人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2024年10月12日

サクラフィフティーン、3連敗もワールドカップに向け成長に手応え。15人制ラグビー女子国際大会「WXV2」

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
  • Line

相手のディフェンスに苦しんだサクラフィフティーン

1年後にイングランドで開催されるラグビーワールドカップ2025に出場する、「サクラフィフティーン」こと、女子15人制ラグビー日本代表(世界ランキング11位)は、南アフリカで開催されている国際大会のディビジョン2に相当する「WXV2」に参戦している。

日本代表は南アフリカ代表に24-31、スコットランド代表に13-19と惜しくも敗れて2連敗。今大会の初白星を目指す日本代表は、10月11日(金)に最終戦となる第3戦でウェールズ代表(10位)と激突した。

ラグビーWXV2024 15人制ラグビーユニオン女子国際大会 WXV2

レスリー・マッケンジーHC(ヘッドコーチ)は前の試合から、先発はFW(フォワード)1名、BK(バックス)1名を変更した。FWでは、HO(フッカー)谷口琴美が先発に復帰し、公家明日香がベンチに下がった。BKは7人制日本代表としてパリ五輪に出場したWTB(ウイング)松田凜日がコンディション都合でメンバー外となり、松村美咲が先発に復帰。

試合に挑むサクラフィフティーン

それ以外の13名は3戦連続での先発となった。また、コンディションの都合で、メンバー発表後に、リザーブのFL(フランカー)細川恭子が、向来桜子に変更となった。

一方、ウェールズ代表もオーストラリア代表(7位)に5-37、イタリア代表(9位)に5-8と惜敗し、こちらも2連敗。なお、ウェールズ代表は今年のシックスネーションズでは、1勝しかできず最下位に終わっている。

この試合に来年のワールドカップ出場がかかっていたウェールズ代表のイアン・カニンガムHCは、前の試合から負傷のSO(スタンドオフ)ルージュ・ジョージから、7人制のイギリス代表も兼ねるSOケイリー・パウエルが先発するなどFW2名、BK1名と計3名の選手を入れ替えた。

「WXV2」の最終戦はサクラフィフティーンにとって、2024年のテストマッチのラストマッチとなった。最下位を回避するためにも互いに負けられない試合は、午後4:00(日本時間午後11:00)に、南アフリカ・ケープタウンのアスローン・スポーツスタジアムで、24度という少し暑い気候の中、キックオフされた。

WXV2024 15人制ラグビー女子国際大会 WXV2

【ハイライト動画】ウェールズ女子代表vs.日本女子代表

試合序盤、日本代表は風下の影響もあり、SH(スクラムハーフ)津久井萌、SO(スタンドオフ)大塚朱紗のハーフ団を中心にボールをキープして攻め続けたが、なかなか相手のディフェンスラインを崩すことができなかった。

すると、ラインアウトボールをスチールされて、ウェールズ代表に自陣奥に攻め込まれてしまう。10分、スクラムからのボールアウトした後のキックを20歳のWTBネル・メトカーフにチャージされて、そのまま左端にトライを許した(0-5)。

14分にもキックカウンターからウェールズ代表がボールをつなぎ、最後はSHケイラ・ベヴァンが中央にトライ。自身でゴールを決め、12点差にリードを広げられた。

その後、日本代表はセットプレー、ディフェンスでプレッシャーを受けてしまい、なかなか相手陣で戦うことができない。29分にウェールズ代表がFWにこだわりトライを挙げたかに思われたが、これはTMO(テレビマッチオフィシャル)の末、オブストラクションの判定でノートライとなった。

残り10分、互いのディフェンスが上回り、得点ボードは動かず、そのままウェールズ代表が12点をリードしてハーフタイムを迎えた。

後半、先に得点を挙げたい日本代表は集中力高く、連続攻撃で相手陣奥に攻め込んだが、3分、ウェールズ代表FB(フルバック)ジャスミン・ジョイスにパスをインターセプトされる。90m以上走られてトライを許し、0-19と点差を広げられてしまった。

風上のサクラフィフティーンは後半10分以降、積極的にベンチからフレッシュレッグスを投入して、キックも交えて何とか流れを引き寄せようとするが、なかなかチャンスを掴むことができなかった。

ようやく日本代表がゴールラインを超えたのは22分だった。SO大塚朱紗の裏へのキックから、カウンターラックでターンオーバーし、最後はWTB松村が左隅にトライを挙げて5-19とした。

ゲインするSO大塚

35分、ウェールズ代表はCTB(センター)ハンナ・ブラックが危険なタックルによりシンビン(10分間の途中退場)となり、日本代表は数的有利となる。37分、相手陣22mラインアウトからチャンスを得て、途中出場のSH阿部恵が持ち出して、最後はSO大塚が右中間にトライを挙げ、9点差に追い上げた。

しかし、試合はそのままノーサイドを迎えて、日本代表は10-19で敗れた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は後半、トライを挙げたウェールズ代表のFBジョイスが選出された。日本代表は勝ち点を3から伸ばせず、6チーム中、最下位が決まった。

今大会初勝利を挙げたウェールズ代表のカニンガムHCは「勝利を収めることができてうれしい。選手たちがどれほど頑張ったか、本当に誇りに思う。ディフェンスでは素晴らしいプレーができたと思う」。

「ワールドカップまで、多くのハードワークが待ち受けているが、選手たちにとって、世界的な舞台で才能を発揮する素晴らしい機会だ。待ちきれない」と笑顔で選手たちを称えた。

キャプテンのCTBハンナ・ジョーンズも「選手たちは、このために非常にハードワークした。そして、試合を高いレベルで終われたことがうれしい」と胸を張った。

残念ながら3戦とも善戦したが、全敗で最下位に終わった日本代表のマッケンジーHCは「今日は自分たちの戦い方ではなかったが、私にとって最も重要なのは、後半の本当にポジティブな展開だ。フィジカル的にも優位にあるチームと互角に戦うためには、本当に一生懸命に努力しなければならない」。

「だから、今年のチームの取り組みには非常に誇りを持っているし、試合で成長も見せることができた。選手たちはまだ若いし、傷ついているだろうが、彼女らが大会で努力したことを本当に誇りに思う。そして、また来年、戻ってきます」と前を向いた。

円陣で選手たちに話し掛ける長田主将

キャプテンのFL長田いろはは「相手のサイズは大きかったが、自分たちが前で止められた時はすごくいい感触があったので、そこは続けていきたい。でもボールを持たれて走られた時に受け身になってしまった。自分たちが前に出られない時は受けてモメンタムを取られた時は試合をコントロールできなかった」。

「ハーフタイムには、アタックの場面でもっと我慢してアタックしようと話した。前に出られた時はすぐいいフェーズ(アタック)ができたと思う」と振り返った。

さらにキャプテンはワールドカップを見据えて、「今大会を通してこの3試合、戦えたことはすごく良い経験だったし、準備の段階でやりあえたことが来年につながるし、チームとして成長しているのを感じた」。

「でも、試合の中で勝ちきれなかったり、自分たちのミスからボールを取られたりすることは、もっと厳しく修正していかないといけないし、来年につなげていきたい。すべての部分でディティールにこだわっているので、そこは継続していきたい」と力強く話した。

サクラフィフティーンはこれで今年のテストマッチを終えた。今大会の悔しい経験を糧に、来年のワールドカップで結果を残したい。なお、組み合わせ抽選は10月17日に行われる。

文:斉藤健仁/写真:(C)JRFU

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ