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レスリー・マッケンジーHC
10月29日(火)、東京・日本ラグビー協会で、女子15人制日本代表のレスリー・マッケンジーHC(ヘッドコーチ)が、今シーズンの総括会見を開いた。また、会見終了後、キャプテンFL(フランカー)長田いろは、SH(スクラムハーフ)津久井萌の2人もオンラインで報道陣に対応した。
『サクラフィフティーン』こと、女子日本代表(世界ランキング11位)は、今年10試合のテストマッチを行い、3勝6敗1分という成績に終わった。5月に行われたアジアチャンピオンシップで、ホンコン・チャイナ代表、カザフスタン代表を下して『WXV』、そして『ワールドカップ』の出場権を得た。
その後、敵地でフィジー代表に勝利し、ホームでアメリカ代表と引き分けた。ただ、『WXV』では3試合とも善戦したが、3連敗に終わった。
マッケンジーHCは「10カ月かけて準備してきたことが、結果にしっかりと反映されなかった。ただ、これまで十分に手をかけられなかったセットピースを(3~4月の)6週間、ビッグガールズとスクラムハーフを招集したことで、強化したものをWXVで発揮することができた」。
「そして、私たちが今どの場所にいるのか、どこからスタートしていくのか、どこに向かっていくべきか、正確な理解を得ることができた」と振り返った。
さらに「今年の総括レビューは、非常にポジティブだと思っている。選手自身がその選手のグループとして、個々として成長するための費やしたいエフォートの部分、個人に対して費やしたエフォートの部分をしっかりと認めたい」。
「また、南アフリカ代表戦、スコットランド戦でしっかりとパフォーマンスを示すことができた。私たちは成長しているが、ワールドカップまで残り9カ月になり、その中で、どれだけの成長をしていけるのかが問われてくる」と続けた。
9月から10月にかけて、南アフリカで行われた『WXV』に関して、カナダ出身の指揮官は「ポジティブな点は我々が連続するゲームで、パフォーマンスをしっかり出すことができたと思っている。勝つためにやるべきことは、すべてやったし、タイトに戦えた」。
「ワールドカップでは、3つの連続する試合でパフォーマンスを出していかなくてはいけない。それが現実であるという、はっきりとしたピクチャーが得られた。何にフォーカスすべきなのか、どういった準備をすべきなのか、どういった期待値を持っているべきなのか、またどういった形で大会に到着するべきなのか、またどういった形で終えたいのか、そういったはっきりとした画を見せてくれた」と話した。
サクラフィフティーンは来年の8月22日から9月27日にかけて、イングランドで開催されるワールドカップに出場する。今大会から出場国が12から16チームに増えた。まず、4チームが4つのプールで戦い、準々決勝進出を目指すが、日本代表はプールCでニュージーランド代表(世界ランク3位)、アイルランド代表(6位)、スペイン代表(13位)と同組となった。
◆ワールドカップ 予選プールC 試合日程
・8月24日 日本代表 vs. アイルランド @ノーサンプトン
・8月31日 日本代表 vs. ニュージーランド @エクスター
・9月07日 日本代表 vs. スペイン @ヨーク
マッケンジーHCは、「9カ月後の大会で、私たちは参加するためだけに行くわけでは決してない。そこでしっかりと戦う、競争力のあるチームとして行くことを考えている。選手たちは帰国して、クラブに戻っているが、その中でもクラブプレイヤーに戻らないことが重要」。
「クラブの環境の中でも、サクラフィフティーンのインターナショナルな選手として、しっかりと練習し、ラグビーすることが必要。つまり、トレーニングの質で、フィジカル、言葉といった部分でしっかりとスタンダードを示していってほしい。これから先の3カ月間、それが勝負になってくる」と言葉に力を込めた。
ニュージーランド、アイルランド、スペインと同じプールに入ったことに関して、マッケンジーHCは、「ワクワクしている。見る方にとっても、とても楽しんでもらえるプール戦になるのではないか」。
「予選プールを突破するためには2つのゲームに勝たなくてはいけない。現実的に考えると最初のアイルランド、それから3番目のスペインが大きなターゲット。アイルランドに勝つことができれば、そこから何だって起こすことができるという気持ちでやっていける。私たちはプールステージを突破して準々決勝に進出したい」と意気込んだ。
FL長田いろは主将
続いて、攻守に渡って身体を張り続けているキャプテンFL長田は、「今年はテストマッチが多かったので感謝している。春のFW合宿でセットプレーを強化し、身体が自分たちより重い、背の高い相手に自分たちの強みで勝負することができた」。
「アジアチャンピオンになったり、フィジーでフィジーに勝利したり、昨年は大敗したスコットランド代表に、7点差だったりと自信になった」と手応えを口にした。
9番としてゲームをコントロールしていたSH津久井は「テストマッチを10試合行うことができ、経験値を得ることができた。結果を残すことはできなかったが、勝てるような試合ができたのは成長」と話した。
ワールドカップでは過去2大会に出場している経験豊富な2人。来年の大会に向けて長田は、「決勝戦のチケットが売れたり、女子ラグビーの注目度が上がったりしているので、日本でも盛り上げていきたい。サクラフィフティーンのラグビーを体現できるように、残り期間準備を努力しつつ準備していきたい」と先を見据えた。
SH津久井萌
津久井は「WXVでは、1つのミスで点を取られることが多かったので、細かいところにこだわっていきたい。対戦相手も決まり、ニュージーランドは常に上位にいるし、アイルランドはニュージーランドに勝利したし、スペインはWXVの3部で優勝した。波に乗っているチームと対戦できてワクワクしている」と話した。
サクラフィフティーンの選手たちは、すでに各クラブチームに戻っており、これから約3ヶ月渡って、15人制のシーズンを戦う。来春、再び集合し、「凝縮した1年になる」と指揮官が言うとおり、8月に開幕するワールドカップ本番に向けて強化の歩みを進めていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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