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クボタスピアーズ船橋・東京ベイの会見
一昨年シーズンは初の日本一に輝いたが、昨シーズンは6位に終わったクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。10月5日、東京・江戸川区にあるタワーホール船堀で、今シーズンの方針会見を開いた。
まず、今シーズンからGM(ゼネラルマネージャー)となった前川泰慶GM、前GMである石川充ビジネススポンサーシッププロデューサーが登壇した。
ルディケHC(左)と前川GM
採用や編成担当だった前川GMは「ミッションは2つ。一昨年シーズン、優勝させていただいたが、日本を代表するクラブは連覇を達成している。連覇を達成しないと一時代を築いたとは言えない。リーグワンのレベルは上がっていて、まだ連覇を達成したチームはいないので、連覇を達成して黄金時代を作りたい」。
「また、地域に根ざして、地域の問題を解決しないとスポーツチームとしてさらに発展していかないので、2つ目はホストスタジアムを持ちたい。2028年、スピアーズは創設されてから50周年となるので、2028年までにこの2つの目標を達成できるようにがんはりたい。そして50周年の歴史に花を添えたい」と意気込んだ。
昨春、スピアーズは江戸川区陸上競技場のネーミングライツを取得して「スピアーズえどりくフィールド」とした。今季はその『えどりく』で5試合のホストゲームを予定している。
石川氏は「若い前川GMを横でサポートしながら、GMの経験を還元しながら新しいところにバンバン行って、関係性を作りたい。しっかりと、まず江戸川区にコミットして、江戸川区のファンを増やしたい。そして5年くらいを目処にホームスタジアムを持ちたい」と話した。
続いて、2016年からチームの指揮を執っているフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)が登壇し、「『Proud Billboard』(誇りの広告塔)というビジョンは変わらない。昨季はケガ人や100%ではない選手が多く、スロースタートだった。良い学びがあったのでそれを活かしていきたい」。
「一昨年シーズン、優勝したときに経験した感動をもう一度、味わうためにハードワークしたい。また、リーグワンのレベルは上がっているし、競争も激しくなっている。タフなリーグになっているので、開幕のトヨタヴェルブリッツ戦に向けてしっかり準備していきたい」と語気を強めた。
今季のスローガンは、王者奪還に向けてアグレッシブになり、自分たちから勝利に向けた攻めのショットを打ち続けていくという思いを込めて「TAKE YOUR SHOT」と定めた。
また、キャプテンはフランHCが指揮官に就任してからタッグを組み続けていたCTB(センター)立川理道から、新キャプテンにNO8(ナンバーエイト)ファウルア・マキシが就いた。
「若いリーダーを育てるという面でも、マキシは昨季のクロスボーダーマッチでもキャプテンをやった。キャプテンシーに満足している。彼には他の選手がついてくるし、一貫性がある。行動を示すタイプだし、他の選手との関係性も良い。チーム全体をリードするのは初めてだが、文化をドライブしていくことはできる」(ルディケHC)。
新たにキャプテンに任命されたNO8マキシは「キャプテンに任命されたときは、少し悩んだ。私はこれまでキャプテンを任された経験がなく、プレッシャーに感じたから」。
「しかし、キャプテンを任されることはとてもありがたいことであり、成長にもつながる。また、前キャプテンのハルさん(立川選手)からの後押しもあり、キャプテンになることを決断した。言葉だけでなく自分のプレーでチームを引っ張り、みんなとともに成長して、スピアーズの新たな歴史を作りたい」と腕を撫した。
マクラウドコーチと3人の新加入選手
さらに、オールブラックスのコーチを務めており、東芝でのプレー経験のあるスコット・マクラウド アシスタントコーチ、さらに新規加入したオリー・ストーンハム選手、タイラー・ポール選手、ツヨシ・ジニングス選手の4人も登場した。
ルディケHCは、マクラウド コーチについて「昨年、日本代表のHCの募集の動きのときに知り合いました。日本でのラグビーの経験があり、コーチとしてもオールブラックスで、2回ワールドカップを経験しており、他のコーチの刺激になっている」と話した。
東芝でプレー経験のある、ディフェンス担当のマクラウド コーチは「日本が好きだし、友人もいたので他にもオプションがあったが、日本でコーチングがしたいと思っていて、戻って来られてうれしい」。
「東芝の関係者やチームメイトは良い友人ですが、クボタをサポートしていきたい。リッチー・モウンガや、リーチ マイケルの弱点をそんなに多くはないが、いくつか知っています。ここでは共有できませんが(苦笑)」と話した。
今季の新ジャージーも合わせて発表された。「原点回帰」がデザインのテーマで、歴史を彷彿させるデザインが採用されたという。また、ホスト、ビジター用の両方のジャージーのエンブレム上には、優勝回数を表す星、襟の裏側には「オレンジアーミーとともに戦う」という意味合いから「Orange Army」の文字が刻まれた。
為房慶次朗(左)と根塚洸雅
新ジャージーのモデルとして、日本代表でも活躍しているWTB(ウイング)根塚洸雅と、PR(プロップ)為房慶次朗(明治大学出身)の2選手が登壇した。
現在はケガのリハビリ中だという根塚は「今季、日本代表で成長したのはワークレイト。小柄なWTBなので、次の仕事を見つけて、また次を、というのは、どんなラグビーでも大事になってくる。ワークレイトを研ぎ澄まして、開幕戦に調整していければいい」と先を見据えた。
昨季はアーリエントリーで5試合に出場し、日本代表でも活躍中のPR為房は「日本代表で、大きな外国人選手に対してのタックル、ボールキャリー、スクラムといったところの強さを合宿で学ばせていただいた。ルーキーなので、フレッシュさを出しさないといけないし、どんどん声を出していきたい。そして全試合に出て新人賞を取りたい」と話した。
昨シーズンは6位と悔しいシーズンとなったスピアーズ。今シーズン、再び王座に返り咲くためにプレーシーズンでしっかり準備し、開幕戦からアタッキングマインドを持って全力で戦い頂点を目指す。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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