦が待ち受けている。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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