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5トライを挙げる活躍を見せたWTB田中健
まさに快勝。近年、ここまで赤のジャージーが沈黙した試合があっただろうか。早稲田大学はルーキーたちが躍動し、7トライを挙げる猛攻。ディフェンスでは帝京大学を3トライに抑え、48-17と31点差。ラグビー関東大学対抗戦の第4節、ヤマ場の試合で勝ち点6を得た。
前半12分にWTB(ウィング)田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)がトライを挙げると、17分、20分にもトライ。8分間でハットトリックに成功し、19-0と帝京大を序盤から大きく突き放した。
その後、帝京大FL(フランカー)青木恵斗に2トライを献上したものの、早大は崩れることなく、26-10で前半を終えた。続く後半はさらに早大ペースとなり、3トライとPG(ペナルティゴール)を追加。試合終了間際に失点を許すが、帝京大に追い上げる隙を与えずノーサイドとなった。
早大のキックオフで始まったこの試合。帝京大のノックオンにより、開始早々からファーストスクラムを組んだ。早大は帝京大のプッシュにも微動だにせず、序盤から違いを見せつける。2分、10分の帝京大ボールスクラムでアーリーエンゲージの反則を得た早大は着実に流れを引き寄せていく。
ディフェンスに仕掛けるHO佐藤
試合が動いたのは12分。帝京大ゴール前でラインアウトモールを組んだ早大は、HO(フッカー)佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が持ち出し、トライラインに近づく。
早いテンポで次々と攻撃を仕掛け、ディフェンスラインを崩すと、SO(スタンドオフ)服部亮太(スポ1=佐賀工)からロングパスを受け取ったWTB田中健がインゴール右隅に飛び込んでトライを奪った。
続く17分、敵陣22mライン上で組んだマイボールスクラムを大きく押した早大は、アドバンテージを得ると、右サイドに素早く展開。NO8(ナンバーエイト)鈴木風詩(社4=国学院栃木)が持ち出し、SH(スクラムハーフ)細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)からFB(フルバック)矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)へ。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
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矢崎からバックフリップパスを受け取ったWTB田中健がインゴールを叩き割り、追加点を挙げた。
力強いボールキャリーを見せるLO西浦
さらに20分、SO服部の大きく伸びたキックに対し、処理が遅れた帝京大の隙を見逃さず、早大はすかさずプレッシャーをかけた。LO(ロック)西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)がブレイクダウンでペナルティを獲得すると、CTB(センター)福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が素早く再開。
ゲインしたところでラックを作ると、狭いサイドで待っていた佐藤からパスを受け取った田中健が3本目のトライを挙げ、一気に19-0とリードを広げた。
26分、34分に帝京大FL青木恵斗に2トライを献上したが、前半終了間際に服部がアンストラクチャーの場面から、1人でインゴールまで走り切ると、スコアは26-10。16点差で前半の40分を終えた。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
ハーフタイムを終え、先にグラウンドに姿を現したのは早大。グラウンド中央で円陣を組み、後半開始の直前まで全員で意思を統一した。その甲斐もあり、後半も先に試合を動かしたのは早大。
スクラムの一次攻撃でWTB池本晴人(社2=東京・早実)がゲインラインを切ると、逆サイドに大きくボールを回す。福島がステップでディフェンスの裏に出ると、オフロードパスを受け取ったのはまたも田中健。ライン際を走り切った。難しい角度のキックをCTB野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)が確実に沈め、33-10とリードを広げる。
続く10分、服部のロングキックのチェイスに走っていたLO栗田文介(スポ3=愛知・千種)、FL城央祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)、NO8鈴木で帝京大のペナルティを獲得すると、早大はショットを選択。Hポール中央に決め、さらに点差をつけた。
さらに24分、マイボールラインアウトからハイパントキックを蹴り上げた早大は、CTB福島が空中戦を制すると、途中出場のSH宮尾昌典(スポ4=京都成章)がブレイク。一気に帝京大ゴール前まで侵入すると、持ち前のハイテンポアタックで前進する。最後はSO服部が自分でインゴールに手を伸ばしてトライを挙げた。
帝京大はボールを保持する時間を増やすが、早大の鉄壁のディフェンスは前進を許さず、反撃の糸口をつかませない。後半の終盤という苦しい時間帯になっても出足は鋭く、赤黒のジャージーは守備でプレッシャーをかけ続けた。
37分、帝京大が早大の圧力から逃れるように放ったふわりと浮いたパスを奪い取ったのはWTB田中健だった。50メートルを走り切り、とどめのトライを挙げた。ノータイムに帝京大にトライを許すが48-17と大きくついたリードを守り切り、試合終了の笛が鳴った。
「セットプレーを中心に良いゲーム運びができた」と佐藤主将が振り返るように、帝京大の最大の武器であるスクラムで優位を取らせなかった早大。フィールドプレーではSO服部のロングキックを中心に陣地を広げ、強固なディフェンスでボールを奪い取ることで帝京大に流れを渡さずにリードを広げた。
また、佐藤は「今日この試合で勝つことができたのは、Bチームをはじめとする下のカテゴリーの選手たちが雰囲気を作ってくれたのが大きな要因」と語った。この帝京大との一戦に向けて、全員が早大のラグビーを体現するために戦った成果がまさに今試合の勝利だろう。
対抗戦優勝、そして『荒ぶる』に向けて大きな白星を飾った早大。しかし、「対抗戦はまだ終わりじゃない」(佐藤)。次戦は1週間後に控える筑波大学戦。『早稲田のプライド』を胸に、対抗戦全勝に向けて赤黒の戦士たちはひた走る。
文:村上結太/写真:西川龍佑(早稲田スポーツ新聞会)
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