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田中健想(早稲田大学)
高校を卒業したばかりのルーキーが躍動する――。
2024年11月3日(日)の関東大学対抗戦。4勝の帝京大学と3勝の早稲田大学による全勝バトルは、アッと驚くような大差がついた。
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その中心で輝いたのは2人のルーキー。今春高校を卒業したばかりのスタンドオフ服部とウイング田中だ。
矢崎由高(早稲田大学)
そして現役日本代表で10月はニュージーランド戦にも先発したFB矢崎由高はおとり役に徹し、WTB田中らの突破を演出した。矢崎に関しては帝京大WTB森寛大のマークも効いていた。
「夏の菅平ではコンタクトの部分で負けてしまったので、自分たちのプライドであるコンタクトの強さを出していきたい」
試合前にそうコメントしたのは帝京大のFL青木恵斗主将だったが、早稲田大は166cmのFL田中勇成らが驚異的なスピードでファーストレシーバーに刺さり、フィジカルの強みを出させなかった。
大学ラグビー特集ページ
先制トライは13分だった。
敵陣22mゴールアタックで、SO服部が相手守備のポジショニングを振り切る高速パス。右タッチライン際ギリギリにいたWTB田中が捕球し、右隅へ。ルーキーコンビで先制トライを挙げてみせた。
帝京大の土台にヒビが入るような衝撃シーンは前半17分だ。
SO服部のロングキック一本で敵陣に入った早稲田大は自軍投入スクラム。ここでHO佐藤主将をはじめフロントローが背骨の入った低い姿勢で、相手フロントローを崩す。
ボール投入後のプッシュで押し切り、さらに前進。帝京大スクラムを押し切る形でペナルティを獲得。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
【ハイライト動画】帝京大学 vs. 早稲田大学
アドバンテージをもらった状態で右サイドを急襲すると、ボールを受けたFB矢崎がバックフリップで数的優位をつくり、ふたたびWTB田中。右奥へ快走して2連続トライを奪った。
武器のフィジカリティを敵陣で発揮したい帝京大だが、早稲田大のSO服部がそれをさせなかった。
12-0とリードした直後、SO服部が相手を背走させる好キック。ここからカウンターを仕掛けた帝京大がダブルモーションの反則。ターンオーバーから早稲田大WTB田中が前半21分に早くもハットトリックを達成した。
直後の24分、帝京大は威信をかけて敵陣で連続攻撃。
青木恵斗(帝京大学)
11フェーズを反則なしで防いだが、12フェーズ目でオフサイド。このペナルティから敵陣左ゴール前に入ると、帝京大はモール勝負とみせかけてFL青木主将が走り込むサインプレー。
FL青木主将が前半17分、豪快にチーム初トライ。さらにFL青木主将は前半35分にも守備ラインが揃った状態をキャリーでぶち抜き、2連続トライ。異次元の強さを発揮し、9点差(10-19)に迫った。
勢いに乗った帝京大は守備でも魅せる。
HO當眞蓮はトイメンのHO佐藤主将を一撃ダウン。浮いたパスを捕球する相手FB矢崎にはWTB森が詰め、こちらも一撃ダウン。ここからカウンターラックに成功した。
ただこの日は得点機でのミスが目立った。
「敵陣に入った肝心なところでスコア仕切れず、ミスをしてしまいました」(帝京大FL青木主将)
「今日は自分たちがやるべきこと、特にフィニッシュの部分でうまくできず、相手にプレッシャーをかけられて、悪い流れを引きずってしまいました」(帝京大FB青柳潤之介)
敵陣ラインアウトなど、仕留めに入る場面でたびたびミス。フェーズアタックに関しても早稲田大のCTB野中らが的確なランコースで連続攻撃に繋げる一方で、帝京大のランナーには焦りが目立った。
「早稲田大学さんの厳しいプレッシャーに加え、今年はAチームでの試合経験が少ない選手も多い中、秩父宮ラグビー場という場所で数多くのお客さんが観戦される環境というプレッシャーも加わり、いつも通りのプレーができない人もいたかもしれません」(帝京大FL青木主将)
服部亮太(早稲田大学)
前半ラストでは、マークが曖昧になった帝京大DFをSO服部が突破。ルーキー2人が前半すべてのトライを決める展開で、早稲田大が26-10で折り返した。
「前半、劣勢のままリードされて終わってしまい、自分は後半の入りのところから出させてもらったので、チームの流れをよくするのが自分の仕事で、チーム全体の流れを自分が引き寄せようと思って試合に入りました」
「ですが、後半も受けてしまうような、うまくいかない展開が多く、なかなか自分のプレーでチーム全体をいい方向に持っていくということができませんでした」(帝京大FL森元一気)
16点ビハインドで折り返した帝京大は、引き続きチャンスで獲りきれない展開が続く。
ダウンボールを「コントロールを失った」と判断されてトライを取り消され、また、ラインアウトでは前半に続いてサインが合わずターンオーバー。得点に変えられずにいると、勝負の天秤はふたたびアカクロ軍団に振れる。
後半6分、早稲田大は盤石のスクラムからアタック開始。
FB矢崎をおとりにしたサインプレーでルーキーWTB田中が突破。振り戻しで1つキャリーを当てると、ふたたび右サイドへワイド展開。
右サイドでCTB福島秀法が粘り強い好キャリー。絶妙なオフロードパスを逆サイドから戻っていたWTB田中に送って自身4トライ目。3フェーズのデザインされたヨコ展開で仕留めた。
後半14分のPG加点で26点差(36-10)とした早稲田大。
55分には相手スクラムでペナルティを奪われたが、その後の2本は連続で逆にペナルティを奪取。この日の帝京大はスクラムという武器を失ってしまった。
早稲田大はさらにルーキーSO服部が躍動。混戦から逆サイドにラン攻撃を仕掛けると、細かいステップを駆使して突破。
敵陣でHO佐藤主将がゴール前に迫ると、最後はまたもSO服部。瞬時にボールを持ちかえる小技でゴールラインにグラウンディング。自身2トライ目を記録した。
さらに自身5トライ目を記録したのはWTB田中。相手の浮いたカットパスを片手でインターセプト。そのまま独走で右隅に飛び込み、スコアは48点目を奪った。
森元一気(帝京大学)
帝京大は途中出場の森元がラックからのピックで中央突破。ゴール下にチーム3本目を決めたが、時すでに遅し。
早稲田大が31点差(48-17)のビッグスコアで開幕4連勝。プレイヤー・オブ・ザ・マッチは5トライを獲った早稲田大WTB田中が選出された。
「すべてにおいて、早稲田大学さんが我々を上回ったことがこのような結果になったのだと思っています。たくさんのチャンスを作ることができたと思いますが、それをスコアにつなげることができませんでした。学生たちを勝たせてあげる準備ができなかったことを振り返り、反省しています」(帝京大・相馬朋和監督)
帝京大戦は、青山学院大学戦から3週間の準備期間があったことはアドバンテージだったろう。ショートウィークでの筑波大戦こそ内容にこだわりたい。
4勝1敗となった帝京大は大学選手権を含めた34連勝がストップ。4年振りの敗戦は衝撃的な大敗となった。帝京大の次戦は11月17日(日)。首位(5戦全勝)の明治大に、再起をかけてチャレンジする。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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