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浦安D-Rocksとスクラムを組む日本代表(左)
10月26日(土)に「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表戦を控えるラグビー日本代表。10月13日からFW(フォワード)とBK(バックス)に分かれて合宿を始めた。
BKは13日にベースキャンプ地である宮崎に入った。一方、FWは関東に残り、13日に練習した後、14日は横浜キヤノンイーグルス、15日は浦安D-RocksのFW陣と合同練習を敢行した。
FW20人中、FL(フランカー)アイザイア・マプスア(トヨタヴェルヴリッツ)、NO8(ナンバーエイト)ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)の2人は、BKとともに宮崎合宿からの参加となり、FW合宿にSH(スクラムハーフ)藤原忍(スピアーズ)が帯同した。
日本代表はPNC(パシフィックネーションズカップ)に向けた8月中旬の合宿でも、最初はFW、BKに分かれて練習をしていた。エディー・ジョーンズHCは、FWのみ関東で始動した理由を「FWはセットプレーに全神経を集中させたいから、FWとBKを分けたキャンプを組んだ」。
「FWは対戦相手が必要なので、横浜と浦安のサポートの下、対戦相手をつけた練習をする。オールブラックスはセットプレーが強いチームなので、スクラム、ラインアウトでベストを見せるためにこういった合宿をする」と説明した。
ラインアウトでボールをキャッチする姫野和樹
合宿初日、昨年のワールドカップ以来の代表活動となったNO8姫野和樹(ヴェルブリッツ)や、初の代表活動となったPRオペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が元気な姿を見せた。セットプレー以外では、PNC決勝のフィジー代表戦の反省から、接点回りや近場のディフェンスに時間を割いていた。
そして、10月14日、15日は横浜、浦安のFW陣と1時間に渡り、スクラム、ラインアウトの練習を行った。両チームとも日本代表が自チームのグラウンドに来るということで、かなり気合が入っていた姿が印象的だった。
横浜キヤノンイーグルス
横浜との合同練習では、スクラムこそ日本代表が優勢だったが、ラインアウトからのモールの攻防では、モールを武器とする横浜FW陣が押すシーンが何度か見られた。また、浦安との合同練習では逆に、日本代表がモールを押し込んでいたものの、スクラムでは最初にやられたシーンもあった。だが、それも後半は修正する姿が見られた。
13日の横浜との合同練習の後、今春、日本代表に初招集されて4キャップを重ねた横浜に所属するPR(プロップ)岡部崇人は「今回は、ジャパンの中で一番、気合いが入っていたと思う」と笑顔を見せた。
PR岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス)
FWだけの合宿をしたことに関して、PR岡部は「ラグビーのことだけではなく、スクラムを組むメンバーや、ラインアウトでリフト選手たちと一緒に都内で生活するのは、必然的にチーム力というか、集団の絆みたいな部分ができてくると思うので、非常に良い合宿になっている」と話した。
また、岡部はオールブラック戦を皮切りに、強豪と対戦する10月から11月のテストマッチに向けて、「スクラムはチームでやってきた低さや速さを、もっと極めていかないと持っていかれるし、ラインアウトやモールでも、相手にいけると思われたら、それだけでゲームを壊されることもあり得る。自分たちで危機感を持って、チームでやっていることをもっと磨いていきたい」と先を見据えた。
PR竹内柊平(浦安D-Rocks)
また、浦安との合宿後は、やはり浦安所属のPR竹内柊平が報道陣に対応して、「普段、練習している自分のグラウンドにバスで来て、浦安の選手のコールを聞いて、新鮮だった」。
「めちゃくちゃワクワクしていて、自分にとって良い結果を得られた。逆に、切磋琢磨している相手と練習したから、自分の足らない部分、ジャパンの強みも改めてわかったし、D-Rocksの強みもわかったので、すごく充実した1日だった」と満面の笑顔を見せた。
PR茂原隆由(静岡ブルーレヴズ)
同じくPRの茂原隆由(静岡ブルーレヴズ)は、「(横浜と浦安と合同練習をして)同じ相手だけでなく、いろいろなチームとやれて経験値を詰めたので、オールブラックス戦に向けてプラスになっている。オールブラックスのスクラムは重たさもあるが、相手とのギャップを詰めてヒットさせないことをやっている」と話した。
ディフェンスリーダーの1人、2023年ワールドカップ組のFL下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)は、「FWはセットプレー中心に、横浜キヤノンさんと、浦安D-Rocksさんの胸を借りて、この2日はいいところも悪いところも振り返るセッションができた」。
FL下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)
「ラインアウトでは、ジェネラルのスキルでミスが起きたところがあったので、小さいミスをなくしていくことが一歩だと思う。スクラムはセットアップまで、ブレがないところとか、FLとして感じるところだし、一喜一憂せず、良いスクラムを組めた後の一本を大事にしている」と冷静に話した。
8月頃からスクラムの練習中に、オーウェン・フランクス コーチが言ったという「バイオレント」(激しい)が現在、FWの合言葉になっている。今ではセットプレーだけでなく、アタックでもディフェンスでも、どんな局面でも「バイオレント」という言葉が出てきており、PR茂原は「局面、局面でバイオレントにヒットしていきたい」と語気を強めた。
横浜、浦安のサポートの下、FW陣は3日間の関東合宿で得たことを糧に宮崎に移動。よりセットプレーの精度を高めて、セットプレーに強みを見せるオールブラックスに挑む。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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